沸点が低く、ちょっとしたことでイライラしてしまう【ワタシのトリセツ】(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
喫茶店で働く一見普通のパート主婦・照代は、人間観察や悩みを解決することが大の得意。毎回、性格に何らかの悩みを抱えているお客さんに、問題を解決する方法をこっそり伝授します。
●今回の登場人物
和佳照代(わか・てるよ)
43歳。喫茶「T&Nコーヒー」の店員。多種多様な人が訪れる喫茶店で働いているうちに、人間観察や悩みを聞くことが得意になった主婦。悩みを抱えている人や、自らの短所に気づいていない人を放っておけず、ついついアドバイスをしてしまうのが悩みの種。
君地海里(きみじ・かいり)
沸点が低いお客さん。女性(20代前半)
今回のテーマ:怒りの沸点が低い性格
(1)どうでもいいことで激ギレする&どこにスイッチがあるかわからない
(2)せっかちゆえに、人の話をちゃんと聞かない
(3)実は小心者
【解説】
わかってはいるけれど、いざ目の前に許せないことが起きると反射的に爆発してしまう
ちょっとしたことで怒ってしまう、他人のやることなすこと気に入らない、とにかくイライラする――なぜかすぐ攻撃的になってしまう人、それが今回の「沸点が低い人」です。
「そんな自分が大好き!」という生粋のキレキャラならいざ知らず、当事者も「なるべく心穏やかに過ごしたい」と思っていてもキレずにはいられないのがツライところです。わかってはいるけれど、いざ目の前に許せないことが起きると、反射的に「おんどりゃー! 鼻の穴に指突っ込んで目ん玉、裏からグリグリしたろかい!」となってしまうので、反省することしきりです。
もちろん周りがそんな本音をわかってくれるはずもなく、いつの間にやら気軽に話しかけてくれる人も減っていき、よりイライラしてしまうという悪循環に陥ります。「短気は損気」と昔から言うように、短気で得することは何ひとつありません。
今回も、改善のために特徴をおさらいしていきましょう。そうしましょう。
まずは、「どうでもいいことで激ギレする」から。
他人から見たらどうでもいいことだけれど、自分にとっては「どうでもよくない!」ということもありますが、短気な人の「どうでもいい」ことは、後から冷静になって考えると自分でも「どうでもいいかも…」ということがほとんどです。
必然的に周囲は「どこにスイッチがあるかわからない…」となり、かなり引いているはずです。「どうでもいいことにこだわって、言ってることは意味不明」と、陰でささやかれていることは想像に難くありません。
なぜ、怒る理由を理解してもらえないのか?
それは細かすぎるからです。実はこれは「他の人が気づかない細かいところにも気がつく」という素晴らしい長所なのですが、コンボで発動される怒りが長所をかき消してしまい、「そんなどうでもいいことで…」と、むしろ短所認定されてしまいます。
さらに「さっき、○△だったんだけど(怒)」と、相手が知り得ない&気の使いようのないことでも怒るので、恐怖の対象と認識されていることも多いでしょう。そのため、沸点が低い人の周囲はいつもピりついています。
「せっかち」というのも、大きな特徴です。
時間の余裕があるないにかかわらず、自分の思い通りに事が進まないとイライラしてしまいます。行列に並べなかったりするのは、そのためです。
「人の話をちゃんと聞かない」のも、せっかちをこじらせた末期症状と言えるでしょう。少しでも引っかかるワードが出たら最後、話し終わるのを待つことなく飛びかかってしまうので、全方位から普通に嫌われていると考えるべきです。
自分を短気だと思っていなくても、よく周りから「話聞かないよね」と言われる人は、気を使われているだけで、内心「こいつは短気だ」と思われているの要注意。自分で思う思わないは関係なく、相手がそう思ったら、もう短気なのです。
トドメの特徴は「小心者」です。
すぐに怒るわりに、相手が怒り返してきたら「いやいや…そんな怒らなくても……」と引いてしまうのも、あるあるでしょう。沸点が低い人は、実は相手を見て怒るか怒らないか決めています。「怒りをぶつけてもいい」と思っている相手にしか怒らないのです。相手に甘えていると言ってよいでしょう。
【対処法】
怒りを感じたら目を逸らす。逸した先に意識を集中することをルーティン化する
「人の怒りのピークは6秒」という説をご存じでしょうか?
人間の脳は感情的になると大量のアドレナリンを分泌します。すると興奮状態に陥って冷静な判断ができなくなり、感情を相手(物)にぶつけてしまうのです。とはいえ興奮状態は長続きせず、6秒耐えれば怒りは理性でコントロールできるのだとか。
イラッとしても他にやることがあってそっちに意識がいくと、イラッとしたことを忘れてしまう経験は誰にでもあるでしょう。よほどでなければ、怒りは時間が解決してくれるものなのです。試しに今日、イラッとしたことをメモしておき、1週間後に見返してみましょう。「なんでこんなことで腹を立ててたんだ?」と、自分でも理解に苦しむことになるはずです。
そうは言っても反射的にブチ切れてしまうのだから、「イラッとしたら6秒ガマン!」なんてアドバイスを聞いても実行できるはずがない…なんて思い込むのは早計です。なぜなら「すぐに怒る人」は、怒る瞬間でも意外と冷静だからです。
前述したように、「すぐ怒る人」は誰かれ構わず怒るわけではなく、きちんと相手を見て怒っています。怒りをぶつけても安全な人だからフリーダムに怒れるのです。つまり、イラッとした瞬間でも相手を判断する冷静さがあるということ。だったら、瞬間的にキレるorこらえるを判断するのではなく、キレないルーティンを実行することに理性を全振りするのが得策でしょう。
キレないルーティン――それは、「怒りの矛先から目を逸らす」ことに尽きます。
といっても、気持ち的なことではありません。行動です。目線を逸らしたその先で、目に入ったものに対して感じたことを心の中でツイートしましょう。
「白い」「丸い」「汚れてる」「欲しい」「なんでこんなとこにそれが!?」などなど、なんでも構いません。最低5個、怒りの元とはまったく違うことを考えることがポイントです。
感じたことを吐き出し終えたら、深呼吸。その頃には6秒が経過していて、瞬間的にキレることなく、目の前の出来事に冷静に対処できるはず。このルーティンが身につけば、瞬間的な怒りはコントロールできるようになります。
瞬間的な怒りがコントロールできるようになったら、「自分はなぜいつも、すぐに怒ってしまうのか」について、一度整理してみましょう。
ストレスが溜まっているのなら、その解消法を探したり作ったりしてください。
「誰かの言動に不満がある」というのなら、あなたの「常識」や「当たり前」を一度取っ払って、その誰かの言動を見つめ直してみてください。「こういう人もいるんだ」という柔軟性が養われるはずです。
人の話を最後までしっかりと聞いて、むやみやたらに怒らない。ただそれだけのことで、周囲の評価は「沸点の低い要注意人物」から「細かい部分まで気の回る人」へと180度変化します。そうすれば、「ちょっとせっかち」だとか「実は小心者」といった要素も、チャームポイントに見えてくるものです。
短気はすぐには直りませんが、訓練すれば必ず改善します。思い当たる節がある人は、周りの人が離れていく前に対処したいものです。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP:http://kamatamiwa.com
Twitter:@kamatamiwa
●最新著書
『気づいたら独身のプロでした』
KADOKAWA 刊
1,210円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
「めんどうな女のトリセツ」
宝島社 刊
1,296円(税込)
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。