面倒くさいことは何でも先延ばしにしてしまう【ワタシのトリセツ】(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
喫茶店で働く一見普通のパート主婦・照代は、人間観察や悩みを解決することが大の得意。毎回、性格に何らかの悩みを抱えているお客さんに、問題を解決する方法をこっそり伝授します。
●今回の登場人物
和佳照代(わか・てるよ)
43歳。喫茶「T&Nコーヒー」の店員。多種多様な人が訪れる喫茶店で働いているうちに、人間観察や悩みを聞くことが得意になった主婦。悩みを抱えている人や、自らの短所に気づいていない人を放っておけず、ついついアドバイスをしてしまうのが悩みの種。
客:伸山さき(のびやま・さき) 20代前半
今回のテーマ:面倒くさいことは何でも先延ばしにしてしまう性格
(1)自分のスキルを過信している
(2)「○△してから、やろう」がデフォルト
(3)計画性がない
【解説】
計画性がないのに楽観的。さらに、すぐ面倒くさがる性格で何でも後回しに
余裕を持ってやっておけば、あとが楽なのはわかっているのになかなかできない…、そんな先延ばし癖のある人が今回のテーマです。8月31日に宿題を一気に片付けようとするタイプだった方は、ぜひ熟読をお願いします。
先延ばしの弊害は、徹夜でやる羽目になったり、その後の予定を後ろ倒しにせざるをえなくなってしまったりすることだけではありません。段取りもスケジュールもしっちゃかめっちゃかになってしまうため、そもそもスケジュールを立てる行為そのものが無駄になってしまいます。それを経験則からわかっていてもなお、先延ばしにしてしまうのはなぜなのか? まずはその特徴から確認していきましょう。
1つ目は、「自分のスキルを過信している」です。
先延ばし癖のある人で、自分の想定していた時間内に、想定していた完成度で終わらせられる人はほとんどいないと言っていいでしょう。時間通りに終わらないため、後半はやっつけになってしまうのもデフォルトです。
「自分はできる人」という過信と楽観的な思い込みがそうさせているのですが、できなかったという事実と向き合うことは皆無、あるいはあっても一瞬です。「本気を出せば…」とか「次はうまくやれる…」といった謎の自信が、先延ばし癖を直そうとするモチベーションをゼロ化してしまうのです。
次に、先延ばしする人は「○△してから、やろう」がデフォルトです。
やったらやったでそれなりに集中できるのですが、基本的には「やりたくない」とか「面倒くさい」という不満が脳内では圧倒的に優勢なので、「すぐにやらなくていい理由」を無限に量産してしまいます。特に「気になることがあっては集中できない!」という、真贋定かならぬ大義名分からの「デスクまわりを整頓してから」とか「この動画を見てから」といった先延ばしコンボは強力です。「ちょっと寝てから」が視野に入ってくるようなら、地獄に片足を突っ込んだ状態だと言えるでしょう。
このように、今やらなくてもいいことを優先していると、当然のことながら周囲からツッコミが入ります。「いつやんの?」とか「いつまで、それやってんの?」という、子どもが母親に言われがちなアレです。言われた側の「今やろうと思ってたのに」からの「萎えるわ~。やる気なくすわ~」コンボは、もはや様式美と言っても差し支えないでしょう。
本当に「すぐにやらなくても大丈夫」ならまだしも、冷静に考えて「むしろ、もうやってないとマズイ」状況でも、この傾向が変わらないようなら相当な重症です。
そして3つ目が、結局のところ「計画性がない」。
先延ばし癖のある人は、けっこう無理めな予定もブッ込んでしまう傾向があります。「頑張ればなんとかなる!」と楽観的に考えてしまうからこそですが、ほとんどがなんとかなりません。
何をするにもある程度の時間と体力は消費するものです。そのため、後で頑張って巻き返すほどには、すでに時間も体力も残っていないのです。
もちろん、状況が変化して「行動を起こさなくてもよくなる」ということもあるでしょう。いわゆる「時間が解決してくれる」というヤツです。けれど、それはレアケースだと言えます。ほとんどの場合は、タイムリミットが近づくだけでしょう。
また、「先延ばしすることで気が楽になる」というメリットを声高に訴える方もいらっしゃるかもしれません。けれども、「やらなければならない」というストレスが長引くぶん、そのメリットは相殺されてしまい、期限が近づくにつれて増大していくストレスに見合うべくもありません。
自覚のある人は、なるべく意識的に改善していくべきでしょう。
【対処法】
「やらなきゃ」と思ったら5秒以内に着手。完成度は後回しに
先延ばし癖のある人に多いのが、意外にゴール設定が高いということです。完璧主義とまでは言いませんが、やり始めると集中してハイクオリティを目指す傾向があるようです。
それ自体は決して悪いことではありません。けれど、その高い設定が着手するまでの腰を重くしていると言えるでしょう。
そこでまず意識してもらいたいのは、「完成度を後回しにする」ということ。とりあえず最後まで終わらせてから、余った時間で完成度を高めるのです。最悪、完成度を高められなくても提出はできますが、最後まで終わっていなければ提出すらできません。
そう考えると、「とりあえず最後まで終わらせる」ために、「とりあえず、やってみる」を始める必要があることに気づくはずです。そして、とりあえずのゴール設定が低いぶん、着手までのストレスがそれほどでないことにも気づくことでしょう。
それでも「とりあえず、やってみる」が難しい人は、「やらなきゃ…」と思ってから5秒以内に着手することを心がけてみてください。「5秒以内」というのがポイントなので、歯をくいしばってでも5秒以内です。それ以上経つと、脳は「やらなくていい理由」を無限に量産してきやがります。逆に言えば5秒以内に着手すれば、脳は「やらなくてもいい理由」ではなく、着手した案件に集中してくれるのです。
このあたりのメカニズムは、全米で100万部超のベストセラーになった『5秒ルールーー直感的に行動するためのシンプルな法則』(メル・ロビンズ著/東洋館出版社刊)が詳しいので、興味のある方はご一読を。
完成度を後回しにして、「やらなきゃ…」と思ってから5秒以内に着手する――先延ばし癖のある人は、ぜひ一度、意識してみてください。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP:http://kamatamiwa.com
Twitter:@kamatamiwa
●最新著書
『気づいたら独身のプロでした』
KADOKAWA 刊
1,210円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
「めんどうな女のトリセツ」
宝島社 刊
1,296円(税込)