月ノウサギ(PARADISES)インタビュー『挑戦して一生懸命に取り組むことで見つけられる楽しさがある』
BiSH等が所属する音楽事務所“WACK”から誕生したアイドルグループPARADISES(パラダイセズ)。前グループGANG PARADEの分裂により今年3月に結成され、5月からは現メンバーでの活動がスタート。メンバーの一人である月ノウサギさんに、高校生の頃の貴重なバイト経験についてほか、7月22日にリリースとなった1st Full Album『PARADISES』の制作エピソードを伺いました。
まっすぐな輝きを放つ1st Full Album『PARADISES』が完成!
――初のアルバム『PARADISES』がリリースされますが、どういった作品になりましたか?
PARADISESならではのキャッチーでポップな部分を前面に押し出したアルバムになりました。以前、所属していたGANG PARADEが二分化されて“PARADISES”と“GO TO THE BEDS”になりましたが、私たちにしかないグループの特色を感じていただける作品になったと思います。
——MVが公開されているリード曲の「TWINKLE TWINKLE」には、まさにキラキラした要素が詰まっていますね。
ストレートな輝きがあって、これからのPARADISESを象徴している曲だと思います。サビのフレーズの“キラメくさ”は、新しく加入したキラ・メイにも掛かっていたりと、改めてこの4人で歩き出したことを実感しています。
——アルバムには月ノさんの作詞も2曲収録されていますね。
どの曲もメンバー全員がそれぞれに書いた歌詞を提出して、その中から1つが選ばれるのですが、GANG PARADE時代も含めて、自分の作詞したものが選ばれて形になったのは初めてなので嬉しかったです!
「YEAH!!」は、仮歌の段階から明るくて前向きな雰囲気があったので、自分たちがステージに立っている姿をイメージして書きました。今はライブが出来ない状況が続いていますが、ライブが出来る時がきたら応援してくださっているみなさんと思いっきりお祭り騒ぎをしたいという願いも込めています。
——「ズルい人」は視点が面白いなと思いました。
これは、ステージに立つアイドルに憧れる女の子を主人公にしていて、自分もその世界に行きたいと夢見るストーリーを描いています。この曲が先行配信された時に、人によっては恋愛ソングだと捉える方もいて様々な感想をいただきました。どの解釈も面白くて、正解はないので自由に聞いてもらえたらと思います!
——では、レコーディングで特に意識した曲はありますか?
1曲目の「終わらない旅」は他の曲のキャッチーさと比べると、壮大でエモーショナルな要素が強いので、曲に負けない歌を歌うように心がけました。
——歌詞にも“誰も助けない”という強いワードがあって驚きました。
他のポジティブ一直線なものとは違って、夢破れた痛みやもがきが描かれていますが、歌詞の最後には光を感じられる曲です。先日、夜に一人でアルバムを聴きながら帰り道を歩いていたら、ふいにこの曲の言葉やメロデイが胸に刺さって泣いてしまったんです。この曲は歌い続けることで私たちのアンセムになる気がしているし、まだ活動は始まったばかりですが常に新しい表現が出来るグループになっていけたらと思っています!
初めてのバイトは飲食店。忙しい時間帯を乗り切るためのコツとは?
——では、ここからはバイトについて伺いたいと思います。
高校生の頃に居酒屋と、少し高級なしゃぶしゃぶ店で働きました。
——バイトを始めようと思ったきっかけは?
高校生になって買いたい物が増えたり、ライブに行くためのチケット代や遠征費が欲しくて、知り合いに誘ってもらった居酒屋のホールで1年くらい働きました。
――仕事にはすぐに馴染めましたか?
最初に一通り教えてもらった後、平日はホールを1人で担当することが多かったのでドキドキしましたが、1つずつ出来ることが増えていくのは楽しかったです。時間帯によっては一気に大勢のお客さんがくるので、そういう時は焦って空回りしないように、あえて“忙しさの波がキタキタ!”と自分に言い聞かせて、ミッションをこなしていくゲームのような感覚で楽しむようにしていました。
――自分の気持ちを高めることで良い波にのると(笑)。
そうですね(笑)。ホールスタッフが少ないと、どうしてもお客さんの対応をしている時に料理が出来てきたり、やることが重なってしまい大変でしたが、そのぶん全体を上手に廻せた時は達成感がありました!
自分が店員になったことで、今までとは違う視点が生まれた
——他にも大変だったことはありますか?
バイトをするまでは家族や学校の中だけの人間関係だったのが、職場では大人の方たちと働くことになるので、言葉の使い方やコミュニケーションでは悩みました。特に困ったのが、厨房から間違えた料理があがってきてしまった時に「これ違います」の一言がなかなか言えなくて(苦笑)。忙しい時間帯だと、厨房の方も時間と戦いながら調理しているのが分かるので、余計に“どう伝えよう…”となりましたね。仕事だから言うべきことは主張しないといけないけれど、言い出すタイミングや伝え方が難しくて、学校とは違う緊張感がありました。
——たしかに、間違いを指摘するための伝え方は難しいですね。
そうなんです。それと、バイトをしてみて気づいたことがあって。言葉で説明するのは難しいのですが…バイトを始めるまではお店で働く方々を「店員さん」とか「料理を作る人」という職業で一括りに捉えていましたが、「店員さんも人なんだ!」と思うようになりました(笑)。すごく当たり前のことなんですけど、自分が店員という立場になったことで、職種ではなく個人として感じられるようになったんです。バイトをしたことで、視点を変えて見られるようになったのは大きな変化でした。
しゃぶしゃぶ店のバイトでは、着物の着付けや、細やかな礼儀作法を学べた
——その居酒屋からしゃぶしゃぶ店に移ったのはどうしてですか?
友だちが働いていたのと、時給が高かったので紹介してもらいました。少し敷居の高いお店で制服が着物だったので、まず1人で着物を着られるようになるのが最初のお仕事でした。始めたばかりの頃は毎回1時間くらいかかっていたんですけど、慣れてくると15分ほどで着られるようになりました。そのお店では着物の着付けや、配膳の位置など細かな礼儀作法やマナーも学びました。
——高校生で着付けが出来るのは自慢になりますね!
はい! でも残念ながら、夏は花火大会に行く友だちに浴衣を着せて、自分はそのままバイトに行っていました(笑)。
——ちなみに着物での接客は動きづらくないですか?
動きづらさよりも、運動量があるので暑さが大変でした。毎日汗だくでしたね(笑)。しかも、お座敷だと膝をついて接客をするので、膝にはサポーターをつけて万全の体制で働いていました。なので、高校の青春時代はバイトに捧げたといっても過言ではない気がします!
バイト先で学んだ礼儀作法を通じて、それ以上に大切な気遣いを学べた
――教わった作法の中でも、特に印象に残っているものはありますか?
細かなことはたくさんありますが、作法はもともと相手への気遣いから生まれたものだと思うので、一番は相手の立場になって考えることの大切さを学びました。接客でいうと、たとえば飲み物がこぼれたら言われる前におしぼりを持っていくとか。小さなことですが、一歩先を考えて動くことでお客さんが笑顔になってくれたり、店長に褒めてもらえたことも自信につながりました。仕事にも徐々に慣れていって、お店のスタッフさんに「あなたなら大丈夫」と仕事を任せてもらえた時はすごく嬉しかったのを覚えています。
——では、最後にこれからバイトを始めようと思っている方にメッセージをお願いします。
バイトをしたことで自分の中の世界が広がりました。大人になった今でもたくさんの挑戦があって、大きな変化がある時は一歩を踏み出すのが怖いと感じる時もあります。でも、新しい場所に飛び込んで夢中で頑張ることで、その先にある達成感や楽しみに気づけるんです。
特にバイトは色々な職種があるので興味のあるものを選ぶことも出来るし、たまたま行ったところで大きな出会いがあるかもしれない。全てが経験になると思うので、学業に支障がでない範囲でぜひトライしてみてください!
月ノウサギ(PARADISES)
月ノウサギ、テラシマユウカ、ナルハワールド、キラ・メイからなるアイドルグループ・PARADISES(パラダイセズ)。所属する音楽事務所WACKが3月に主催したオーディション合宿最終日に、GANG PARADEが分裂され、“GO TO THE BEDS”“PARADISES”にわけた新グループが結成されることが発表される。4月には、2グループでのスプリットアルバム『G/P』をリリースし、今作のアルバム『PARADISES』がグループ単独では初のリリースとなる。
◆PARADISES OFFCIAL SITE: https://paradises.jp/
◆月ノウサギ Official Twitter:@TSUKI_PARADISES
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影・河井彩美 取材・文:原 千夏