吉田仁人(M!LK)インタビュー『“上手くなりたい”という気持ちがあれば、少しずつでも成長していける』
2014年に結成したボーカルダンスグループM!LK(ミルク)。“何色にも染まることの出来る存在に”をキャッチフレーズに、音楽活動から俳優など幅広いシーンで活躍中。“表現をする仕事がしたかった”というリーダーの吉田仁人さんに、仕事に対する向き合い方を伺いました。M!LKとしては、3月24日Single「energy」をリリース!
クリエイターとのコラボで引き出された新たなM!LKが満載!
——新作は4人のクリエーターとのコラボ作品となっていますが、それぞれの曲について紹介をお願いします。
表題曲の「energy」は、ラップアーティストのさなりさんとのコラボ曲になります。以前ゲーム配信でご一緒した時に「一緒に何か仕事が出来たらいいね」という話をしていたので1つ希望が叶いました。楽曲自体は、いくつか候補曲をいただいたなかで、あえて一番“M!LKっぽくない”ものを選んでいて、レコーディングでもオートチューンという歌声を変化させる機材を使用した新しい取り組みが出来ました。歌詞は、僕たちのファンへの思いを形にしてくれています。
——初回限定盤に収録の「行けたら行くよ」は斬新でした。
誘いを受けた時に「行けたら行くよ」と返事をする、まさにタイトル通りの曲で、マハラージャンさんにプロデュースしていただきました。楽曲はファンクテイストでカッコイイのに、歌詞はテキトーな性格の人物像を描いていて(笑)。すごく共感ポイントがたくさんある歌詞だと思うので、メロディと歌詞とのギャップも楽しんでもらえると思います。
——通常盤の「何処へ」はバラードですね。
YouTubeでも活躍されているコバソロさんプロデュース曲です。事前に対面して僕たちのことを知っていただいたうえで制作してもらいました。歌声に感情を込めやすかったですし、歌詞も“過去と今の夢は違っていても頑張っていこう”という自分自身と対話が出来るような内容になっています。
——そして、FC限定盤は「君とスクロール」。
“sumeshiii a.k.a.バーチャルお寿司”さんからの提供です。初々しさを忘れないでいたいというラブソングになっています。ただ、過去の出来事をスクロールして振り返るという意味合いも強いので、ファンの方たちと共有してきた今までの時間を改めてライブでも分かち合えたらと思います。ちなみに、実際にメンバーとは、スマホ画面をスクロールして「こんなの出てきたよ」と写真や映像をよく見せ合っているので、すごくリアルな歌詞だなと思いました(笑)。
——全曲が違ったテイストなのも楽しめました。
“どれだけ変幻自在でいられるか”という、グループとしての振り幅をより広げるための1枚になりました。今年は、M!LK(ミルク)にゆかりのある丑年ということで、挑戦の年になると感じています。今作の制作を通して、良い刺激をたくさん受けられたので、ちゃんと自分たちの色にしてライブで披露していけたらと思います!
事務所に入った頃は、気持ちが折れないように虚勢を張っていた
——ここからはお仕事について伺いたいのですが、この仕事を目指したきっかけは?
3歳くらいの頃、僕がテレビを見て踊っている姿を見て、母が地元のダンススクールに連れて行ってくれたことが今に繋がっています。中学になって将来を考えた時に、ダンスを続けながら“もっと色々な表現をしたい”と思い、今の事務所(スターダスト)のオーディションを受けました。だから、特定の夢というよりは“表現がしたい”と思ったのがきっかけなんです。
——ダンスへの情熱が途切れることはなかったのでしょうか?
ヒップホップから始めて、ジャズやブレイクなど様々なジャンルがあったのと、チームを組んだり、ソロでコンテストに出たりと目標があったので飽きることはありませんでした。特に、大会などで踊って会場が盛り上がった時は、自分のダンスが“届いた”と感じられて嬉しかったですね。表現者への憧れも、それがルーツにあるのかもしれないです。
——その後、事務所に入った時はすぐに馴染めましたか?
馴染むどころか敵を作り過ぎていた気がします(笑)。研究生の頃はレッスンのために、週末に鹿児島から東京に通っていました。でも東京に来てみると、スカウトで入ったような人もたくさんいて“彼らには負けられない!”という気持ちが剥き出しになっていましたね。
今思うと反骨精神もありましたが、それ以上に慣れない環境の中で“ここで気を緩めちゃダメだ”という気持ちから虚勢を張っていたんだと思います。だから仲間を作ることより、自信をつけるためにも歌や芝居を早く覚えようと自分自身と戦っていた気がします。
——ダンスを武器にしようとは思っていなかったのでしょうか?
どちらかというと“ダンスがあるから大丈夫”というよりは、“評価してもらえるダンスがあるのに負けるわけにはいかない!”という気持ちのほうが強かったかもしれないです。
この活動を長く続けるために、行き詰まった時は少しだけ自分を許すようにしてる
——新たな挑戦も増える中で、苦手に感じることはなかったですか?
表現に関するものへの苦手意識はありませんでした。たとえば、ダンスと違って歌や演技は初心者でしたが“上手くなりたい”と思えているうちは頑張れるし、上達が遅くても続けていれば少しずつ成長出来ると思っていました。
——伸び悩む時期もあると思うのですが。
そういう時は“経験値が少ないから仕方がない”とか“いいじゃん、まだまだ難しくてさ”と、少し自分を許してあげるようにしました。「やらなきゃ」という思いでタスクを積み上げ過ぎると身動きがとれなくなってしまうので…。諦め切るわけではなく、少しスピードを緩めてあげる。好きという気持ちさえあれば、長く続けていくことも出来るので、その気持ちは大切にしています。
ちなみに全くダメなのは球技で、学生の頃から出来なくて諦めました。今でも動画や企画などで球技をする時は、メンバーが僕で遊んでくれたらいいやって割り切っています(笑)。
リーダーになった時に、責任とともに仕事だという意識が芽生えた
——では、目指していたものが仕事になったと感じたのはいつ頃ですか?
メンバーの卒業や加入を経て7人体制になった時にリーダーを任されました。そこで仲間について考えたり、グループが家であり守りたいものだと改めて感じたことで、責任と共に仕事だという意識が芽生えました。
それまでは楽しい部活動という感覚が強かったんです。でも、大事なものを守っていくためには、目の前にあるラクなことより、困難でもグループの未来や成長につながることを優先しようと考えるようになりました。
——自分自身のことから、グループへと意識が変化していったと。
そうかもしれないです。昨年2月からは、さらに新体制となり5人での活動になりましたが、コロナ禍の影響でツアーが中止になった時は本当に辛かったです。発信する場所を失ったことで、これまで自分が頑張ってきたことも価値のないことに思えて大きな挫折を味わいました。ステージに立つ以外にやりたいことも見つからなくて、配信ライブが決まった時はメンバーやスタッフさんに久々に会えたことが本当に嬉しくて。仲間がいて、観てくださる方がいて、目標に向かって進めるということは幸せなことなんだと感じました。
スタッフさんからのアドバイスで、自分を俯瞰して見ることを学んだ
——お話を伺っていると、すごく自分自身を客観視されているように感じます。
自分を俯瞰して見ることの大切さはスタッフさんに教わりました。自分の行動がどう映るかを考えると必然的に周囲の人のことも考えるようになるので、視野は広くなったと思います。それと、人に“こう見られたい”という自分をイメージして行動するようにしています。まだ理想を追っている段階ですが、いつか中身がそれに伴っていったらいいなと思います。
——他にも印象に残っているアドバイスがあれば教えて下さい。
別のスタッフさんからですが、上京した時に「標準語を覚えたうえで鹿児島弁を特技にしなさい」と言われました。方言をコンプレックスに感じていましたが、個性になるということを気づかせてもらいました。
——では最後に、夢を探している方にアドバイスをいただけますか。
夢がないのは、現状の目に映る範囲の中に興味があるものがないだけだと思うんです。世の中には数え切れないほどの職業があるから、色んな世界を知ることで好きなことは見つかると思います。だから、チェスト(鹿児島弁で「がんばれ」)です!
吉田仁人(よしだ・じんと)
1999年12月15日生まれ、鹿児島県出身、担当カラー:きらめきイエロー
スターダストプロモーションが手がける“スタダ系男子”集団【EBiDAN(恵比寿学園男子部 )】から選抜された大注目のボーカルダンスユニット・M!LK(ミルク)のリーダー。2014年11月にユニットを結成し、翌年3月に「コーヒーが飲めません」でCDデビュー。メンバーの卒業を機に2020年2月からは、新たに現在の5人体制で活動をスタート。俳優としても活動しており、吉田仁人、塩﨑太智 主演の短編映画「Cycle-Cycle」(金井純一監督)は、ドイツ・ フランクフルトの映画祭で最優秀賞を受賞した。
◆M!LK OFFCIAL SITE:https://sd-milk.com/
◆吉田仁人 Official Twitter:@Y_Jinto_1215
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影・河井彩美 取材・文:原 千夏
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。