俳優・宮世琉弥さんインタビュー 「目標を決めたら地道に努力するだけ。今はたくさんの現場を知りたい」
夜間救急専門チーム結成のために集められた若き医師たちが、命と向き合いながら成長していく姿を描く「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)に、岡本勇馬役で出演している宮世琉弥さん。撮影現場でのエピソードを聞いたほか、普段、どのような思いで仕事に臨んでいるかを尋ねました。
事故現場での撮影を通し、医療従事者の皆さんへの感謝がより強くなりました
――月9ドラマへの出演を目標の一つと掲げていたそうですが、決定した時の心境から聞かせてください。
最初は「何かの間違いかな?」とすら思っていたのですが、プロデューサーさんや監督さんとお話している時や、衣装合わせ、顔合わせを重ねて「本当に出演するんだ」と実感がわいてきて。決まったことは本当にうれしかったのですが、同時に「皆さんの足を引っ張らないようにしないと」と、身が引き締まりました。
――演じる勇馬は1話でお祭りの最中に事故へ巻き込まれてしまいましたが、撮影の裏側について聞かせてください。
事故現場での大掛かりな撮影が僕は初めてだったのですが、その緊張が勇馬としてのお芝居に活きたのではないかなと思います。作品の中の出来事ではありましたが、現場では医療監修の方が医師役の皆さんへ所作の指導をなさっていて、その大変さを目の当たりにし、実際の医療従事者の皆さんへ感謝せずにはいられませんでした。
――その場面で勇馬は、北村匠海さん演じる桜庭先生たちに助けてもらいましたが、所属事務所の先輩との共演はいかがでしたか?
匠海くんは普段から輝いているのに、撮影現場ではいつも以上に輝いて見えました。先輩のお芝居を生で見られたことは貴重な経験です。
心美ちゃんを献身的に看病する勇馬だけど、実際の僕は“甘えたい派”です(笑)
――ファンの皆さんにとってもうれしい2ショットでしたね。勇馬にはどのような印象をもっていますか?
心美ちゃん(原菜乃華)と交際していることを兄の深澤先生(岸優太)はよく思っていないのですが、深澤先生から拒絶されても諦めず、まぁ、天然で気づいていないだけなのかもしれないですけど(苦笑)、まっすぐな性格で、病気がちな心美ちゃんを献身的に看病している心優しい少年です。
――もし、宮世さんが勇馬の立場だったら、同じように看病しますか?
もちろんします! 僕は長男で、妹たちの面倒をみてきたので勇馬と同じように行動すると思います。
――性格的には「お世話されたいタイプ」よりも、「面倒みたい派」ですか?
いや、妹たちにデレデレされてきた分、僕も甘えてみたいです(笑)。
――放送は後半にさしかかりましたが、撮影で特に印象に残っているのはどのようなことでしょうか?
美月先生(波瑠)、深澤先生、心美ちゃん、勇馬でアウトドアへ出かけるシーンがあったのですが、現在のご時世的にプライベートで遊びに行くことは難しいじゃないですか。撮影とはいえ、自然の中で皆さんとワイワイできたことは楽しかったです。癒やされましたし、自然っていいなと改めて感じました。
――このドラマの魅力をどのような部分に感じていますか?
5人の医師たちがそれぞれ違う悩みを抱えつつ、どう患者さんと向き合っていくか。また、医療モノの作品でありながらヒューマンドラマ、青春ドラマの要素もあるので、いろんな見方ができる作品だと思います。そして、心美ちゃんと勇馬の恋愛の行方にも、最後まで注目していただけたらうれしいです。
震災を風化させないためにも、一線に立つ俳優になってメッセージを届けなければと……
――俳優をやっていくうえでの目標を聞かせてください。
僕は宮城県出身で、東日本大震災を経験しています。あれから10年が経って風化している部分もあるし、震災後に生まれた世代は当然そのことを知りません。震災があったという事実を広く伝えるには、自分が一線に立つ俳優になって、映画やドラマでメッセージを届けることが最善だと考えたので、お芝居を全力でやっていきたいと思いました。
――そう考えるきっかけがあったのでしょうか?
仕事を始めた当初は宮城から通っていたのですが、東京で同じ仕事をしている子たちと話した時、僕たち東北の人間にとっては当たり前のことを、皆知らなかったんです。もちろん地域差はあると思いますが、意識の違いに正直モヤモヤしてしまった自分がいました。
そんな中、福島第一原発内で戦った方たちの奮闘を描いた映画「Fukushima 50」を観て、いつか宮城を舞台にした作品をつくりたいと強く思いました。そのためには僕が演者としての経験を積むことはもちろん、裏方のことも勉強し、知っておかなければいけないと考えたんです。まだ何十年もかかると思いますが、いつか必ず実現させたい夢です。
迷うのはいいことだと思うけれど、何事も決断は早いほうがいい
――俳優として歩き始めてから約1年半、苦労していることはありますか?
演技未経験で俳優を始めたので、自分じゃない人物をどう演じるかにまず苦戦しました。現場にいるだけで緊張してしまうのに、カメラを向けられて演技をすることが初めての感覚で、さらには知らない業界用語が飛び交っていて。そのたびに、共演の方やスタッフさんに「どういう意味ですか?」と質問していたのですが、おかげですぐに打ち解けることができて、フレンドリーな性格でよかったと思いました(笑)。そんな点においては、いつまでも自分らしくいたいと考えています。
――自分らしさのほか、仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことでしょう?
謙虚さです。自分で大事にしていることでもありますし、マネージャーさんからも「常に謙虚でいることを忘れないように」と言っていただいています。
――俳優業に関して、どのような思いがありますか?
とりあえず、現場をたくさん知りたいです。仲間が増えますし、同世代の俳優の活躍は特に刺激になるので、切磋琢磨できるといいなと思います。
――理想とする俳優像を教えてください。
変幻自在のカメレオン俳優、どんな役でも演じられる俳優です。今は経験することが大事だと思うので、経験を積んでいろんな引き出しを作っていきたいです。
――宮世さんと同世代の皆さんへメッセージをお願いします。
僕の世代って、「やりたいことがまだ見つからない人」が多いと思うんです。迷うのはいいことだと思うのですが、決断は早いほうがいいのではないかなと。時間はあっという間に過ぎてしまうので、確信がなかったとしても、まずは一旦、目標を決めるのがいいと思います。決断したら、どのような順序で進めればいいのか自然とみえてくると思うので、あとは地道に努力を重ねるだけ。僕も頑張りますので、一緒に頑張っていきましょう。
宮世琉弥(みやせ・りゅうび)
2004年1月22日生まれ、宮城県出身。2019年にドラマ『パーフェクトワールド』で役者デビュー。主な出演作に、ドラマ「恋する母たち」(TBS系)、「青のSP-学校内警察・嶋田隆平-」(関西テレビ・フジテレビ系)、「珈琲いかがでしょう」(テレビ東京系)など。今年3月に発売したスタイルブック「RB17りゅうびセブンティーン」が二度の重版となり、「めざましテレビ」(フジテレビ系)ではマンスリーエンタメプレゼンターに史上最年少で抜擢されるなど話題を集めている。
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企画・編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
ヘアメイク:小林麗子(do:t)
取材:荒垣信子