俳優・岡田龍太郎さんインタビュー 「作品は皆で協力して作り上げるものだから、受け身にならず積極的にしたいことを発信していく」
Vシネクスト「ゼロワン Others 仮面ライダーバルカン&バルキリー」で、不破諫/仮面ライダーバルカンを演じた岡田龍太郎さん。「仮面ライダーゼロワン」スピンオフシリーズの完結編にあたる本作へかけた思いを尋ねたほか、普段、どのようなこだわりをもって仕事に向き合っているのかを尋ねました。
トランポリンを取り入れた、昭和ライダー王道の変身ポーズに注目してほしい
――まずは完成した作品をご覧になった感想から聞かせてください。
本格派の作品に仕上がったと感じました。ただ単にヒーローが悪をやっつけるのではなく、悪とみられている人たちにもそれぞれの正義がある。そんな部分がしっかりと描かれた作品になったと思います。
――不破諫が橋の上でソルド(兵士型ヒューマギア)たちに向かって“自身の正義”を訴える場面にはシビれました。
正義感あふれる不破の熱血ぶりが前面に押し出される、もっとも象徴的なシーンですね。
――撮影を振り返って印象的だったことを聞かせてください。
これまではショットライザーを使って変身していたのですが、今回「ゼロワン」スピンオフシリーズの締めということで、主人公の飛電或人(高橋文哉)が使っていたゼロワンドライバーを初めて使用したことが自分にとって、大きな出来事でした。
――苦労したことや大変だったことはありませんでしたか?
テレビシリーズでの不破は真剣なキャラクターながら、或人のギャグで笑ってしまうコミカルな一面も描かれていて、そのギャップが面白いキャラクターだったのですが、この「バルカン&バルキリー」はコミカルな場面が一切ありません。或人は登場するけれど、不破とのかけ合いはほぼなく、ということは表情が変わる場面がほとんどないので、お芝居が単調にならないように演じることが課題でした。
――課題といえば、新たなアクションに挑戦したと聞きました。
変身シークエンスのところで初めてトランポリンを導入して撮影したんです。僕が子どものころ、仮面ライダーの変身ポーズを真似していたように、今の子どもたちにも真似してほしいと思って、本編では自分で変身ポーズを考え、少しずつフォームを変えていました。今回の作品でもどうしようと考えて、アクション監督さんに「トランポリンを使わせてもらっていいですか?」と相談したんです。
――トランポリンでジャンプし、空中で体勢をキープするのは体にも負担がかかりそうですが…。
そうなんです。アクション監督には「まだ早い」と言われたのですが、それでも撮影している横でアクション部の方たちに教えていただきながらピョンピョン飛んでいたんです。練習を重ねた結果、高さが出る飛び方ができるようになったので、ついにGOサインが出ました。これまでと違う形になりましたし、昭和ライダーの「トゥッ!」のような王道のライダーらしさが表現できたのではないかなと思います。
――劇中、「命をはるのは野良犬の俺だけでいい」など、カッコいいセリフも登場しましたが、印象に残っているセリフはありますか?
「くだらねぇギャグで笑って生きてりゃいいんだよ」と言いながら戦っているシーンがあるのですが、このシーンの不破は今までにないぐらい饒舌で、早口でしゃべっているんです。くだらないギャグ=或人のギャグで笑うのは不破だけなので、それを滅亡迅雷に対して言うことって、ちょっとシュールだよなと感じました(笑)。
仮面ライダーバルカンはこれから先もずっと僕のヒーローです
――不破という人物を約2年にわたって演じてきましたが、お芝居においてどのようなことを意識していましたか?
感情があふれ出るシーンが多く、そこに追いついていないと、すっからかんな芝居になってしまうと考えたので、不破の熱量や力強さに負けないように意識していました。
――仮面ライダーバルカンは岡田さんにとってどのような存在ですか?
一人で戦うヒーローの象徴として、以前から仮面ライダーに憧れていたので、出演が決まったときにはとても感激しました。さらに、バルカンは性格などすべてが僕好みのライダーで、そんなヒーローを演じることができてラッキーだなと。これから先もずっとバルカンは僕の中で大切な存在で、自分にとってもヒーローです。
――そんなバルカンに影響をうけた部分はありますか?
不破諫は武骨だけど一本筋の通った人間なので、僕自身励まされることも多かったです。そして、そんな不破を演じたおかげで、僕も強くいられたのだと思います。
――今作でもっとも注目していただきたいのはどのような部分でしょうか?
「ゼロワン」のストーリーをいろいろなところで回収しつつ、最後までブレない不破諫の姿、そして、滅亡迅雷とのこれまでの関係性をふまえた内容になっているので、どういうふうに着地したのか、注目していただければと思います。
夢を叶えた今、新たな夢を模索しているところです
――岡田さんが、普段仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことでしょうか?
俳優というのは観ていただく方に楽しんでもらうことが仕事で、それは自分一人でつくり上げるのではなく、多くのスタッフさんと力を合わせてやっていかなければなりません。その中で決して受け身にならず、自分がこだわったポイントやお見せしたいことにおいて、「僕はこうしたい」と積極的に発信するようにしています。
――デビューから約5年、仕事へのスタンスの変化はありましたか?
僕は大学生の時に「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」を受けて、この世界へ入ったのですが、「仮面ライダー」がやりたくて俳優になったみたいなところがあるんです。子どもの頃に憧れていた仮面ライダーに、もしかしたら手が届くかもしれない、そう思ってオーディションに挑みました。最初の夢を叶えたので、今は次の夢へ向かおうとしているところです。
――早くも夢に到達したんですね。
そうなんです。ある種、夢が叶ってしまったので、今は次の夢へ向かおうとしているところです。次の夢は、まだ模索中です。
「ファンの皆さんをガッカリさせない」という思いが僕を支えている
――では、岡田さんの原動力になっているものは何ですか?
「ファンの皆さんをガッカリさせない」という思いだけですね。作品を観てくださる方の応援でここまでやってこられたので、「その人たちを裏切るようなことは絶対にしたくない、どの作品も最後まで責任をもってやり遂げる」という信条が僕を支えています。
――最後に、夢や目標へと近づくために奮闘している皆さんへアドバイスをお願いします。
僕自身も次に目指すところを模索している段階ですが、まずは、目標を掲げてそこに向かって努力していくことが大事だと思うんですよ。僕もまだ偉そうなことを言えた立場ではありませんが、自分の胸に手を当て、何がやりたいのかを考える。そして、その事柄と向き合って、幸せを探求していくことが一番だと思います。
岡田龍太郎(おかだ・りゅうたろう)
1993年12月27日生まれ、兵庫県出身。2016年「第29回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞し、芸能界デビュー。2019年「仮面ライダーゼロワン」(テレビ朝日系)に不破諫/仮面ライダーバルカン役でテレビドラマに初めてレギュラー出演する。これまでの主な出演作に、AbemaTV「恋愛ドラマな恋がしたい」、連続ドラマW「華麗なる一族」(WOWOW)、映画「リカ 自称28歳の純愛モンスター」などに出演した。
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企画・編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子