真田佑馬(7ORDER)インタビュー「心が止まるような経験もしたけれど、人生なんとかなる。振り返った時に笑える人生でいたい」
2004年に芸能界入りし、2019年からは7ORDERのメンバーとして活動している真田佑馬さん。そんな真田さんが「劇団鹿殺し 活動20周年記念公演『キルミーアゲイン’21』」に出演する。記念作にどのような心境で挑むのか。そして、現在に至るまでどのような経験をし、どのようなことを感じてきたのか、赤裸々に語ってくれました。
劇団の記念公演に呼んでいただいたことで、芝居への思いを再認識しました
――まずは、「劇団 鹿殺し」20周年記念作品に出演する思いから聞かせてください。
僕も子どものころから長く芸能活動をしているので、わかるという表現は失礼にあたるかもしれませんが、一つのことを20年続けるってとても大変なことだと思うんです。同時に、20年間、お客様の前でお芝居ができるのは楽しいことでもある。そんな記念公演に呼んでいただいたことがうれしく、そして、僕は芝居が好きなんだと再確認することができました。
――今作は5年前にも上演されたものですが、当時の映像は見ましたか?
すべてを見てしまうと影響を受けてしまうので、参考のためにというより“観客”として、途中まで見ました。
――観客としての感想を聞かせてください。
まずは「人魚」役のインパクトが大きかったですね(笑)。どんな作品でも、まずはタイトルから入るじゃないですか。「キルミーアゲイン」と聞き、最初は「熱い作品なのかな?」と考えましたが、資料には喜劇と書いてある。見進めていったら人魚が登場して、「僕はこれをやるのか、ありがたいな」と思いました。
――早くも見どころの一つをバラしてしまいましたね(笑)。人魚の格好をすることについて、どのような思いをもっていますか?
フィッティングの時に体のサイズを測ったのですが、バストとヒップが同じで、“ボンキュッボン”だなと思いました(笑)。
――かなり吹っ切らないとできない扮装、そして、お芝居だと思うのですが、抵抗はありませんか?
楽しみという感情しかありません。演者はお客様に伝えたいものがあるから、板の上で一生懸命に演じる。僕は人の笑顔を見ることが好きなので、そんな役を演じられて幸せです。
大学で学んだことが、現在の活動や人間関係に活きている
――芝居以外にも歌やダンス、楽器の演奏などやらなければいけないことがとても多い作品ですが、苦戦していることはありませんか?
単純にキャパオーバーしています。ダンスがあり、歌があり、演奏シーンもあるけれど、普段やっているダンスや歌ではなく、楽器も違う。言葉にするのは難しいですが、思考を切り替えなきゃいけないっていうのかな…。だからこそ面白さにつながるんだと思います。
――劇中、高校の演劇部員や吹奏楽部員が懸命に練習へと励む様子が描かれていますが、真田さんもこれまで、何かを作り上げる達成感を何度も経験しているのではないですか?
大学では映画を撮ったり、演劇を制作したりしていたのですが、単位が足らず、卒業制作として実技で何かを制作しなければいけなくなって。「じゃあ、映画を撮ります」とクルーを集め、演劇から映画となり、そして、また演劇へと戻る作品を作り上げ、なんとか卒業できました。今、思えばその時はかなり必死でしたね。でも、ゴールに向かって走っている最中や、映画の最終編集をしている時は大学へ行ってよかったと心から感じました。
――当時の経験は、現在にも活きているのではないですか?
自分にも活きていますし、人間関係にも活きています。7ORDER初期のPVは、大学の仲間に撮ってもらったものです。今でも仕事を依頼することが多く、そういった意味でも演劇や映画など、大学で学んだことが僕の基盤になっていますね。
心が止まるような経験もしたけれど、いつか振り返った時に笑える人生でいたい
――劇中、「15年前に止まった心が動き出す」というセリフが登場しますが、真田さんも心が止まるような経験をしたことはありますか?
いっぱいありました。心が止まるような経験しかしてないです…。でも、こう言うと怒る方もいるかもしれませんが、人生ってなんとかなるんですよね。傍からはツラそうに見える時期だったかもしれないけど、実際の僕はツラさを感じていない。それもいい経験だったと今は言えますし、いつか振り返った時には笑える人生でいたいです。
――今、目標としていることは何ですか?
昔は「これをしたい」と目標を設定することもありましたが、決めてしまうと達成した時、燃え尽き症候群になるのがわかっているので、それ以降は目標を掲げないようにしました。ただ、「僕はこういう人間です」と説明できる人でいようとは思っていて。僕が理想とする素敵な生き方をしていて、尊敬している存在の方はいます。
――差し支えなければ、その方について聞かせてください。
星野源さんとリリー・フランキーさんが好きで、音楽を1から勉強し、作曲できるようになったのもお二方の影響です。ジャンルレスでありながら、自分というフィルターを通していろいろな表現していくのは僕自身もやりたいことで、お二方のような表現者になりたいと考えています。
――普段の活動において、心がけていることはありますか?
役者として一番やっちゃいけないのは普通の感覚を忘れる、常識を外れることだと考えています。今、何が流行っていて、若い子の感性はこう、ということを把握していないと、例えば作品内で20代を演じることになった時、ズレみたいなものが生じてしまう。さらに、僕は差別をする人、お金に関してマウントをとる人が苦手で、そういう人は友だちにいらないと考えているので、常にフラットな感覚でいることを心がけています。
――自分の中でのルールはありますか?
インプットとアウトプットの時間をきちんと設けるようにしています。人前に出続けていたら消耗してしまう部分もあるし、何もしない期間で感性が培われることもあるので、そのバランスは大切にしようと意識しています。
肩書を聞かれたら、アイドルでもアーティストでも役者でもない「僕」と答える
――真田さんにとって7ORDERはどのような存在ですか?
これまで「家族」と言ってきましたが、最近、感じるのは仲間であり、家族でもあるけれど、互いにリスペクトできる存在でいてくれることがありがたいなって。僕たちは“ならず者”というか、役者であり、バンドマンであり、アーティストであり、時にはアートをやる人でもある。「中途半端」や「やりたいことは一つに絞りなよ」と言われ、“器用貧乏”という言葉がずっとつきまとっているのですが、メンバーに対してすごいという感情しかなくて。
――いい関係性なんですね。
一つの作品について「そうじゃない、こっちのほうがいい」とケンカすることもあるけれど、だからこそ面白いものが作れている。一人で仕事をして得たものをグループに持ち帰ろうとごく自然と思える自分がいて、メンバーとならこんなことができ、一人ならこんな表現ができる。感性を磨くことのできる場所がある今が、とても楽しいです。
――「あなたの肩書は何ですか?」と聞かれたら、何と答えますか?
「僕」です。アイドルと言われても「アイドルじゃない」って言うし、アーティストと言われても「アーティストじゃない。僕です」と言います。
――「僕」というジャンルでしょうか?
そんなカッコいいものではありません(笑)。わかりやすく言うと、芝居と音楽を大軸とした二刀です。何者でもなく、皆がひれ伏すような高い位置にも行きたくない。ただ「僕」という人間でいたいです。
――独自のフィールドで奮闘している真田さんから、さらに若い世代へメッセージをお願いします。
「若いうちは経験を積んだほうがいい」と言われ続け、いろいろやっては傷つき、経済面で悩み、時代のせいにしたこともありましたが、今、言えるのは「仲間を見つけておいたほうがいい」ということ。仲間が心の糧になるのは間違いないです。「友達を作れ」とは言いません。仕事仲間でもいいですし、この人とこういうことをやってみたいというものを持っておくだけで、自分を見失った時、即座にかつての自分へと戻れるのではないでしょうか。
真田佑馬(さなだ・ゆうま)
1992年11月21日、東京都生まれ。2004年より芸能活動を開始し、多くのドラマやバラエティ、舞台で活躍する。2019年「7ORDER project」が始動。主な出演作に「27-7ORDER-」など。11月27日(土)の東京・TACHIKAWA STAGE GARDENを皮切りに、2022年2月27日(日)東京・国立代々木競技場第一体育館まで、12都市を巡る全国ツアー「7ORDER LIVE TOUR 2021-2022『Date with……』」を開催する。
◆公式サイト:https://7orderproject.com/
◆7ORDER 公式Twitter:@7order_official
◆真田佑馬 公式Twitter:@sa7daofficial
◆7ORDER 公式Instagram:@7order_project_official
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
ヘアメイク:磯野亜加梨(スタジオまむ)
取材・文:荒垣信子