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2022年09月07日

俳優・鳥越裕貴さんインタビュー 「自分には“役者しかない”と感じてから、死に物狂いで向き合うようになった」

鳥越裕貴 インタビュー タウンワークマガジン townwork死を肯定する医者と、生に懸ける医者、そして、自らガンを患ってしまう医者――3人の医者が病気を通し、人はどう生きていくべきかを問う舞台「最後の医者は桜を見上げて君を想う」に出演する鳥越裕貴さん。同作に携わったことで考えた“生と死”について聞いたほか、鳥越さんが普段、どのような思いで仕事に向き合っているのかをインタビューしました。

 

僕が演じる音山は、重厚な物語の中で観客の皆さんに安らぎを届けられる存在

鳥越裕貴 インタビュー タウンワークマガジン townwork――原作は、本読み書店が選ぶ「感動小説」第1位に輝いた医療ドラマですが、ご存じでしたか?

出演が決まってから読んだのですが、ボロボロに泣きました。1ブロックごとに、患者さんが自分の病や治療へと真摯に向き合う過程へと感動し、そして、「いつ誰に何が起きてもおかしくない」という自分にも置き換えられるような不安も同時に感じました。そして、それを受けての医師たちの生と死の捉え方がとても印象的でした。

――鳥越さんが演じる医師、音山の印象を聞かせてください。

音山は同期の福原や桐子のような突出した信念こそもっていませんが、一番人間らしい医師なのではないかなと感じました。僕自身、音山が迷っている姿や人としての温かみに共感できる部分が多く、もし彼が医師ではなかったとしても、作品を観てくださる方の大半が彼に共感を覚えると思います。自分がおかれた立場をよく理解している人物ですね。

――どんなふうに音山を演じたいと考えていますか?

この重厚な人間ドラマを、2時間弱という上演時間で描くのはかなりヘビーだと思うんです。シリアスな物語の中、観客の皆さんに安らぎを与えられる唯一の存在が音山だと思うので、そんなふうになれたらいいなと考えています。

 

「自分らしく生きることの大切さ」を受け取ってほしい

鳥越裕貴 インタビュー タウンワークマガジン townwork――鳥越さん自身が余命を宣告されたら、どのように受け止めると思いますか?

いつどんなことが起きるかわからないので、楽しく生きよう。そして、いつ命の終わりが来てもいいようにという思いで、日々を生きていく、そんなふうに受け止めると思います。

――命が終わるまでに成し遂げたいことはありますか?

日本人として生まれたからには、富士登山に挑戦してみたいです。

――この作品へと携わったことで、死生観に変化があれば聞かせてください。

僕のまわりでもガンで亡くなった方が何人かいますので、“生と死”については以前から、考えることがありました。中には、途中で治療をやめて、やりたいことを全力でやることを選んだ人もいました。余命を告げられたときの衝撃や重みなど、どれだけのものかわかりませんが、その方たちが見せてくれた生きざまによって、「そう(自分らしく生きる)せぇよ」と言われているような気がしてなりません。

――「生きること」ついて鳥越さんはどう考えていますか?そして、この作品でメッセージしたいのはどのようなことでしょうか?

個人的なことですが、このようなご時世になってから自分で自分の首をしめるような発言をする人をたくさん見たんです。物事の見方は人それぞれですが、もっと楽観的に捉え、日々を楽しみながら生きたらいいのにと思いました。そして、自分の考えを押し付けるのはよくないと、自分への戒めとしても考えるようになりました。だから、この舞台「最後の医者は桜を見上げて君を想う」からは、「自分らしく生きることの大切さ」を受け取っていただきたいです。

 

ラクをしているだけじゃ、面白い役者にはなれないと思う

鳥越裕貴 インタビュー タウンワークマガジン townwork――30代に入り、デビュー当時や20代の頃と比べて、仕事へ向き合う姿勢などに変化はありましたか?

25歳ぐらいから「僕には役者の仕事しかない」と、死に物狂いで向き合うようになりました。それが31歳になった今では、「とにかく怒られたい」とか「もっと僕のことを見て」って、ちょっと情けない感じになってきましたけど(苦笑)。

――「これしかない」と思うようになったきっかけがあったのですか?

役を演じながら、自分の感情がちゃんと動き始めたこと。そして、「今、頑張ることで、もしかしたら俳優1本でいけるかもしれない」と感じるようになったんです。当然、不安もありましたけど、不安と自信を両立させながらやっていこう、そのほうが楽しそうだと考えるようになりました。

――ということは、それ以前は挫折や壁も経験したと……。

ありましたね。演出家さんにバーッと叱られた時に蕎麦も喉を通らなくなるぐらいに落ち込んだことがあったのですが、先輩やまわりの人たちに助けてもらって、立ち直ることができたんです。そんなことがあったからこそ、「もっと頑張らな!演出家さんや先輩を見返すぐらいに面白い役者になりたい」と思うようになりました。

自分がそんな経験をしたからこそ、後輩たちに「こういう挫折も経験しておかないと、役者として面白くないよ」と伝えておきたい。あまり強く言い過ぎてもよくありませんが、ラクしているだけじゃ、面白い役者にはなれないと思うんです。こういうことを伝えられるのは経験者だけだと思うので、後輩たちにはきちんと教えてあげたいです。

 

人とのコミュニケーションで大事なのは、まず自分が素直になること

鳥越裕貴 インタビュー タウンワークマガジン townwork――鳥越さんというと、多くの俳優仲間の皆さんから兄貴分として慕われている印象ですが、コミュニケーションにおいて意識していることはありますか?

僕は人見知りをしてしまう人の心を開くことが得意なのですが、そういう人に限って意外とボケたがりさんなんですよ(笑)。そういう場合は、とりあえずツッコんであげるなど些細なことからやっていくと、いつの間にか心を開いてくれます。人とのコミュニケーションで心がけているのは、まず自分が素直になることですかね。「自分はこういう人間だよ」っていうのを包み隠さずに出しています。

――相手の心を開かせるには、まず自分からですね。では、お仕事をするうえで大事にしているのはどんなことですか?

「ありがたいな」とお仕事のたびに毎回感じているので、「感謝を忘れない」ということになるのでしょうか。お仕事がポンポン決まっていく現状が、とにかくありがたいというシンプルな心境です。

――そんな鳥越さんの原動力は?

ベタかもしれませんが、楽しみにしてくださっている方がいてくれること。それが僕のパワーになりますし、同時に「面白いものを届けなあかん」というプレッシャーにもなります。コロナ禍ということもあって、作品を観ている間だけはイヤなことを忘れられる時間になればと思っています。

――夢や目標を叶えるために奮闘している若い世代の皆さんへ、アドバイスやメッセージをお願いします。

とにかく、「早いうちから貯金しとき」というのはありますね。僕も若い頃、タウンワークで見つけたアルバイトをしていたのですが、きちんと貯金をしていなかったので、金銭面で苦労したこともありました。だからこそ、これは本当に大事だと言いたい。他には、勉強も大事ですが、大人になったらできないことも多いので、学生の時にしかできない遊びやその年頃ならではの楽しみもたくさん経験してほしいです。

鳥越裕貴 インタビュー タウンワークマガジン townwork

■Profile
鳥越裕貴
(とりごえ・ゆうき)

1991年3月31日、大阪府生まれ。主な出演作にドラマ「寝ないの?小山内三兄弟」(日本テレビ)、「あいつが上手で下手が僕で」(日本テレビ)、TTFCオリジナル作品『リバイスレガシー 仮面ライダーベイル』、映画「文豪ストレイドッグス BEAST」、ミュージカル『刀剣乱舞』シリーズ(大和守安定役)、「文豪ストレイドッグス」シリーズ(中島敦役)など。その他、イベントから番組化を果たしたBS11『植田鳥越 口は〇〇のもとTV』では、TV、イベントと台本無しの完全フリートークを繰り広げるなど、話題を呼んでいる。9月24日「AD-LIVE 2022」(大阪国際交流ホール・大ホール)の出演を控えている。

◆Official Site:https://torigoeyuki.com/
◆Official Twitter:@Torippiyo2
◆Official Instagram:@yuki_torigoe.cleftchin

編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子

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