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2022年09月16日

アナウンサー・弘中綾香さんインタビュー「やりたいことはなくてもいい。自分の可能性に蓋をしない」

弘中綾香 アナウンサー インタビュー タウンワークマガジン townwork『激レアさんを連れてきた。』『あざとくて何が悪いの?』など数々の人気テレビ番組を担当するテレビ朝日アナウンサーの弘中綾香さん。この度、雑誌「ダ・ヴィンチ」で連載しているエッセイをまとめた著書『アンクールな人生』が発売されました。著作中、「近い目標を立てていくだけで、見えてくる世界が変わってくる」という弘中さん。幼少期、学生時代、そしてアナウンサーになった頃と、その時期ごとに弘中さんが感じていたことを振り返っていただきました。

 

人生、なるようになる

弘中綾香 アナウンサー インタビュー タウンワークマガジン townwork――本文にも「ツルっとした綺麗なエッセーにはしたくない」という一文がありましたが、弘中さんのこれまでを隠さず丁寧に描かれたんだな、という印象なのです。ご自身の中では、この部分は書こう、書くのはやめようという選択はどのように決められたんですか。

連載で書かせていただいたものなんですけど、ごく自然に振り返って、順番に書いていったので、実はエピソードに困ったことはあまりなかったんです。このエピソードは中学時代だったら外せないな、小学生だったらこれは入れたいな、っていう感じですんなりと。ただ、書いていくうちに、高校時代のボリュームが増えたなという感じはあります。楽しかった思い出を書いたらこうなりました(笑)。

――書かれていく中で、改めて発見したこと、気づいたことというのはありますか?

人生の節目、転換点が何箇所かあったんですけど、基本的に受け身で、自分が思っていたほう、目標にしていたものとは違うほうに進むことが多いなというのは、振り返って改めて思いました。「人生、なるようになる」みたいな自分の考えに気づかされますね(笑)。

 

やっていく中で学ぶことが多い

弘中綾香 アナウンサー インタビュー タウンワークマガジン townwork――リアルタイムで今起きてること、考えてることの話が前段にあって、後半子供の頃の話へという構成でしたけど、ちょうどコロナ禍に入っていく時期というのもあって、書いている頃のリアルな感覚もとても興味深かったです。

前半で今考えてること、後半で振り返っていくという構成だったので、その後半部分のことを考えているうちに、前半もそれに引き寄せられて、みたいなところもあったのかもしれないです。時期的にもそういうタイミングだったからこそ書けたこともあると思いますし、書き溜めておいたものではなく、連載だから生まれた流れもありますね。

――その連載が1冊になって改めて感じることはありますか?

第一印象は厚いな、と(笑)。意外とちゃんと書いてきたな、みたいなのは思ったんですけど、私の中のこのふわふわした感じ、一つにこだわらないところ、それを「なんで私ってこういう感じなんだろう」って思ってきたんですけど、こういう人生を送ってきたら、そうなるわ、という答え合わせが出来た感じがします(笑)。

――本文の中にいくつも名言が出てくるのですが、『ミュージックステーション』のプロデューサーさんの「環境が人を作る」という言葉、これは弘中さん自身、どう捉えられたんですか。

言われた当時は「何言ってるんだろう」と(笑)。「手取り足取り教えてくれよ」と思ったんですけど、5年間『Mステ』を担当させていただいて思ったのは、言われて覚えるってより、やっていく中で学ぶことだったり、流れ、空気みたいなもので学ぶことが多くて、やっぱり体験しないと身につかないよな、と。だから正直言うと、その言葉はようやく最近「そうだよね」と理解し始めた感じです。

 

「ああ、こういうことだったんだろうな」と時間差で理解できることもある

弘中綾香 アナウンサー インタビュー タウンワークマガジン townwork――大学時代のグランドホッケー部の監督の「当たり前と思うことを当たり前に」という言葉も出てきましたね。これも普通の言葉ですけど、大事なことですよね。

これも本当に数年経ってわかったことで、部活で当たり前のことというと、挨拶をしっかりするとか、掃除をするとか、時間を守るとか。「そんなのわかってるよ」という感じなんですけど、社会人になって、これは個人的な見解ですけど、やっぱりそういう人として当たり前のことをやれない人に、自分の大切な仕事を頼むかというと、それは頼めないな、って。もちろん私も仕事でミスすることもたくさんあったんですけど、でも提出期限を守るとか、メールの返信をするみたいなことはやっておくと、「あいつは出来が悪いけど、言えばわかる」と思ってもらえたり、「あいつは仕事のミスはあるけど、今、新人だからしょうがないよ」って思ってもらえたり、けっこうそういうところが大切だよね、と。社会人になってからその「当たり前」をやることの大切さは日々感じてますね。

――そして、今回対談の形でも登場されている高校時代の恩師「ウエム先生」の言葉も、弘中さんにとって印象的な言葉を残してくださってますね。

これも17歳ぐらいのときは、そこまでわからなかったんですけど、10年経って、「ああ、こういうことだったんだろうな」と時間差で理解することができて、今回の本ではウエム先生と対談をさせていただいてるんですけど、その答え合わせみたいな感じもあって、やっぱり解釈は間違ってなかったな、と思えました。

 

近い目標を立てていくだけで、見えてくる世界が変わってくる

弘中綾香 アナウンサー インタビュー タウンワークマガジン townwork――将来の夢に向けて動き出している人、どうしようか考えている人が読者の方にもいると思うのですが、弘中さんからアドバイスをいただければと思います。

私は「夢」とか、「将来こうなりたい」、「絶対叶えたい」というものがない人だったので、アドバイスらしいアドバイスはできないんですけど、自分の可能性の延長線上、ギリギリを狙って生きていく、みたいなことはしていて、「ここだったら絶対受かるよ」を狙うのではなく、「もしかしたら受かるかもしれないよ」というのを目指してやってきた人生なんです。「絶対にこれになりたい」というものを持っている方はすごく素敵なことだと思うし、それがある人は、それに向かって具体的に道筋立てて一つずつやっていくしかない。でも、私みたいに自分が何に向いてるのか、何になりたいのかもよくわからないみたいな方は、私のギリギリを狙う戦法で、可能性の中のもう一歩上を頑張るみたいなのもいいのかな、って思います。近い目標を立てていくだけで、見えてくる世界が変わってくると思うので。

――本文の中にも「自分で自分の可能性に蓋をしないで欲しい」というコメントを書かれてますよね。

「可能性」という意味では、その裏表なんですけど、子供の頃から「私は絶対にアナウンサーになりたい」とずっと思ってて、「もし向いてなかったらどうする?」というのもあると思うんです。本当は他にもっと向いてるものがあったかもしれないし、もっと活躍できたキャリアがあったかもしれない、と私は思っちゃうんですよね。やりたいことが決まっていることは素晴らしいんだけど、あんまり固執しないほうがいいんじゃない……ていう考えです、私は。

 

しなやかに臨機応変に生きていくことが大事

弘中綾香 アナウンサー インタビュー タウンワークマガジン townwork――どうしても目標や夢は持つべき、と思ってしまいがちですよね。

こういったメディアの方にご質問いただいたり、読者の方の悩み相談に答えることがあるんですけど、今の20歳ぐらいの方って、すごく真面目だなと思うんです。多分将来的な不安が皆さんあるのかもしれないけど、私がまだ20歳だった頃よりもそういう不安は増しているような気がして、すごく真面目に、「学生時代は充実してなきゃいけない」、「目標を持たなきゃいけない」という思いがあるのかなというのを感じています。ふわっとしすぎかもしれないけど、その場その場で生きていってもいいんじゃないかな、って私は思ったり……。フレキシブルに生きていってもいいんだよ、と。

――ありがとうございます。弘中さんご自身の今後への思いもお聞かせいただければと思います。

私も30歳になって、アナウンサーとして中堅の枠に足を踏み入れてる感じなので、会社でも、「これからどうするの?」なんて聞かれるんですけど、「言われたってわかんないよ」というのが正直な気持ちです(笑)。だってわかんないですもん。1年後自分が何をしてるか、環境がどうなってるのか、社会がどうなってるか、よりわからなくなったじゃないですか、ここ数年で。だから、しなやかに臨機応変に生きていくことが、大事じゃないか…ってまたふわっとした答えですけど(笑)、それは強く思いますね。

 

■Profile
弘中綾香
(ひろなか・あやか)

1991年2月12日神奈川生まれ。2013年4月1日テレビ朝日入社。アナウンス部に配属。2013年より音楽番組『ミュージックステーション』のサブ司会を5年間担当。現在は『激レアさんを連れてきた。』『あざとくて何が悪いの?』『ノブナカなんなん?』等、人気番組を担当。趣味は食べ歩き。特技はヴァイオリン演奏。最新著書は9月14日に発売された『アンクールな人生』(KADOKAWA)。

◆テレビ朝日公式プロフィール:https://www.tv-asahi.co.jp/announcer/personal/women/hironaka/
◆Official Instagram:@hironaka_ayaka

編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:田部井徹

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