俳優・日向亘さんインタビュー 「大切にしているのは信頼関係。日々の心がけが信用へとつながる」
1月8日スタートの日曜劇場「Get Ready!」(TBS系)に、正体不明の闇医者チームに加担する万能ハッカー・白瀬剛人役(通称:スペード)で出演する日向亘さん。「仮面ライダーリバイス」(テレビ朝日)で演じたヒーローから一転、闇社会で暗躍する役柄に扮する心境を聞いたほか、3月に19歳となる日向さんがどのような思いをもって日々の仕事に臨んでいるのかを尋ねました。
妻夫木聡さん、藤原竜也さんとの共演は贅沢な時間
――日曜劇場という伝統ある枠に出演する心境を聞かせてください。
父が、日曜劇場が大好きで、その影響で僕も小さい頃から一緒に見ていたのですが、今回、妻夫木聡さん、藤原竜也さん、松下奈緒さんという素晴らしいキャストの中に参加できることが光栄です。作品を見てくださる方には、まず「一人、知らない子がいる」という違和感から入っていただき、そのうち「面白いキャラクターだな」と気にかけてもらえたら嬉しいですね。
――妻夫木さん、藤原さんといった所属事務所の大先輩と共演する心境はいかがですか?
妻夫木さんには、デビュー当時からワークショップで演技の指導をしていただいていたので、今回の共演はある意味、安心感があります。僕のほうから「今のお芝居、どうでしたか?」や「僕、大丈夫ですか?」などしつこいぐらいに尋ねるなど、長くお世話になっている妻夫木さんだからこそ、自分らしく現場にいられるのだと思います。
――藤原さんのほうはいかがでしょう?
竜也さんはずっと憧れていた俳優さんで、僕のデビュー作でご一緒させていただいたのですが、その時は絡む場面がなかったんです。でも、今回は闇医者チームの一員として共演させていただき、さらに、竜也さん演じる下山田と白瀬は一緒の場面が多いので、勉強になることがとても多いです。贅沢な時間だなと思いながら過ごしています。
白瀬特有の危うさを感じとっていただきたい
――先輩との共演で得るものも多くなりそうですね。白瀬の役作りはどんなふうに仕上げていきましたか?
天才ハッカー役なので、仕草をそれっぽく見せないといけないにも関わらず、僕自身はキーボードのエンターキーを人差し指で押してしまうぐらい、これまでパソコンにあまり触れてこなかったんです。まずはタイピングの練習から始めたんですけど、慣れている人はエンターキーを小指で押しているということを、今回初めて知りました(苦笑)。そして、白瀬は“コミュ障”なのですが、そこは正反対といいますか、僕自身は結構おしゃべりです。自分に寄らないよう、白瀬のキャラクターをしっかり維持しなければと意識して演じています。
――役作りに関して、日向さんがアイデアを出したこともあったのですか?
白瀬って、ちょっとした時間に手を動かしていそうなキャラクターだなって勝手に感じていて、僕自身、ルービックキューブ(※)が得意なので、「ルービックキューブを常に動かしているようなキャラだったら面白いのではないでしょうか」と僭越ながら堤幸彦監督に提案したところ、「面白いね」と言ってくださり、採用していただきました。アジトだけではなく、カフェや潜伏先などで常にいじっているので、注目していただきたい場面の一つです。
――パソコンのタイピングとルービックキューブ、どちらも手元に注目ですね。白瀬のファッションについても聞かせてください。
普段の僕とはまったく違います。常にかぶっているニット帽には折り目をつけず、トップスはチェックオンチェック、インナーはロックTで、首元にはヘッドフォン。監督がバンド好きで、ただTシャツを見せたいがために「もうちょっと上着の前を開けて」と指示され、そこをアピールしなければいけないのが僕の新たな使命です(笑)。上着のチェック柄が、毎回少しずつ変わっているので、そこもチェックしてみてください。
――闇医者チームにおいて、白瀬は起爆剤のような面白い存在になりそうですね。
仮面ドクターズの皆さんや医局、警視庁の大人たちが登場するシリアスな場面が多いなか、白瀬は年上の方に対してもタメ口で話すなど、作品において珍しいキャラクターなので、人に対する距離感や彼特有の危うさを感じていただきたいです。
2023年は、より多くの方に僕のことを知っていただける1年に
――ハッカーという役柄にちなみ、ハッキングしてみたいものや覗いてみたいものはありますか?
僕はFPS(ファーストパーソンシューティング)ゲームが好きで、よくプレーするのですが、もし、ハッキングできたらバグを作ることができるのかなと。もともとの設定にはなくても、例えば「通常、1発の弾で18ダメージのものが、180ダメージになる」とか、完全に自分だけが楽しめる自己満足ですけどね(笑)。
――ゲーム以外で他にハマっていることはありますか?
ギター演奏が趣味なので、今、エレキギターがほしいなと思っています。ただ、リラックスするために弾いているだけなので、披露できるほどうまくはないのですが。
――2023年の目標を聞かせてください。
今年の夏まで「仮面ライダーリバイス」に出演していて、その後の1作目がこの「Get Ready!」となります。今回の出演をきっかけに、より多くの方に僕のことを知っていただける1年になるといいなと思います。そして、このドラマでの出会いを大事にして、10代を締めくくりたいと思っています。
チャンスがあるのなら、何事にも挑戦したほうがいい
――デビューから約2年半が経ちましたが、仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことですか?
信頼関係です。例えば、時間を守るといった基本的なことから、期日までに「これをしておいてください」と指示されたことをきちんとやっておくと、想定外のミスをおかしてしまった時に助けていただいたり、道に迷った時に手を差し伸べてくれる方がいてくださったりするのではないかと、僕は考えているんです。まわりからの信用を得るためには、そういう日ごろの心がけが大事だと思っています。
――そういう考えに行きつくような出来事などあったのでしょうか?
スポーツを長くやっていて、「プレー以外でも信頼される人間になれ」と言われていたので、それがきっかけになっているのかもしれません。
――現在の原動力は何ですか?
僕を必要としてくださる方や、応援してくださる方たちに出演作を見ていただくことが、僕のパワーになっています。皆さんに元気になってもらいたい、笑顔になってもらいたいと思いながら、仕事に臨んでいます。
――今後の目標を聞かせてください。
ドラマや映画などたくさんの現場を経験して、今回のドラマでご一緒している先輩方のような素敵な俳優さんになることです。頑張ります!
――18歳の日向さんと同世代の皆さんも、夢や目標に向かって努力している最中だと思います。そんな方たちにアドバイスを送るなら、何と言いたいですか?
まだまだアドバイスができるような立場ではありませんが、僕自身は「やりたい」と思ったものは、何事にもチャレンジしてきました。どんな目標をもっていても、最初の一歩が踏み出せないという方が多いと思うんですけど、思いきって踏み出してしまえば、そこで何か縁があるかもしれないし、例え夢が叶わなくても、別のやりたいことが見つかったり、自分を必要としてくださる方につながったりすることもあると思うんです。チャンスがあるのなら、何でも挑戦したほうがいいと僕は思います。
※ルービックキューブ(R)は株式会社メガハウスの登録商標
日向亘(ひゅうが・わたる)
2004年3月18日、群馬県生まれ。2019年「HORIPRO MEN’S STAR AUDITION~未来のスターはキミ?それとも隣のカレ?~」でグランプリを受賞し、2020年、ドラマと映画の連動作品「太陽は動かない」でデビュー。主な出演作に「姉ちゃんの恋人」(カンテレ・フジテレビ)、「仮面ライダーリバイス」(テレビ朝日)など。
◆Official Site:https://www.horipro.co.jp/hyugawataru/
◆Official Twitter:@hyuga_wataru
◆Official Instagram:@hyuga_wataru

日曜劇場「Get Ready!」(TBS系)
1月8日(日)21時スタート
多額の報酬と引き換えに、手段を選ばず、患者の命を救う正体不明の闇医者チームがいた。チームを率いるのは、孤高の天才執刀医、エースこと波佐間永介(妻夫木聡)。昼間は自身の店でパティシエをしており、手術と同様にその器用さと大胆なアイデアで繊細なケーキを作っている。エースの相棒は、通称・ジョーカーの下山田譲(藤原竜也)。表の顔は優秀な国際弁護士で、エースとの出会いをきっかけに、エースがオペを行う患者と交渉する役割を担っている。そんな闇医者チームを、クイーンこと、凄腕オペナースの依田沙姫(松下奈緒)、スペードこと、若き万能ハッカー、白瀬剛人(日向亘)がサポートしていた。
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:井野友樹
取材・文:荒垣信子