アーティスト・モデル/土生瑞穂さんインタビュー 「何事も未来の自分のため。たくさんの出会いと経験を重ねていきたい」
明治座「中村雅俊芸能生活50周年記念公演」に出演する土生瑞穂さん。第1部の昭和歌謡音楽劇「どこへ時が流れても~俺たちのジュークボックス~」では、宮城県のとある田舎町で、町おこしのために結成されたNPO法人で働く三崎麻衣を演じます。百戦錬磨の先輩方と共演する心境や作品への意気込みをインタビュー。さらに、グループ卒業後、ソロアーティストとして活動する土生さんがどんな心境で仕事に臨んでいるのかを聞きました。
芸能界の大先輩たちとの共演で、五感をフルに使いながら勉強中
――まずは本作への出演が決まった時の心境から聞かせてください。
今回の出演オファーをうけた時は、中村雅俊さんをはじめとして、久本雅美さんやコロッケさんなどテレビで見ていた方ばかりでしたので、信じられなかったです。両親に真っ先に報告したところ、もともと母が雅俊さんの大ファンだったこともあって、「楽しみ! 本番はいつなの?」と喜んでくれて、「本番までにたくさんのことを学んでくるんだよ」と言われました。
――芸達者な先輩方ばかりですから、教わることもたくさんありそうですね。
稽古を通して教わりたいのは、発声の仕方や佇まいなどお芝居に関するすべてです。稽古場では自分が出演していないシーンでも、皆さんの稽古の様子を目で見て、耳で聞いて、五感をフルに使いながら学んでいます。
――先輩方からアドリブを仕掛けてくることもあるのでは?
実はアドリブにはとても弱くて(苦笑)。私は何事もきちんと準備をし、完璧にしてから入りたいタイプなので、予想外のことが起きると慌ててしまって収集がつかなくなるんです。でも、それも勉強ですし、アドリブが入ることで公演の印象が毎回変わってくると思うので、そこも楽しめるようになりたいです。
表情にしっかりと変化をつけて麻衣ちゃんを演じたい
――昭和歌謡を扱った物語と聞いていますが、好きな歌謡曲はありますか?
雅俊さんの『WITHOUT YOU』というアルバムの「TRUE LOVER」という曲が好きです。曲はもちろん、ジャケット写真もカッコいいんですよ。カラオケではピンク・レディーさんの「UFO」をよく歌いますね。昭和のヒット曲はいつ歌っても盛り上がるので、年上の方とご一緒する時や盛り上げたい時には必ず歌っています。
――タップダンスの一人者として活躍する玉野和紀さんが上演台本・演出・振付を担当されることで、ダンスシーンにも期待してしまいます。
稽古でさっそく振り入れをさせていただいたんですけど、玉野さんはその瞬間にも振りを考えていらっしゃっていて、舞台上での魅せ方やリズムのとり方なども細かく教えていただきました。私もダンス経験がないわけではありませんが、こういったジャンルのダンスは初めての挑戦なので、もっともっと学ばなきゃいけないなって思いました。
――土生さんが演じる三崎麻衣という女性はどのような人物ですか?
まわりの人たちから「麻衣ちゃん、麻衣ちゃん」と親しみを込めて呼んでいただけるような、可愛らしさあふれる魅力的な女の子です。普段の私はカッコよさを求められることが多いので、可愛らしさを追求していかなきゃいけないなって。そして、公演が終わってからも麻衣ちゃんのように可愛らしく、愛される人になりたいです。
――演じるにあたって意識しているのはどんなところですか?
嬉しい時や悲しい時の表情の変化が大事だというアドバイスをいただきました。ちょっと大げさなぐらいのほうがお客様には伝わりやすいと思うので、しっかりと変化をつけて演じたいです。
50年後は、その瞬間を楽しみながら生きているおばあちゃんに
――座長の中村さんのように長く活躍するためには何が必要だと思いますか?
雅俊さんには以前からカッコいい方だなという印象をもっていましたが、実際にお会いしたらイメージを超えるカッコよさと、誰に対しても変わらない優しさをお持ちで、本当に素敵な方でした。そんなふうに多くの方から愛される人柄ってすごく大事だと思うので、私も雅俊さんのような強いハートと“愛され力”をもった人間になりたいです。
――中村さんの芸能生活50周年にちなんで、50年後の土生さんはどうなっていると思いますか?
50年後は76歳、その翌年には77歳というラッキーセブンの年齢が控えているので、まわりの人たちに愛されながら、朗らかで幸せに過ごせていたらいいですね。雅俊さんの記念公演出演というご縁をいただけたように、いくつになってもご縁を大切にしつつ、その瞬間を楽しみながら生きているおばあちゃんになりたいです。
グループ卒業、フリーランスでの活動を決めた瞬間が大きな転機に
――普段、仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことですか?
きっかけを大事にすることです。これまでいくつかの“きっかけ”を経験してきましたが、今回の舞台も今後の私にとって間違いなく大きな経験の一つ。これから出合うお仕事の一つ一つに丁寧に向き合いつつ、1日1日を大事に生きていきたいです。
――土生さんのお仕事は現場ごとに新たな出会いの連続だと思うのですが、共演の皆さんやスタッフさんとのコミュニケーションにおいて意識しているのはどんなことですか?
作品に入る時、私はご一緒させていただく方について事前に調べてから臨むタイプで、例えば、この方はこういう経歴があって、実力を身につけてきたなどきちんと知ったうえでお会いするようにしています。そして、「こういうものがお好きなんですよね? いろいろ教えていただけますか?」などコミュニケーションを重ねながら、いろんなことを吸収していきたいなって。相手に興味をもって話を聞こうとする姿勢はすごく大事だと思います。
――これまで経験した転機について聞かせてください。
新しい挑戦をするために、一歩踏み出したタイミングが私の転機だったと思います。まずは、グループに入るためにオーディションを受けた時。そして、グループを卒業して、フリーランスで活動することを決意した時。その大きな分岐点がとても印象に残っています。
――一歩踏み出すことに恐怖心はありませんでしたか?
もちろん怖かったです。だけど、振り返ってみたら、怖いことよりも楽しいことや新たな発見のほうが圧倒的に多くて、結果、よかったと思えることばかりでした。
ファンの存在が原動力! 大勢の中から私を見つけてくれたことに感謝
――現在の原動力は何ですか?
やはりファンの皆さんの存在ですね。ステージに立つ仕事をしている人がこんなにもたくさんいる中から、私を見つけてくださったことがうれしいですし、いつどんな時だって、心から私を応援してくださる。私も皆さんの味方でいたいので、「どんな姿も大好きだよ」と言っていただけるような活躍を見せていきたいです。
――今後のビジョンを聞かせてください。
失敗をおそれず、自分がやりたいと思っていること、興味があることにどんどんチャレンジしていきたいです。その中で見つけたものは、未来の自分につながると思うので、いろいろな方と出会って経験を重ねていきたいですね。
――夢や目標に向かって奮闘する皆さんへメッセージをお願いします。
私自身、将来はこうなりたいという具体的なイメージは持っていないんです。夢や目標って必ずしも持たなきゃいけないとは思っていませんが、未来の自分のために、日々、出合うものや、その瞬間に感じたことを大切にしてくといいと思います。
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2024年5月30日(木)〜2024年6月5日(水)23:59 まで

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■Profile
土生瑞穂(はぶ・みづほ)
1997年7月7日、東京都生まれ。2015年に欅坂46の1期生オーディションに合格。20年に櫻坂46へ改名後もメンバーとして活動し、23年11月25日の「櫻坂46 3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE」をもって卒業。その翌年、アーティスト活動を発表。初の作詞を手掛けたソロ楽曲『Reboot』をリリース。モデル、タレント、アーティストとマルチな活動に挑戦中。6月22日、23日、明治座にて朗読劇「細雪」に出演する。ソロとなり初の舞台出演となる。
◆Official Site:https://habumizuho.com/
◆Official X:@habuagoodtime
◆Official Instagram:@habuchaan
■作品情報
明治座「中村雅俊芸能生活50周年記念公演」
6月2日(日)~18日(火)
第1部「どこへ時が流れても~俺たちのジュークボックス~」
第2部「MASATOSHI NAKAMURA LIVE -look back with smile , look ahead with pride.-」
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子