アーティスト／俳優・高野洸さんインタビュー 「15年の芸能活動を通して運のよさを実感！大事なのは“負けない心”」

３rd photobook『sin』（主婦と生活社刊）を発売する高野洸さん。シンガポールでの撮影を振り返ってもらったほか、12月にリリースするニューアルバム「Advance」や、同アルバムを引っ提げてのライブツアーに向けた意気込みをインタビュー。そして、小学生の頃から芸能界で活躍している高野さんならではの仕事に対する思いを聞きました。

リニューアルや進化の意味を込めて「sin」というタイトルに

――まずはタイトルの意味から聞かせてください。

タイトルを何にしようかと考えていた時に、ロケ地のシンガポールに絡めてもいいなと思いながら航空券をふと見たら、「渡航先＝sin」と表示されていて、綴りの可愛らしさに惹かれたこと。そして、５年ぶりの写真集なのでリニューアルの「新」、さらに、これからも突き進んでいきたいという意味の「進」をひっくるめて『sin』に決定しました。

――シンガポールはどのような国でしたか？

多国籍な雰囲気が素敵でしたね。印象的だったのがアラブストリートで、壁や建物などにたくさんの色を使っているのにまったくうるさくなくて、センスのよさを感じました。

――印象的なエピソードやハプニングを聞かせてください。

ホテルにプールがあったので泳ぎたいと思ったものの、水着を持っていなかったので、現地で急きょ調達して。だけど、僕は肌が弱いのでしっかり荒れてしまいました（苦笑）。その他には、インドの方がやっている露店でスパイスを購入し、ファスナー付きの袋を２枚重ねた中に入れて持ち帰ったんですけど、帰国してバッグを開けたら袋が破けて、服や持ち物がスパイシーで男らしい匂いになっていました（笑）。

母が欠かさず見ている朝ドラに出演することが目標

――災難でしたね（笑）。今回の写真集は“大人”がテーマだそうですが、「大人になったな」と感じるのはどんな時ですか？

放送中のドラマ「放課後カルテ」（日本テレビ）で小学校の教師を演じているのですが、教室の天井の低さや机とイスの小ささに驚いて、僕も大人になったんだなと実感しています。

――では、逆にまだ子どもだなと感じるのは？

仕事の合間に寄ったコンビニで、シール入りのウェハースを３つ買った時です。ギラギラのシールが出ると、いまだに興奮してしまうんですよ（笑）。小学生の頃、おじいちゃんにもらったお小遣いで買った中からギラギラのシールが出て、布団にもぐりながらこっそりギラギラのシールの眺めた時の感動が忘れられず、27歳になった今でも買ってしまいます。

――20代もあと３年となりましたが、振り返ってどんな年代でしたか？

そうか、終わるのか……20代。終わらないと思っていました（笑）。以前はこんなに長く俳優、アーティストとして活動できる未来を想像したこともなかったですし、変わらず応援してくださる皆さんや支えてくださるスタッフさんには感謝しかありません。

――どんな将来を見据えていますか？

ありがたいことに、やりたいことをやらせていただける環境ではありますが、まだまだ叶えたい目標があるので、それに見合う人になりたいです。

――差し支えなければ目標を教えてください。

地元の福岡にいた頃、僕が学校へ行く直前に母がテレビのチャンネルをNHKの朝ドラに合わせて、毎朝欠かさず見ていたので、母の大好きな朝ドラにいつか出演することが目標です。

12月にリリースするアルバムは僕の“好き”を貫いた作品

――12月４日にニューアルバム「Advance」をリリースしますが、どんなアルバムになりましたか？

昨年６月にリリースした「zOne」以降のシングルと、作詞作曲を手がけた曲を含む新録３曲が収録されていて、僕の好きなテイストを貫いたアルバム。よくいえば「こだわり」、悪くいえば「わがまま」ですが、それはアーティストとして誇るべきと思っていて。一段階グレードアップした作品になったと自負しています。

――アルバムを引っ提げて、12月からライブツアーがスタートしますね。

昨年の「5th Anniversary Live Tour『mile』-１st mile-」に続く「2nd mile」で、最新アルバムを中心にアーティスト活動５周年の振り返りを意識しつつ、新しいものをプラスしたステージを用意しています。タイトルに入っている「mile」は10代の頃、仕事のたびに福岡から東京まで数えきれないくらい飛行機に乗ってきたことでの、マイルが貯まる＝経験を重ねるという意味を込めているので、旅と関連付けたものになると思います。

――ツアーのラストが地元・福岡というのも感慨深いですね。

福岡はやはり特別な場所です。10月５日、６日に久留米でフェスがあって２日間とも出演したのですが、フェスが開催されたことも、呼んでいただけたことも嬉しかった。かつて遊んでいた百年公園でパフォーマンスできたことは、大切な思い出になりました。

グループ活動終了後の決断が大きな転機に

――小学生から芸能界で活動する中、仕事に向き合う姿勢に変化はありましたか？

必然的だと思うんですけど、経験が重なるごとに気づきが増え、そこが仕事に反映されている部分はあります。アーティストや俳優として活動している自分を俯瞰でみて、プロデュースしている感覚になってきました。

――これまで壁や挫折に対峙したことはありますか？

ダンスを始めて３年目の小２の頃にブレイキンのレッスンも開始したのですが、そこで出会った同級生が、抜群に音はめがうまくてみるみる成長していったんです。子どもながらに彼との差に衝撃をうけ、親と話して「ブレイキンは一旦ゆっくりで、HIPHOPに力を入れよう」となったのが、人生で初めての壁だったのかもしれません。その時の同級生はISSEIっていうんですけど、彼はその後、世界チャンピオンになりました。

――人生の転機について聞かせてください。

Dream5のメンバーとして活動していた頃は幼かったこともあり、将来について深く考えず、大人の言うことだけ聞いていればいいと思っていたのですが、グループ活動が終わり、今後はどうするかとなった時、きちんと食べていけるかどうかもわからないのに、事務所の皆さんに「俳優としてやっていく」と宣言して。高校卒業のタイミングとも重なり、勢いで上京しましたが、縁に恵まれてここまで続けることができているのは運がいいとしか言いようがありません。あの時の決断があったから今があると思います。

インスピレーションのルーツはユニークな家族の発想

――仕事をするうえで大事にしているのはどんなことですか？

「面白いものをつくること」です。曲づくりやステージなど、思い描いたイメージをスタッフさんに提案したところで前例がないと実現までもっていくのは非常に難しいのですが、壁を一つずつ乗り越えながら、形にしていく作業に大きなやりがいを感じています。

――もの作りのインスピレーションはどんなところから？

おそらく、他のアーティストさん、俳優さんのほうがインプットにかける時間は長いと思うのですが、うちの家系的に皆、ぶっ飛んだ発想の持ち主で……。

――ぶっ飛んでるんですか!?

いや、語弊がありますね（笑）。行動や発想がユニークなんです。食事中に誰かがダジャレを言い出したらダジャレ大会が始まったり、テレビで「美文字になる方法」を紹介していたら、僕たちも書き始めて、誰が一番上手いかを競ったり。東京で多くの人と出会い、さまざまな経験をしてきましたが、実家へ帰るたび、家族のぶっ飛んだ空気感に驚きます。

――今どきの学生や高野さんと同世代の皆さんへ、夢や目標に近づくためのアドバイスをお願いします。

世の中にはさまざまな職業があって、中でも僕の仕事は特殊だと思うのですが、自分の経験をふまえていうのであれば、負けない心を大事にしてほしいす。

――高野さんも負けない心を内に秘めていますか？

勝負事が得意な性格ではありませんが、僕は自分を運がいい人間で、運の強さは誰にも負けないと思っています。なので、自分に自信がもてない方は「これだけは負けない」というものを見つけることで、負けない心、強い心をもてるようになるのではないでしょうか。

編集：ぽっくんワールド企画
撮影：河井彩美
取材・文：荒垣信子