吉野北人（THE RAMPAGE from EXILE TRIBE）インタビュー『バイトを通じて“何故それをするのか”という仕事の根本を学んだ』

3つのオーディションから選抜されたメンバーで結成された16人組ダンス＆ボーカルグループ“THE RAMPAGE from EXILE TRIBE”。ボーカルの吉野北人さんに、歌との向き合い方や、貴重なアルバイト経験について伺いました。4月22日にリリースする、表題曲としては初のバラード曲「INVISIBLE LOVE」の制作エピソードについてもインタビュー！

バラードを表題曲として届けるのは初めて。グループの新しい可能性を広げていきたい

――新曲「INVISIBLE LOVE」を受け取った時の印象はいかがでしたか？

今までのシングルはアップテンポな曲がメインでしたが、リード曲がバラードというのはTHE RAMPAGE from EXILE TRIBEとしては初です。大人っぽさや、セクシーさという要素もある曲なので、このタイミングで新しい自分たちの姿を披露できるのは嬉しいですし、可能性を広げていけたらと思います。

——レコーディングで意識した点を教えてください。

メロディーがキレイなのでシンプルに感じるのですが、技術的には難しさのある曲でした。アップテンポなものに比べると、バラードは歌声が全面にフィーチャーされますし、ボーカリストにとっては聴かせどころでもあるので、歌声に感情がのるように意識しつつ、作詞家さんが表現した歌詞の世界の中に自分を重ねるように歌いました。

——歌詞についてはどのように受け止めましたか？

相手の本心は見えないけれど、それでも好きだという切なさを感じました。“女神か悪魔か”というワードも出てきますが、たとえ彼女が悪魔だったとしても、理性を奪われるほど夢中になっていく。その部分は特に男性の方には、共感していただけるのではないかと思いました。

——美の象徴としてアフロディーテが描かれていますが、女性に限らず“美しい”と感じるのは、どんな人や物でしょうか？

イメージするのは自然です。空間とか景色など、作られていないものに美しさや魅力を感じます。地元が自然豊かな場所なので、そう思うのかもしれません。特に東京に出てきてからは、地元の自然が当たり前の景色ではないことに気付いて、より美しいと感じるようになりましたね。

——では、カップリングの「INTO THE LIGHT」についての印象も教えてください。

「INVISIBLE LOVE」がセクシーさを感じさせるバラード曲なのに対して、「INTO THE LIGHT」は壮大さをたたえたバラードになっています。

——優しい歌声が魅力的でした。

ありがとうございます。この曲は、透明感があって、森の中にいるようなイメージで歌いました。楽曲の世界観に寄り添うような歌にしたかったので、あえて力を入れ過ぎず、そっとメロディーにのせるように歌うことを意識しました。楽曲のメロディーと、演奏と歌、さらにそこにダンスが加わることで、より深い世界を表現していければと思っています。2曲を通して、新しい表現が出来ていると思うので、ぜひ聴いていただければ嬉しいです。

自己満足で終わらない歌をうたっていきたい

——では、ここからはお仕事観について伺いたいのですが、この仕事を目指したキッカケは？

もともと歌が好きで、高校生の頃から“歌手になろう”と決めていました。根拠のない自信はあったので、歌手以外の道は考えず、夢を叶えるためにまずはいくつもオーディションを受けることから始めました。

——夢であった音楽が、仕事になったと感じるターニングポイントはありましたか？

オーディションに受かって上京してからは、毎日歌と向き合う日々だったので、その感覚はずっとありましたね。自信をなくしたことや、諦めそうになったこともありますが、力を貸してくださるスタッフさんがいて、聴いてくれるファンの方たちがいる。なにより自分の歌声を好きだと言ってくださる方たちがいてくれることで、自己満足だけではなく職業として歌をうたえていると思えたことは大きな力になりました。

——仕事でうまくいかない時は、どのように乗り越えますか？

どうして出来ないのか理由を考えた上で、出来なかった部分をひたすら練習します。最初の頃は、先輩たちにアドバイスをいただいても、なかなか形に出来なかったりと分からないことばかりでした。実際に自分自身で試行錯誤してやっていくなかで、そのアドバイスがだんだんと理解出来るようになっていったので、経験と練習を積み重ねていくことの繰り返しが大切だと思っています。

バイトを通して、働くことの大変さを実感。お金の価値観も変わった

——バイト経験についても伺いたいのですが、旅館でバイトをされたことがあるそうですね。

１週間ほどの短期でしたが、地元の旅館と、鯉（コイ）料理を提供する飲食店でバイトをしたことがあります。先に友だちが旅館で働いていて、バイト代をもらっているのが羨ましくて紹介してもらいました。特に欲しいものがあったわけではないのですが、自分でお金を稼いだ経験もなかったので憧れというか、純粋に“いいな”と思いました。

——憧れの初給料をもらった時のことは覚えていますか？

正直に言うと“あれだけ働いてこんな感じか……”と思いました。最初に友だちから聞いた時は、金額も聞いたうえで、それを羨ましいと思ったはずなのに、働く前と後では感覚が全然違うことに驚きました。初めての経験だったので、より大変さを感じた面もあると思いますが、働いてお金を稼ぐことの大変さを知れたのは良かったことだと思っています。

旅館の仕事は、全てが相手を思いやる気持ちにつながっている

――旅館ではどんな作業をしていましたか？

朝が早かったので、8時くらいに旅館に行って掃除や朝食の準備をした後は、お客さんの出迎えや注文、料理を運ぶなどの接客もしつつ、同時に食器の片付けや洗い物もしていました。旅館は10数名のスタッフさんがいましたが、全部が同時進行なので、団体のお客様が多い時は本当に大変でした。

――急に慌ただしくなるわけですね。

はい。料理を運ぶにも階段でしたし、食器の量も多かったので、洗い物の後は手がシワシワになっていました（笑）。とにかく必死で働いて、バイトが夕方に終わる頃には疲れてヘトヘトになってしまって。僕は短期でしたが、ずっと働いている方たちはプロフェッショナルで本当にすごいと思います。

——バイトをしてみて、楽しかったことはありますか？

色々なことが初めてで楽しむ余裕がなく、“目の前にあることをちゃんとやろう”という一心でした（苦笑）。

——初の社会経験で得たことはありますか？

どうしても自分のことで精一杯になってしまっていたのですが、振り返って考えてみると、人を迎える立場であり“何故それをするのか”という仕事の根本を教えてもらいました。たとえば、料理は美味しく食べていただくために手早く準備するとか、気持ち良く過ごしていただくために丁寧に掃除をするとか、全てが相手を思いやっての行動に繋がっているんだと思います。

バイトは初めてのことが多いけれど、新しい経験ほど濃い時間になると思う

——では、ちょっとした失敗談があれば教えて下さい。

食器を割ってしまったことですね。食後の食器をまとめて洗い場に運ぶ時にバランスを崩してしまって、重ねていた全部の食器を割ってしまいました。“何も出来ないうえに食器も割ってしまった……”と居たたまれない気持ちになったのですが、怒られるというより、スタッフの方たちが優しく「大丈夫？」と声をかけて下さいました。失敗したことで迷惑をかけてしまったことがショックだったので、すごく救われました。

——鯉料理のお店でも接客ですか？

はい。そこも朝が早くて、まずは庭を掃除して鯉に餌をやってからはお客さんの対応をしました。どちらのバイトも、働いている間は気を張っていたので、終わったあとの、「お疲れ様でした」という何気ない一言が嬉しかったですね。ふっと気持ちが軽くなったし、なによりホッとしました。

——では、これからバイトを始める方にむけてメッセージをお願いします！

色々と初めてのことを経験する場だと思いますが、だからこそ濃い人生経験になっていくと思います。僕は短期でしたけど、人生を左右される出来事があったり、未来の仕事に繋がっていく場合もあると思うので、可能性を広げるための1つとして挑戦してみるのもいいと思います！

企画・編集：ぽっくんワールド企画　撮影：河井彩美　取材・文：原千夏