ぼっち大学生YouTuberパーカーさんインタビュー『時間、自由、心の安定――友達ゼロで僕が得たこと』
友達ゼロの大学生活を、ぼっちのペースで心地よく過ごす動画『パーカー/大学生の日常』が人気のYouTuber・パーカーさん。昨年夏に動画投稿を始め、現在はチャンネル登録者数が45万人を超える。パーカーさんが、なぜぼっちを選んだのか、自分ひとりの時間を持つことのメリットや、ぼっちを選んだことで変化したことなどを伺いました。
人に合わせた生活より“自分のために時間を使うこと”を選択
――今では“ぼっち系YouTuber”として人気の高いパーカーさんですが、高校までは友達がいたそうですね。その頃はどういった友達付き合いをしていたんですか?
中学も高校も、数人ですが友達はいました。友達付き合いに関しては当時から消極的で、友達も僕と似ていて干渉しすぎない性格だったので、休みの日に改まって遊ぶことはなかったんですけど。高校ではバレー部に所属していたこともあって、部活終りに、帰り道が同じだった人と二人でファーストフード店に寄って話したりはしていました。
――それが、なぜ大学でぼっちデビューすることに?
以前の僕は他人の目をすごく気にするタイプで、あまり自発的に何かをやってみようと思うことがなかったんですが、高2の時、勉強をする時間がほしくて、思い切ってバレー部を辞めたんです。その時に、自分のために時間を使うことや、自分のために選択することの大切さに気づいて。大学では、安易に人と繋がって人に合わせた生活をするよりも、自分のやりたいことをやろうと思いました。
ただ、初めは絶対に“1人を貫くぞ!”っていう感じではなくて、機会があったら、大学でも友達を作るつもりでいたんですよ。
“結果的”にぼっちになった大学生活――親友の存在が焦りを消してくれた
――著書の『ひとりの時間が僕を救う』にも、入学当初に、陽キャの人に声をかけられてサークル見学に誘われるエピソードが描かれていますし、自ら1人でいることを選んだわけではなかったんですね。
陰キャな僕からすると、あの出会いはちょっと抵抗がありましたけどね。いわゆるウェイ系の人が苦手なので(笑)。でも、結局その人とも連絡が途切れて、気になっていたサークルにも上手く入れず……結果的にぼっちになりました。
――予想外のぼっち生活がスタートして、焦りや不安はありませんでしたか?
最初は他人からどう見られてるんだろう?って気になったんですが、毎日、学食で1人でご飯を食べているうちに、案外大丈夫だなって思うようになりました。そう思えたのは、高校で出会った親友の存在も大きかったと思います。それぞれが別の大学に入ってからも彼とはずっと連絡をとっていて、彼も大学では結構ぼっちだったらしいんです(笑)。その話を聞いて、彼がぼっちなら僕もぼっちでいいやって思って。人の目を気にして無理やりその場だけの友達を作るより、大学以外の場所に1人でも気を許せる友達がいるなら焦る必要はないなと思えたことで、ぼっちをプラスに捉えられるようになりました。
――とはいえ、1人でいることで気持ちが不安定になることもあるのでは?
大学の編入試験に落ちた時は、さすがにショックを受けて、大学を休学して実家に戻りましたね。僕の場合、友達がいてもいなくても、1人で悩みを抱え込む習性があるんですが、1人で自己嫌悪に陥っちゃうと、なかなか戻ってこられないなと身をもって体験しました。今はそうならないように、なるべく自分を好きでいられるように心がけていますね。それでも落ち込んでしまった時は、好きなアーティストの音楽から元気をもらっています。
自由に使える時間が増えたことで読書や旅など興味の幅が広がった
――では、実際に大学で1人で過ごしていて良かったことを教えてください。
やっぱり他人に合わせず、全て自分のやりたいようにできるのは大きなメリットですね。それと、自分に使う時間が増えたことで、新しいことに挑戦する機会が増えて。たとえば、僕は高校までは読書を全くしなかったんですが、大学生になってからは本をよく読むようになりました。もしその経験がなければ、今回「本を書いてみませんか?」と声をかけてもらった時に、興味を持てなかったかもしれないし、そもそも本を書くチャンスをいただけなかったかもしれない。そう考えると、改めて1人の時間を持つことの大切さを感じます。
――大学以外でも、ぼっち飯やぼっち旅を楽しんでいる様子がYouTubeで公開されていますが、そういった1人行動は大学でぼっちデビューする前からやっていたことなんですか?
いえ、もともとは1人で外に出るタイプではありませんでした。でも、僕は大学進学と共に地元を離れたので近場に友達がいなくて。ずっと1人で家にいるわけにもいかないし、憧れのYouTuberスーツさんが1人でいろいろなところに行っている姿を観て、自分も1人で外に出てみようかなと思ったんです。以前は他人の目ばかり気にしていた僕が、1人でカフェに入り浸るほどに成長できたのは、スーツさんのおかげだと思います。
――憧れのスーツさんとだったら、友達になりたいと思いますか?
スーツさんと友達になりたい欲求は全くないんです。もともとスーツさんに憧れてYouTubeを始めていますし、今でも尊敬する大先輩という感覚は変わりません。先日初めてお会いした時はすごく嬉しかったですね。これからも数年に1回でもお会い出来るなら、それだけで大満足です。
情報が入りづらいのが難点――それだけは諦めて受け入れています(笑)
――逆に、1人で大学生活を送る上で困ることも教えてください。
よく困るのは、休んだ時にフォローしてもらえないことと、休講情報が入ってこないこと。休講になっていることに気づかず、教室で待ちぼうけした経験は何度もあります(笑)。それは人付き合いを避ける上では仕方のないことだと思っているので、諦めて受け入れていますね。
――グループディスカッションが必要な授業の時は、どうしているんですか?
グループを組まないといけない場合は、すでに普段から仲の良い人同士でまとまっているグループに声をかけてもらうことが多いので、そこに入っていかなきゃいけない大変さがあります。そういう授業の時は、本当はダメなんですけど、しれっと座ってるだけで、あまり発言しないままやり過ごしています。
中には僕と同じようにぼっちで授業を受けている人もいるから、彼らに声をかけてみるというのも1つの選択肢だと思うんですが、僕は自分から声をかけるタイプじゃないので、ぼっち同士が繋がることはないですね。
誰でも得意不得意はあるから、就職するなら黙々と作業できる仕事を選びたい
――パーカーさん自身も、話しかけてほしくないオーラを放っていそうですね(笑)。
たしかに。最近は、大学で僕のYouTubeを観てくれている方に声をかけられることがあるんですけど、みんな気を使って挨拶くらいなんです(笑)。きっと、普段から僕が発信しているものを観てくれて、空気を読んで、ぼっちのままにしてくれているのが伝わるので、今でも快適にぼっち生活を続けられています。
――ちなみに、今はまだ大学生ですが、YouTuberとして、そして“ぼっち”としての将来のヴィジョンは見えていますか?
正直、今はまだ先のことは考えていないですね。でも、この先もYouTuberとしての活動は続けていきたいなと思っています。ぼっち生活に関しては、もし会社に勤めたとしても、きっと、会社の人たちと“同僚以上の距離感”になることはないんだろうなぁって思います。どうしても仕事として必要ならやりますけど、上司に飲みに誘われても、頭だけ顔を出してサッと帰りそう(笑)。チームでプロジェクトに挑むような仕事よりも、個人で黙々と進められる仕事のほうが向いてるのかな?なんて思ったりもしますね。
ぼっちを負い目に感じる必要はなく気軽に楽しめばいい
――では最後に、友達がなかなかできずに悩んでいる同世代の人に向けて、メッセージをお願いします。
自分もたまたま1人になってしまったような感じなので、そのキッカケがなければ、ぼっちの良さに気づかなかったかもしれません。でも1人を受け入れたことで、誰が自分にとって欠かせない存在なのかを再確認したり、人の目を気にせず行動を起こす勇気が持てたり、新しい自分を発見するなど、人付き合いを最小限にしたことで手に入れたものはたくさんありました。だから、ぼっちでいることを無理に薦めるつもりはありませんが、ぼっちを負い目に感じる必要はないと、僕は思っています。
今の時代、音楽でも本でもYouTubeでも、1人で過ごすための方法はいくらでもありますから。無理して友達を作って周りに合わせるくらいなら、1人でいろんなことをやってみて、自分の好きなものを見つけるほうが有意義だし、自分を好きになれると思います。変に考えすぎずに、気軽にぼっちを楽しんでください。まずはブラッと1人で散歩してみてはどうでしょうか。
パーカー
ぽっち系のYouTuberとして昨年の夏に投稿をスタート。現在は神戸大学に通いながら1人で過ごすキャンパスライフや、自炊風景など、日常のルーティンを中心に「パーカー/大学生の日常」動画を投稿。日常のほか、旅行動画なども人気を集める。チャンネル登録者数は45万人を超える。今年6月には、初のエッセイ「ひとりの時間が僕を救う」を発売。
◆パーカー Twitter:@paka_youtube
◆パーカー YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UCBOW9JS4366gwX_rFFgZNTw
『ひとりの時間が僕を救う』
著者:パーカー
価格:1,155(税込)
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河井彩美 取材・文:斎藤碧