夜型は変えられない?「夜型人間が無理やり早起きした日を乗り切る方法」を睡眠医学の専門家に聞いた
夜に頭が冴えわたり、朝は弱い…という夜型人間。夜型を直したいと思っていても、なかなか生活習慣を変えるのは難しいですよね。でも、授業やバイトで朝早く起きなくてはいけないときも多々あるはず。そんな夜型人間が早起きした日を乗り切るための方法を睡眠医学の医師で早稲田大学の准教授でもある西多昌規先生に聞いてみました。
【目次】
若者は夜型傾向にあり、朝起きられないのはしょうがない
私も大学で教鞭をとっているので分かりますが、1限目に出られない学生はとても多いです。でも、それは怠惰なだけではなく、10代後半から20代前半までは朝に弱く、夜に強い夜型傾向であることが研究で実証されています。また、学生の生活は毎日決まった時間に通勤する社会人と違い、朝早い日もあればゆっくり寝ていられる日もあるなど生活が乱れやすいということもあり、朝起きられないのは仕方のないことなのです。
ほかにも、遺伝子レベルで夜型傾向だったり、育った家庭環境が夜遅く寝る習慣だったりすることも影響しますが、この現象は年齢と共に変化していき、年齢を重ねるごとに朝型になっていくこともわかっているので、今無理して朝型に直す必要はないでしょう。
では、夜型の人はどうすればいいのか。私がオススメしたいのは「朝早い予定を入れないこと」ですが、どうしてもとらないといけない授業が1限だったり、外せない予定が朝早いこともあるでしょう。そんなときに乗り切る方法を紹介します。
夜型人間は、遅寝→早起きで乗り切る
起床は目覚ましより太陽光で起きる
「明日は早起きしないといけない」という不安から目覚ましを2つかけたり、スヌーズ機能にして起きる準備をする人が多いと思います。でも、目覚めには音よりも光のほうが効果的。カーテンは開けて太陽光が届く環境で眠るのがよいでしょう。
音は自分で止めてしまう恐れがありますが、光は起き上がってカーテンを閉めないと遮断できません。体を動かすと脳が覚醒し始めるので、寝起きがよくなりますし、太陽光を浴びることで体内時計がリセットされて脳が活動状態に導かれるので目が覚めやすくなるのです。
朝起きたらカフェインタブレットを摂取
目が覚めてカフェインを摂取するのは眠気をとるのに効果的です。とはいえ、カフェインが含まれるコーヒーやお茶を淹れるのは面倒な人も多いでしょう。そんなときは、カフェイン成分を含んだタブレットや錠剤が手軽でおすすめです。ただし、飲みすぎると副作用が出る場合もあるので、必ず規定の摂取量を守って服用するようにしてください。同様にエナジードリンクも効果はありますが、こちらも1日1本にするなど、飲みすぎには注意するようにしてください。
日中、10~15分の軽い仮眠をとる
夜型の人が朝早く起きると、日中に眠気に襲われることがあるはずです。そんなときは我慢せずに軽い仮眠をとってください。授業の合間や休み時間などに10~15分程度の仮眠をとるだけで眠気は軽減できます。慢性的な睡眠不足や疲労の解消までは難しいですが、早起きによる眠気の改善には効果的です。
席を移動したり校内を歩くなど少しだけ動く
ずっと座っていたり、同じ姿勢をしていると眠くなりがち。特に授業中は一方的に講義を聞いていたり、ノートに書き写す単純作業を繰り返していると眠気が強くなります。そんなときは、可能であれば席を移動したり、休み時間に散歩をするなどして、体を少し動かすだけで眠気が改善できます。
好きな動画を見て脳を活性化させる
退屈な時間は睡眠を誘発させるため、反対にワクワクするようなことで脳を覚醒させます。例えば、自分が好きなアーテイストの動画を観たり、YouTubeを観たり。そうすると脳が興奮状態になり眠気を吹き飛ばす作用が働きます。通学の途中や授業の合間に好きな動画を観るのもひとつの方法です。
夜型を受け入れて上手に付き合おう
夜型の人は「翌日、早起きをしないといけない」ことでプレッシャーを感じ、睡眠が浅くなり質が悪くなる傾向があります。そのため、早く寝てもなかなか寝付けなかったり、夜中に目が覚めてしまうなどして余計、睡眠不足になる可能性があるのです。ですから、翌日に朝が早くてもいつもと同じ時間に寝て、上記の方法で1日を乗り切る方が効率的だと思いますよ。
西多昌規
医学博士。東京医科歯科大学医学部卒業、早稲田大学スポーツ科学学術院准教授。早稲田大学睡眠研究所所長。睡眠とメンタルや運動との関連性を脳神経科学・精神医学・心理学など多方面から研究。睡眠に関する著書も多数出版。
取材・文/中屋麻依子