オンライン留学ってどんなもの？ 運営会社の担当者と実際の受講生に実態を聞いてみた
コロナ禍により海外留学が難しくなった昨今。そんな中、留学したい大学生から注目を集めているのがオンライン留学です。具体的に何をどう勉強するの？ そんな疑問を「JTBおうちdeオンライン留学」を展開し、オンライン留学をサポートしているJTBガイアレック地球倶楽部事業部の小浜さん・佐藤さんにうかがいました。そして、実際に受講した学生2名にリアルな意見も聞いてみました。
語学だけでなく、オンラインで海外の学生同士で異文化交流ができる
――そもそもオンライン留学とはどんなものでしょうか？
オンライン留学は世界中の学生がZOOMなどオンラインミーティングツールを使って、語学勉強や異文化交流を行うものです。諸外国ではコロナ禍になる前からメジャーな勉強方法として浸透しており、世界中の学生が利用しています。
内容としては、提携している大学や語学学校の授業をオンライン上で受けられ、日本人だけでなく海外からも学生が集まり約5～10名ほどで授業を行います。
――通常の留学やオンライン英会話との違いは？
オンライン英会話との大きな違いは、語学だけでなく異文化交流にも重きを置いている点。通常のオンライン英会話だと講師とのマンツーマンレッスンや、グループレッスンなどでも受講生同士の交流はあまりないと思いますが、オンライン留学の場合、他国の学生と授業中にディスカッションをして課題を解決したり、協力しながら交流を深めていくプログラムが多数あります。
通常の留学とは違い、現地での交流や海外生活はできませんが、他国の学生とのやりとりや受講している大学の講師との交流により海外の知識も増やし、実際に外国を訪れた際に効率よく動ける準備期間として活用している方が多いです。
外国の大学と提携したプログラムが受講できる。英語以外の言語も選択可
――実際に「JTBおうちdeオンライン留学」にはどんなプログラムがありますか？
様々なプログラムがありますが、一例をあげると、ハワイ大学付属のプログラムでは、1時間目はハワイ大学の講師が教える英語の語学レッスンを受け、2時間目はハワイ大学の学生がファシリテーターとなり、1時間目で学んだ語学を活かしながら学生同士でコミュニケーションをとって異文化交流を行います。
オーストラリアやマルタの大学のプログラムは人気が高く、まずは英語を学びたいという大学生が多いですね。英語を習得した学生には、フランス語やドイツ語も人気です。少しマイナーな語学を勉強したいならロシア語、ヒンディー語、インドネシア語、マレー語などもあります。語学に関しては、ほぼ対応ができるぐらい幅広い留学先を選ぶことができます。
留学期間は2～3週間、1日2～3時間程度のプログラムが人気
――オンライン留学の受講期間はどれくらいの長さなのでしょうか？
期間は自分の都合に合わせて選ぶことができます。大学生には月～金曜の週5日、1日2～3時間程度のプログラムが人気で留学期間は約2～3週間程度。短期集中で学ぶ大学生が多いです。大学の授業やアルバイト、プライベートなど学生も忙しいので、春休みや夏休みなどのまとまった休みにオンライン留学を活用している方がほとんど。留学先の大学講師も日本の時差にあわせて夕方や夜など大学生が学びやすい時間に授業を行ってくれるため、学びやすい環境だと思います。
――あと気になるのが受講費用ですが、どれくらい必要ですか？
費用に関しては期間や大学により様々ですが、私たちが提供しているプログラムでは、語学学校の場合は1週間で2万5千円～、大学付属の場合だと2週間で9万円弱程度です。通常の留学と比較して安いと感じている学生が多い印象です。
オンライン留学を受講すると大学の単位が取得できるものも
――大学生にとってオンライン留学を受講するメリットはありますか？
これまでオンライン留学の申し込みは学生個人からか、大学が紹介して学生から連絡がくることがほとんどでしたが、この春からは大学経由で学生に推進する動きが高まっています。オンライン留学を受けることで、単位が取れるなど大学と連携することが増えてきました。費用に関しても、通常の留学の5分の1程度で学べるのも大きなメリット。自分のスケジュールにあわせて少ない費用で効率良く学べます。
また、実際に留学しても、他国の学生と交流を持つのが難しく会話がなかなかできないという声を日本人学生からよく聞きますが、オンライン留学の場合は他国の学生と交流できるプログラムが組み込まれているので、人見知りや語学に自信がない学生でも、交流が生まれやすいのは良い点だと思います。
――今後、オンライン留学はどう発展していきそうですか？
JTBガイアレックでは「オンライン就業体験」として海外就業のインターンシップも学生向けに展開をスタートしました。語学勉強だけでなく、その先を見据えたサービスも広がっていくと考えています。実際に大学側からも問い合わせが多く、日本にいながら海外で働ける準備ができます。
【受講者インタビュー】他国の学生がいることで自分の意見を伝える積極性が身につきました
・Uさん（18歳）／高校生
姉が留学したのをきっかけに、自分も将来的には海外の大学に進学したいと考えて、オンライン留学を始めました。私が受講したのは月～金曜日の19時から90分間、アメリカ・ボストンにある語学学校の授業です。日常会話やコミュニケーションができるレベルの英語を学びました。
最初は英語が理解できず、かつ人見知りなので緊張してしまい、ほとんど話せなかったのですが、一緒に学んでいた台湾の学生がいろいろ質問をしていて、自分も真似をするようにしたんです。そうしたら、先生もゆっくり話してくれたり、わかりやすい言葉で質問をしてくれたりして、少しずつ話せるようになってきました。英語だけでなく、他国の学生がいることで、積極的に話したり質問したり、わからないことは、はっきり「わからない」と伝える大切さを学べたのは大きかったです。
将来の夢である映画関係の仕事に就くため、今後はハリウッドに近いカリフォルニアの大学に進学して映画学を学びます。オンライン留学で得た積極的に自分の思いを伝えることを現地で活かしたいと思っています。
【受講者インタビュー】１日１時間の気軽さで生きた語学を学べるのが最大のメリット！
・Wさん 18歳／大学1年生
大学で留学をしたいと思っていたのですが、コロナの影響で海外に行けなくなってしまい悩んでいたときにオンライン留学を知りました。大学の授業があるときは、なかなか時間がとれないので、夏休みに1週間の短期集中で利用。毎日１時間、フランス語を学びました。
大学でもフランス語を勉強していますが、オンライン授業となり教科書で文法を学ぶのが中心で少しモチベーションが下がっていたんです。でも、オンライン留学では基礎的なフランス語を教材を使って学び、その文法をすぐに先生と会話しながら実践します。相手に伝わり、そして自分でも理解できる楽しさに改めてフランス語のおもしろさを実感して、モチベーションがアップしました。
オンライン留学の期間を経て、自分の語学力がどれだけ上がったかを試したくて、フランス語検定を受けたら、見事合格！ 留学して良かったと素直に思いました。
オンライン留学のメリットは、コロナの影響で外国の人と会話をすることも減っていたので、活きた語学を学べたことと、１日１時間、１週間程度で勉強できる気軽さと、実際に留学するよりもかなり費用が抑えられたことです。自由に海外へ渡航できるようになったら、フランスに留学して本場のお菓子づくりを学びたいと思っています。
■取材協力
JTBガイアレック地球倶楽部事業部 https://www.jtb.co.jp/jtbglobal/
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取材・文：中屋麻依子