テスト勉強におすすめの暗記方法を、記憶力日本一の池田義博さんに聞いてみた
テスト前、暗記系の教科を短期間で覚えられる暗記方法が知りたい人はたくさんいるはず。そこで、記憶力日本一を6度獲得した、記憶力のグランドマスター池田義博さんに、テスト勉強で使える効果的な暗記方法を教えてもらいました。
短期間で使える3つの暗記方法
短期間で暗記をしたいなら戦略が必須です。ただやみくもに暗記をしても効果は得られません。戦略とは学習心理学に基づいて勉強をすること。今回は3つの戦略を紹介します。
分散効果「全体を薄く素早く繰り返し暗記したほうが長くたくさん記憶に残る」
暗記をするときの脳の特性として、ひとつひとつを100%覚えてから次にいくよりも30%程度でもよいのでまずは全体を把握したほうが記憶には有利です。例えば、英語の試験範囲が20ページならば、まず20ページを一気に読む。もちろん、内容を覚えようと思って読むこと。1回読むだけでは記憶の定着率は15~20%程度かもしれませんがそれでかまいません。素早く何度か繰り返すと定着率が上がり、長く残る強い記憶にすることができるのです。
この方法はメンタル的にもメリット大。全体像が見えると脳が安心してリラックスしますが、反対に全体像が見えないと脳は不安を覚えパフォーマンスが下がる傾向があります。つまり、ひとつひとつを完璧に覚えるあまり、時間がかかって範囲の最後までたどりつかないと脳がゴールが見えずに焦ってしまい、試験で実力を発揮できない場合があります。
また、確率的にも効率がいい暗記方法です。20ページの範囲中、40%を完璧に覚えるのと、多少記憶が薄くても80%を覚えているのでは、単純に80%から出題される確率が高い。スピード重視で暗記するのにはこんな利点もあるのです。
想起練習「暗記したものはアウトプットでより定着。声に出して思い出すと◎」
学習心理学で最強といわれるのが想起練習です。暗記というとインプットだけのイメージがありますが、思い出すというアウトプットの工程を踏まないと記憶は定着しません。暗記したものを口に出して思い出す練習を繰り返しましょう。この練習にオススメなのが、単語カードや、単語カードのような機能を持つフラッシュカードアプリなどです。
暗記で重要な復習のポイントは忘れかけのときに繰り返すこと。まったく忘れてしまっている状態だと定着が難しいため、ぼんやり思い出せるかも…ぐらいの状態で復習するのがコツです。
エピソード記憶「覚えた単語は、推しのアイドルやアニメキャラに紐づける」
短い時間で覚えた記憶は、自分の経験や体験を紐づけるとより強い記憶になります。そこで試してもらいたい暗記方法は、教科書の文字をイメージ化すること。例えば、歴史で徳川十五代将軍を覚えるなら、名前から物を連想して、好きなアイドルグループのイメージカラーに紐づけたり、アニメのキャラクターの名前と結び付けてみたり。例えば徳川家光なら、光なので、光→黄色→黄色担当のアイドル、というような感じです。試験中に自分が思い出せるものであれば何でもいいですが、自分が好きなものだとより鮮明に思い出せますし、暗記しているときも少しだけ楽しい気持ちになれるはずです。
脳は文字や言葉を覚えるのが苦手です。人間にはもともとイメージ能力は備わっていますが、言葉や文字というものはあとになってから発明されたものです。そのため、文字情報のままよりも、ストーリ仕立てで映像化したり、図解にしたり加工したりするほうが脳にとっては覚えやすいのです。
おまけ:睡眠をとる「寝ないと記憶は定着しない!」
一夜漬けで寝ずにそのまま試験に向かったほうが、忘れる前に試験に臨めると思う方もいるかもしれませんが、それは間違いです。睡眠は記憶を定着させる大事な行為です。昼間のうちに入ってきた情報は、夜寝ている間に脳の記憶を司る海馬が整理し、記憶に残る仕組みになっています。つまり睡眠をとらないと記憶は定着しないのです。テスト直前で焦っていても、勉強後は睡眠をしっかりとるようにしてください。
まとめ
テスト直前に使える効果的な暗記方法は参考になったでしょうか。暗記した後はしっかり睡眠をとって定着させて、試験に向かってください。
池田義博(いけだ・よしひろ)
日本記憶力選手権大会で6度の優勝を果たし日本人初の記憶力のグランドマスターの称号を獲得。テレビ、ラジオに出演するほか、著書も多数。最新著書に『見るだけで勝手に記憶力がよくなるドリル』などがある
取材・文:中屋麻依子