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2015年05月27日

本物のプロと生半可なプロの5つの違い│岩崎夏海

本物のプロ

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』作者の岩崎夏海さんが、混沌とした現代をどうとらえればいいのか? を書き綴っていく社会評論コラム。この記事は岩崎夏海メールマガジン『ハックルベリーに会いに行く』よりお届けします。

1.気を抜くポイントを知っている

生半可なプロは、「どうせ誰も見ていない」と思って気を抜くところがある。例えば会議で他の人が発言しているときに、ついあくびしたり、スマホを見たりしてしまう。しかし会議に出席している本物のプロは、そういうところをこそ見ている。そしてほとんどの場合、そこでその人の評価が決する。だから本物のプロは、相手が話しているときの顔の作り方に気をつける。見られていないと思われがちな場面こそ、誰かが見ていると知っているからだ。

そこで、本物のプロでも最上級の人だと、極上のポーカーフェイスを作る。「何を考えているのだろう?」と相手に考えさせるような顔をする。本物のプロは、これを気を抜きながらできるようになる。生半可なプロは、本物のプロが気を抜きながらポーカーフェイスをしているなどとは思いもよらないので、緊張しっぱなしで、疲れて疲弊してしまう。

2.貸し借りの感覚に長けている

貸し借り
生半可なプロの人は、貸し借りの感覚が稚拙だ。貸すのも下手だが、借りるのも下手だ。本物のプロは上手に貸し借りする。例えば、食事をおごってもらって、相手が「これで貸しが一つできたな」と思ったら、それをちゃんと覚えている。そして、すぐにではなくとも、上手なタイミングでしっかり返す。久しぶりに会ったとき、前におごってもらったことを覚えていて、「この前は私がおごってもらったんで」と言って、今度は自分がおごろうとする。

また本物のプロは、そうやって相手が貸し借りのできる人だったら、貸しはちゃんと「返させて」あげる。「この前おごってもらったから今日はおごりますよ」と言われたら、「いえ、けっこうです」と言うのではなく、「そうですか? ありがとうございます」と言って、それを素直に受け取る。

この「貸しを上手に返させてあげる」というのは極上のコミュニケーションになる。それで相手から「この人はできる人だ」と思われるようになる。本物のプロは、貸し借りの上手さでコミュニケーションの間合いを計っている。生半可なプロはそこが分からないから、いつまで経っても貸し借りのスキルが磨かれない。それで、本物のプロ同士のサークルから除外されてしまう。

3.「場所」から作る

場所
生半可なプロというのは、どうしても「既存の場所」で勝利しようとする。しかし本物のプロは、その場所から新たに作ろうとする。そして、その場所で自分に有利なルールを作り、その上で「勝利」する。

例えばプロ野球で、本物のプロのバッターは、「直球勝負が男らしい」という空気(場)を醸成する。そうして、相手ピッチャーにまんまとストレートを投げさせる。その上で、それをホームランする。

また、将棋の本物のプロは「この人にだったら負けてもしょうがない」と思わせる。けっして「こいつにだけは負けたくない」とは思わせない。例えば、大山康晴さんは、大きな対局の前には何も食べないで臨んだ。そして、対局前日に開かれるレセプションパーティーで、たくさん食べる。すると、そこに参加している対局相手は、「緊張で食欲がない自分に比べ、大山さんはたくさん食べているので、対局前から負けている」とネガティブな感情を抱いてしまう。それが影響して、本番でもいい手を指せない。

島田紳助さんは、自分には漫才の才能がないと分かっていた。だから、それを売れるための足がかりにはしたが、終生の仕事とはしなかった。なぜなら、そこで戦ったら負けてしまい、負けてしまっては「勝利」というプレゼンテーションの機会を失ってしまうからだ。そうして彼は、最後まで「勝てる場所作り」にこだわった。本物のプロは、まず勝てる場所から作ろうとする。生半可なプロは、既存の場所で勝とうとする。

4.本物のプロは弱点を克服する

本物のプロは、本当の勝負は「死角を作らないこと」だと分かっている。だから弱点を克服する。弱点がないような完全体を演出する。その姿が最強であると分かっているからだ。

イチロー選手は弱点がない。相手に「どこを攻めたらいいか分からない」と思わせるためだが、それが一つの戦略となっているのだ。羽生善治さんも弱点がない。あらゆる戦法を指しこなし、相手に「どう指せばいいのか分からない」と思わせる。

生半可なプロは「長所を伸ばせばいい」と思っている。だから、たいてい弱点が置き去りにされる。それで、本物のプロの勝負で弱点ばかり攻められる。そうして、再び浮き上がるチャンスを逃す。プロ野球でも、一時活躍したけれどもすぐに落ちぶれてしまう選手というのは、たいてい長所を伸ばし、短所を克服しなかった人だ。

5.本物のプロは意識が低い

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これは多くの人が勘違いしていることなのだが、本物のプロは意識が低い。なぜなら、意識を高くすることのコストがいかに高いか─を知っているからだ。
例えば本物のプロの小説家は「小説を書きたい」とは思わない。それは、小説「書きたい」と思って書くことがいかに大変か─を知っているからだ。願望を叶えることがいかに困難かを知っているからである。本物のプロの小説家は、書きたいと思わない。そう思わなくても書けるようなマインドを構築している。すると、意識を高く持つ必要がない。おかげで、意識にコストを割く必要がなくなり、コストパフォーマンスが高くなるのである。

生半可なプロは、意識を高く持とうとする。自分の意識を最高状態にしようとし、常にエッジを尖らせておこうと心がける。それで、肝心なときに疲弊してしまう。疲れてしまう。本物のプロは、自分を最高な状態に置いておこうと心がけない。それを心がけずともできるよう、習慣化するのである。習慣化することで、意識せずとも、最高な状態に置いておくことができるようになるのだ。

企画:プレタポルテby夜間飛行

◆岩崎夏海メールマガジン「ハックルベリーに会いに行く」
毎朝6時、スマホに2000字の「未来予測」が届きます。このメルマガは、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(通称『もしドラ』)作者の岩崎夏海が、長年コンテンツ業界で仕事をする中で培った「価値の読み解き方」を駆使し、混沌とした現代をどうとらえればいいのか?――また未来はどうなるのか?――を書き綴っていく社会評論コラムです。ご購読・詳細はこちら
岩崎夏海岩崎夏海(いわさきなつみ)
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。