人からどう思われているのかが気になります【精神科医・名越先生のカウンセリングルーム】
お悩み:人からどう思われているのかが気になります…
20歳、女子大生です。学校などの友人たちから自分がどう思われているのかが気になって仕方ありません。気が小さいかもしれませんが、もしかして、影で反感を買っていたりすのではと心配です…。相手が自分のことをどう思っているのか、会話や行動から判断するコツはありますか?
表情に振り回されない
他人からの評価や評判が気にかかって仕方がない、という人は、他人の顔色、すなわち「表情」に振り回されているケースが少なくありません。相手がちょっと険しい表情をしているのを見ると、「あ、ちょっと余計なことを言ってしまったかな?」とか、こちらがおもしろい話をしているのに、ちっとも笑ってくれないのを見て、「私のことが嫌いなのかな?」というふうに人の表情が気になってしまい、心を揺り動かされてしまう。
でも、注意してほしいのは、表情というのは必ずしも、内面とはイコールではない、ということです。これは、人のタイプによって大きく異なります。ほとんど何も表情に表れない人もいれば、表情が豊かな人もいる。あるいは、相手をコントロールするために表情を変える人もいれば、あなたとの関係性とは無関係に、自分の中の「気分」によって表情がコロコロ変わる人もいるわけです。
そう考えると、表情の変化に振り回されるのはろくなことがない、ということがわかります。そういう瞬間的なことよりも、僕はむしろ、中長期的な「評判」を気にかけたほうがいい、と考えています。
「評判」というのは中長期的な評価の積み重ねのこと。半年や一年単位の中で積み上げていかないことには、なかなか自分の評価というのは高まっていきません。
たとえば「人に挨拶をしよう」とか「机の周りを片付けてから帰る」ということに取り組みはじめたとして、それによって周囲の評判が変わるには、やはり2か月や3か月は最低限かかります。それくらいの時間をかけて、自分の評判をあげる、ということに取り組んでいく。そうすれば、瞬間的な相手の表情の変化に振り回される、ということは少なくなるはずです。
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名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『Solo Time 「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(夜間飛行、2017)などがある。 2019年より会員制ネットTV「シークレットトーク」を配信中。