スマートフォン用サイトを表示

アルバイトや転職に役立つ情報が満載!最新のお仕事ニュースなら【タウンワークマガジン】

2015年10月26日

継続力を高める方法——飽き性のあなたが何かを長く続けるためにできること

bowie15150600202

テレビでおなじみの精神科医・名越康文(@nakoshiyasufumi)が心の悩みにズバッと答える! この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

継続するためには「力」よりも「工夫」

ダイエットや勉強、あるいは趣味について「何をやっても続かない」という人がいます。いわゆる「3日坊主」で、長く続けることができない。一度決めたことをやりとげるには、いったいどうしたらいいのかわからない……。こういった質問は、新聞や雑誌、あるいはウェブのQ&Aコーナーでもよく見かけますよね。

こういう悩みに対する、ひとつの定型的な答えとして「嫌なことを無理に続ける必要はないんだよ」というものがあります。嫌なこと、続かないことを無理してやる必要はない。好きなこと、楽しいことだけをやればいいんだよ、というわけです。

それはそれで、一理あるでしょう。確かに他ならぬ自分の人生なのだから、無理に続ける必要はないかもしれない。

しかしながら、この悩みが、仮に自分の子供や、これから長年共に歩む運命にある大切な仲間から寄せられたものだったとしたらどうでしょうか。たぶん「好きなことやってればそれでいいよ」とはなかなか答えにくいと思うんです。

やはり、「何かを続ける力」というのは大切で、必要である。そのことは、誰もが心の底では痛感していることではないでしょうか。継続力というのは、少なくとも「明るく、元気に人生を生き抜いていこう」と考えるのであれば、必要な能力なんですよね。

では、すぐに3日坊主になってしまう人、根気が続かない人は、何を、どう変えればいいのか。

かくいう僕も、実はとても飽きっぽい人間なんですが、もしかすると、ツイッターやメディアを通してしか僕を知らない人は、僕のことを「継続力のある人間」だと誤解している人もいるかもしれません。実際、仏教の研究についてはもう8年ほど続けていますし、今年になってから始めた歌の練習なんかも熱心に続けているから、「もともとコツコツ継続する力がある人間なんだ」と思っている方もいらっしゃるかもしれない。でも、それは誤解なんです。基本的に僕は多動傾向が強めの、いわゆる「飽きっぽい人」なんです。

生まれつきコツコツ努力できるタイプの人ならともかく、僕みたいに飽きっぽい人間(実際、学生時代のテストはほぼ一夜漬けでした)が何か新しいことを始め、続けていくためには、それなりの「工夫」が必要です。だから、その僕なりの「工夫」についてお話することによって、「継続力がない」と悩んでいる人になにがしかヒントを提供できるかもしれない。そんなふうに思うんです。

「続けられそうもない」ことに取り組んではいないか

ducksmallfoto150300024
さて、僕なりに物事を継続するためにやっている「工夫」についてお話する前に、ひとつ、継続力についてクリアしておきたい問題があります。それは、何かに取り組むときに「続けられそうか」「続けられそうもないか」という判断をちゃんとやっているかどうか、ということです。

というのも、「継続力がない」「根気がない」と悩んでいる人のだいたい半分ぐらいが、そもそも「とてもじゃないけれど続けられないこと」にチャレンジしてしまっているように感じるからです。

よくよく考えれば無理のあるスケジュールや課題なのに、きちんと現実に向き合わずなんとなく始めてしまい、案の定、やり始めるとだんだんときつくなって諦めてしまう。そして、取り組み始めてから諦めるまでの1週間、2週間という時間の間に「続けられない自分」「努力できない自分」にがっかりして、自己評価を下げ、傷ついてしまう。そういうパターンにはまっている人は意外に少なくない。

つまり、「継続力がない」という問題には、「実際、続ける力がない」という問題とともに「継続できそうか、できそうにないか」を判断できていないという意味での、判断力の問題もある、ということです。

自分がこれからやろうとしていることに、スケジュールや方法論の点で無理がないかどうか。何かに取り組み始める前に、そのことをまずチェックしてみてほしいと思います。

そしてもし、自分の傾向として「ついつい、継続できそうもないことに取り組んでしまう」という「判断力の問題」が大きいようであれば、その点について少し心理的な面を掘り下げてみてもよいかもしれません。

そこには、端的に言えば「こんなことをがんばっている自分をみてほしい」という虚栄心があるかもしれないし、「誘ってくれた人に、断るのが悪い」といった、実際に取り組む内容とは無関係な動機が隠れているかもしれない。心のうちからそういう邪念を払っていけば、何か新しいことに向き合ったとき、「自分が続けられそうか、そうでないか」ということを、今よりはもう少し、正しく判断できるようになるのではないかと思います。

オール・オア・ナッシングはNG

Young woman writes to diary on a white table
ただ、「判断力」と申し上げましたが、その一方で僕はこうも思うんです。僕らは「続けられそうもないこと」にあえてチャレンジし、それをやりとげるからこそ、素敵な自分に生まれ変われるんじゃないか、と。これはこれで、大事な考え方だと思うんですね。こういうチャレンジ精神のようなものを安易にそぎ落としてしまったら、それはそれでまずい。というのも「続けられそうもないことに取り組んでみたい」という情熱こそが、人を成長させるエネルギーになることは少なくないからです。

ですから僕は、この問題については「10か0か」の話にしない、ということが重要だと思っています。例えばあなたがこれまで取り組んだことの10のうち1ぐらいしか続けられない人だったとすれば、それを3とか、4ぐらいに持ってくることを考えるようにする。1割バッターが3割バッターになる、ということを考えるんです。

そして、その「打率」を上げるために必要なのは「意思」とか「努力」ではありません。最初に申し上げたように「工夫」なのです。

では「工夫」とは具体的に、どのようなものなのか。これは人によって、あるいは状況によってさまざまなのですが、やるべきことは同じで、次の2つのステップです。

まず、その「何か」を達成するために必要なことをリストアップする。そして次に、自分の行動習慣の中で、比較的変えやすい要素をひとつ、あるいはふたつ変えられないかを検討する。単純なことではありますが、案外この2つのステップを丁寧に踏むだけで、「継続の確率」というのは上がっていくものなんですね。

たとえば僕は、月に何回かは浄瑠璃や能、最近では落語などの舞台を見にいきたい、と考えています。僕にとってはたったこれだけのことでも継続できるか、難しいところなんですね。仕事もほとんど毎日内容が異なりますし、たまたま休みの日に、うまい具合にチケットが取れるかどうかわからない。流れに任せていると、月に1回も舞台に行けないということになってしまいそうなんです。

そこで僕が考えたのは、<「思い立ったら吉日」というルールを自分に課す>ということでした。たとえば仕事のスケジュールが空いて、その日に行われている舞台があったとします。そうしたら、その瞬間に、電話をしてチケットを押さえてしまうんです。

「え? それだけ?」と思われるかもしれませんね。ただ、これは僕のような面倒くさがりにとっては、ちょっとした「人格改造」です。以前の僕だったら「お、スケジュールが空いた。落語、行けるかな?」と考えたとしても「明日、予約の電話しよう」というふうに、後回しにしていた。電話をかけるのを億劫がっていたと思うんです。

でも、「月に2-3回は舞台を見に行く」ということを継続させるために、そこについてはちょっとがんばって、「モード」をカチッと切り替えるようにする。何時間もモードを切り替えるのは大変ですが、「電話をしよう」と考えて「実際に電話をかける」までの間であれば、瞬間的に切り替えるだけで済みますから、やろうと思えばできるんですね。

僕の場合、たったこれだけのことで、「月に2-3回舞台に行く」というミッションをある程度、継続できるようになりました。

もちろん、これはあくまで僕が経験した一例でしかありません。しかし、大掛かりなことをしなくても、自分の状況をきちんと見極めればほんのちょっとした工夫でも継続率を高められる、という点では、ひとつのヒントにはなると思います。

「続けられない!」「継続力がない」と悩んでいる人は、自分の1週間、1か月の行動週間の中で、自分のやりたいこと、続けたいことを妨げている要因はどこにあるのか。どこを変えれば、いままで続けられなかったことを続けられるようになるのか、というふうに考えてみてください。

それは言い換えれば「いまの自分(現実)を知る」という作業でもあります。たとえばいくらダイエットをしても続かない、という人は、<私の食生活が安定しない(コントロールできない)原因はどこにあるか>と考えてみる。それはもしかすると、夜寝る時間が一定していないからかもしれません。ではなぜ、夜寝る時間が一定しないのか。それは、仕事が終わってから、なんとなく飲みに行って、そこで食事を摂っているからかもしれない。

だとすれば、その人の場合は「飲みに行く回数を減らす」ということが、生活習慣を整える上で、一番の近道かもしれませんね。それは、「摂取カロリーを減らす」といった、直接ダイエットに関係すること以前の「生活習慣を変える」といったことですが、結果的には「ダイエットの継続率」ということでいえば、飛躍的に確率を高めることができるはずです。

飲みに行くのをやめれば、しっかり食べても30分ほどで食事を終えて、飲みに行った日よりも2時間は早く帰宅できる。その2時間で、睡眠時間をしっかり確保して、朝、早起きをする。それだけでも、それまで3日坊主だったダイエットを継続できる、大きな要因となるはずなんです。

まずは自分が「続けられそうもないことに手をつけようとしていないか」をチェックする。その上で、何かに取り組み始めたら、それまでの自分の生活習慣の中で、それを継続する上で有効そうなポイントについて、変えられるものを変えてみる。

たったこれだけのことで、それまで1割バッターだったあなたの「継続力」は、3割、4割バッターに成長させることができるのではないかと思います。

企画:プレタポルテby夜間飛行

こんな求人みつけました
継続工夫

 

<関連書籍情報>
『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』名越康文 著/1500円+税

驚く力書影 - コピー毎日が退屈で、何をやってもワクワクしない。テレビを見ても、友達と話していても、どこかさびしさがぬぐえない。自分の人生はどうせこんなものなのだろう――。そんなさえない毎日を送るあなたに足りないのは「驚く力」。
現代人が失ってきた「驚く力」を取り戻すことによって、私たちは、自分の中に秘められた力、さらには世界の可能性に気づくことができる。それは一瞬で人生を変えてしまうかもしれない。自分と世界との関係を根底からとらえ直し、さえない毎日から抜け出すヒントを与えてくれる、精神科医・名越康文の実践心理学! amazonで購入する

精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。