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2016年03月01日

ストレスの正体とは? その実体と上手なつきあい方

Swearing Girl

テレビでおなじみの精神科医・名越康文(@nakoshiyasufumi)が心の悩みにズバッとお答えします。

ストレスとは突き詰めれば「人間関係」のこと

ストレスをどうやって発散すればいいのか、あるいはストレスとどう付き合えばいいのか。実はこの問題にはちょっとした「罠」があります。それは、こういう問題について質問をされ、答えるということをやっているうちに、いつの間にか、この世には「ストレス」という名前の、何だか正体のわからない「悪いもの」がある、という錯覚が生じるということです。

でも、私たちが「ストレス」と呼んでいるものには、ちゃんと「実態」があります。それは「対人関係上の具体的な問題」です。もちろん、仕事や受験のプレッシャーなど、それ以外の「ストレス」もありますが、私たちが日常的に「ストレス」と呼んでいるものの多くは、ほとんどそのまま「対人関係上の具体的な問題」に置き換えて考えて、差し支えないのです。

「最近ストレスが溜まって……」という漠然とした捉え方を、「気の合わない人と一緒に仕事をしなければいけない」とか、「仲良しグループの空気が悪くなった」という具体的な問題に置き換える。そして、それを何らかの形で解決していくことが、「ストレス」の根本的な解決法です。

もちろん、後述するように、こうした対処が難しいこともあるのですが、まずは「ストレス」の実体をそのように捉えることが重要です。

和すれども同ぜず、を指針に

two sisters twins posing, making photo selfie, dressed same white shirt, diverse hairstyle
ストレスの根本にあるのが人間関係上の問題だ、ということをしっかりと認識することさえできれば、(百パーセント解決することは難しくても)要所要所で手を打っていくことは可能です。例えば、問題となっている人間関係の「場所」や「時間」を限定する、というのもひとつの方法です。毎日のように顔を合わせるのは厳しくても、週に1回程度であればそれほどしんどくない、あるいはむしろ刺激になって良い、ということは少なくありません。

ただ、対人関係の問題に手をつけるときには、自分の中にある「依存心」に目を向けることも忘れてはいけません。例えば仲間との飲み会にいつも深夜まで付き合っていて、それがストレスになっているとする。本当は途中で帰りたいけれど、帰れる空気じゃない、と悩んでいる。

でも、その「帰れない」というのは、本当に「相手があなたに強要していること」なのか、と問いかけてみる。もしかするとあなたの中にある「ここで帰ったら、仲間から疎外されてしまうんじゃないか」という不安や寂しさが、あなたの心に「断れなさ」を創りだしてはいないでしょうか。もしそうだとしたら、あなたが手をつけなければいけないのは「対人関係」というよりはむしろ、あなたの中にある「寂しさ」や「依存心」ということになります。

例えば、週に一度でもいいから、一人でゆっくりと過ごす時間を作る。スマートフォンの電源を切って、いつも一緒にいる相手から距離を取る。その上で、相手と適切な距離感でコミュニケーションを取るにはどうすればいいか、と考える。

「和すれど同ぜず」という言葉があります。相手と仲良くおつきあいをしながらも、決して同一化はしない、ということですね。ひとつの理想ではありますが、もし対人関係のストレスに疲れているというのであれば、ひとつの指針としてもよい言葉ではないかと思います。

それから、これは「対人関係上の具体的な問題への対応」ということのベースになる部分ですが、自分自身のストレス耐性を高めるということも、もちろん大切です。この場合の「ストレス耐性」というのは具体的には「身体のコンディションを整えておく」ということ。身体がだるい、重いと感じているときには、相手の一言によって深いダメージを受けてしまいます。よく眠り、体調を良くしておけば、苦手な相手の言動にも、あまり心を揺さぶられなくて済むようになる。実は世間で言われる「ストレス」の多くは、これによって相当軽減することができます。

ストレス発散は「方便」

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さて、こんなふうにストレスというものの実態を認識していくと、世間でよく言われるような「ストレス発散」は、典型的な「問題のすり替え」である、ということに気づかれるでしょう。ストレスの根本にある人間関係上の問題を棚上げして、その代わりにカラオケに行ったり、水泳やジョギングなどのスポーツをしたり、ということで発散するのは、見方によっては完全な逃避ともいえます。

ただ僕は、こうした「ストレス発散」を否定はしません。というのも、たとえそれが問題のすり替えであったとしても、身体を動かしたり、歌を歌ったりすること自体は、決して悪いことではないからです。

もちろんスポーツであれば、それが習慣化しなければあまり効果的ではありませんし、アルコール耐性がさほどない人がやけ酒をすることは医者としてはあまりお勧めできません。

でも、ストレス発散を口実に身体を動かし、結果として健康になれば、少しはストレス耐性も高まってくるはずです。実際、ある種の方便として、ストレス発散というのは機能することがあります。一見無意味に思えるようなストレス発散であっても、長期的にみると、案外、本質的な解決につながるということだってあるのです。


※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。