暑くて寝苦しいから脱出! 熱帯夜でも快眠できる方法
真夏の夜、連日続く熱帯夜にうんざり。でも、エアコンの電気代も気になるし、設定温度を下げすぎると身体が冷えてしまう。
だからと言って、エアコンをつけてないと眠れない…。
こんなお悩みも、部屋の環境や寝る前の身体の準備を心がけることでずいぶんと改善されるようです。そこで、熱帯夜でもぐっすり快眠するコツを快眠プランナーの塚島早紀子さんに聞きました。
20時帰宅、24時就寝までをシミュレーション
20時に帰宅して、深夜24時に寝るケースを想定して、時間ごとにやっておくことをタイムスケジュールにしたのが下の表。
1.室内環境の準備
2.身体の準備
の、2つの軸で時間帯別にやるべきことをお教えします。
この通りにはいかない場合も多いかもしれませんが、あなたの生活サイクルのひとつの目安として、見てみてくださいね。
20時 (就寝 4時間前)
【環境】窓を開けて換気。こもっている湿気を逃がす
暑いのに換気!?と思うかもしれませんが、実は快眠のための大きな要素は「湿度調節」です。
帰宅したらまず、10~15分ほど窓を開けて、室内にこもった湿気を逃がすことからスタートしましょう。この時、湿気はベッド周りやクローゼットに滞留しやすいので、開け放したほうが効果的です。
換気をせずにいきなりクーラーをオンにすると、こもった熱気や湿気で、寝ている間に目が覚めてしまうこともあるので、換気作業は意外に有効なんですよ。
20時15分
【環境】換気を終了したらクーラーON。部屋を冷やし始める
室内の湿気を飛ばしたら、クーラーをON。部屋の広さにもよりますが、温度26~28度、湿度50~60%を目安にしましょう。
換気時間を使って軽いストレッチなどをするのも○。寝る直前まで気がかりなことを残しておくのは交感神経を高ぶらせてしまう原因にもなりますから、バイトの失敗などが気になっている日は、軽い運動で気がかりを吹き飛ばしちゃいましょう。
21時 (就寝 3時間前)
【身体】食事は消化が終わる、寝る3時間前に済ます
肉や魚などのタンパク質は、消化するまで3時間かかると言われています。寝ている間は胃は消化活動をストップしてしまいますので、寝る直前の飲食は禁物。翌朝の胃もたれや夜中に目をさます原因にもなってしまいます。
晩ごはんと一緒にビールを一杯! それもOKです! 2時間前までなら寝る妨げにはならないでしょう。でも飲み過ぎは禁物です。アルコールの誘眠作用で眠くはなりますが、その眠りは浅いもの。夜中に目が覚める原因にもなります。
22時 (就寝 2時間前)
【身体】ぬるめのお風呂で深部体温を温め、風呂上がりのクールダウン効果で眠りを誘導
お風呂は38~40度のぬるめの湯船で、15分くらい身体を温めましょう。
人は体温が上がり、クールダウンした時に眠気がやってきます。そのため、湯船にきちんと浸かり、身体の深部体温をいったんグッと上げておくことが、その後の寝つきを良くするコツでもあるのです。
お風呂上がりの暑さ対策に、ミントやレモンなど清涼感を誘うアロマを活用するのもオススメです。ただ眠る直前に使うのはご注意を! アロマの効用で目が覚めてしまうこともありますからね。
暑い夏、シャワーでさっと汗を流すだけという人も多いでしょう。でも、シャワーだけでは深部体温までは温まりません。少々面倒かもしれませんが、快眠のためには湯船につかるのがベターです。
22時30分
【環境】・【身体】照明を落とすことで、睡眠ホルモンの分泌を促進
眠りに落ちる時はメラトニンという睡眠物質が分泌されますが、実はこのメラトニンは光を浴びることで分泌を妨げられることがわかっています。つまり、寝る前に明るい光を浴びるのは、快眠の妨げになることもあるのです。お風呂上りには間接照明などのダウンライトに切り替え、身体を休ませる準備へと入って行きましょう。
23時 (就寝 1時間前)
【身体】テレビやスマホの電源をオフにして、脳をクールダウンさせる
スマホやテレビ、パソコンでのメールチェックなどは、脳を活性化してしまいます。また、スマホなどに使われているブルーライトの光は、睡眠ホルモンのメラトニン分泌を妨げてしまう原因に。朝起きてから対応すればいいことなら、あえてメールやラインも見ない、返信しないと決めてしまう選択もアリですよね。思い切って寝る1時間前には電源をオフにしちゃいましょう。
淡々とこなしていく作業は、脳を心地よい刺激を与えます。雨の音など単調で一定のリズムを刻む音源を聞く、また、パズルや少し難しいビジネス書を読むのもオススメです。
24時
【環境】エアコン温度は26~28度、ドライモードで3時間後オフ設定に。扇風機やサーキュレーターも併用する
●オフ時間の設定:3時間後
●(暑がり、汗かきの人は28度のドライモードでつけっぱなしでもOK)
●室内環境:扇風機、サーキュレーターを壁~上向きにして空気を循環させる
寝ている間に人の体温は徐々に下がっていくもの。特に女性はこの設定温度では寒いと感じることもあるかもしれませんので温度は29度くらいの設定でもOKです。エアコンのタイマーは3時間くらいで「切」に設定しておいてもいいでしょう。
ただしこの時、快眠を妨げないために重要なのが『空気の循環』です。扇風機やサーキュレーターなどを壁に向けて、直接風に当たらないことが心地よい眠りにつながります。
そして、寝苦しさで目が覚めてしまう原因は温度よりも湿度にあることが多いので、エアコンは除湿(ドライ)モードがオススメ。意外かもしれませんが、『快適温度』に気を遣うよりも『快適湿度』をキープすることが大切なのです。
シーツを麻素材に変える、ベッドパッドを冷感素材に変えるだけでもかなり寝心地は変わります。また、抱き枕や、寝返りしやすい固めの寝具を使うのもひとつの手。
抱き枕を使うと身体と寝具の間に空気の流れが発生します。それは寝返りをうつ時も同じこと。寝ている間にも、身体と寝具の間に空気の流れを作り、湿気や体温が寝具にこもるのを防ぐ工夫をしてみましょう。
まとめ
熱帯夜でも心地よく眠るコツ、いかがでしたか? 心地良く寝る環境を整えることは体調維持にもつながります。「一度崩れてしまった睡眠サイクルは戻すまでに1カ月~2カ月はかかるもの。また、キチンと寝る、起きることは美肌にもつながります」(塚島先生)。寝るための準備なんて面倒!と思いがちだけど、パワーをかけるだけの価値はありそうです。また、一番心地良いと思える睡眠時の温度や湿度は個人差もあるそう。
この記事を参考に、ぜひ、あなたなりの『熱帯夜の快眠方法』を見つけてみてくださいね。
塚島 早紀子(つかしま さきこ)さん
快眠プランナー(睡眠改善インストラクター 一般社団法人日本睡眠改善協議会 認定 NO.10-1028)。睡眠に関するサービスの立ち上げ・運営に携わった実績を生かして気になる商品やニュース働く女性や子供の睡眠についてなど、日々の生活に簡単にしかも、楽しく取り入れられる快眠レシピを発信中。
■協力:pleasant sleep http://pleasantsleep.jp/
取材・文:中島典子