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2016年09月30日

プロレスラー真壁刀義インタビュー「夢を叶えるなら、自分だけの夢にするな」

真壁刀義 タウンワークマガジン

※撮影:八木虎造


今、プロレスが熱い! 人気選手が続々とメディアに出る中で、強面フェイスとスイーツ好きのギャップで話題の『スイーツ真壁』こと真壁刀義選手。試合では悪役&オラオラ系の真壁選手が、なぜお茶の間の人気者になれたのか。それは、真壁選手が学生時代からブレずに大切にしてきたことや信念のたまもの。そこには今の若者世代の明日に役立つヒントがたくさんありました。
 

地区で一番バカな高校から大学に合格できたのは勉強の“やり方”を知ったこと

真壁刀義 タウンワークマガジン
――真壁選手は大学時代、どんな学生生活を送っていたんですか?

「オレ、大学は一浪して入ったんだけど、今は偏差値があがったらしいけど、当時は地区で一番バカな高校に通ってたんだよ。アニキは地区で一番頭のいい高校に通っていて、兄弟で真逆だったんだよね。アニキは当たり前のように大学に行ったけど、親も高校の先生もオレは就職するもんだと思っていて、そんときに“ふざけんなよ”と思って火がついた。アニキが大学に行くならオレも行ってやるって。ただ、バカだから現役じゃ絶対受からないって分かっていたから、高校卒業後に予備校へ入って勉強をしなおした。勉強ってさ、成績をあげるために一番大切なことって何か知ってる?」

――うーん、復習するとかですかね。

「違うんだよ、勉強のやり方を知ること。人間ってもともと頭がバカなヤツっていないから、やり方さえ分かれば誰でも学力があがるんだよ。高校時代まともに勉強してなかったから予備校で頭のいいヤツに聞いたの。『恥ずかしいんだけど勉強ってどうやればいいの?』って。そうしたら、そいつが『英語なら単語が分からなければ、辞書で調べろ。ただし、教科書に書きこむな。覚えるまで何度でも辞書を引け』って教えてくれたんだ。自分で覚えるまで徹底的に調べろ、ラクするなってね。その言葉通り、最初はぺったんこだった英和辞書が受験までには使いすぎてページがボロボロになって膨らんでたからね。おかげで大学は一発合格」
 

大学時代は学生プロレスに夢中。大学3年生のときにプロレスラーになることを決意

真壁刀義 タウンワークマガジン
――努力家の顔はその時代からのぞいていたんですね。ちなみに、入学後は何に力を入れていましたか?

「学生プロレスをずっとやってた。まぁ、プロレスの真似事だね。オレがガキの頃はアントニオ猪木とか長州力とかタイガーマスクとかスターレスラーがすごく活躍していて、すごく憧れてたんだ。レスラーみたいに強くなりたいと中学・高校は柔道をやっていて、大学でやっとプロレスサークルに入って。本気の本気でプロレスラーになりたいと思ったのは大学3年生のとき。

みんなが就活で忙しく動き回っているときに体育館の横でずっとスクワットしてた。でも、親にはなかなか言えなかったな。予備校行かせてもらって大学まで出てプロレスラーになりたいなんて、普通、言えねぇよな」

――どうやって切り出したんですか?

「はっきり言ったよ(笑)。プロレスラーになりたいって。そうしたら1年だけ頑張ってみろってオヤジに言われて、新日本プロレスの入門テストを受けたら1年以内に受かった。360人中で受かったの2人だよ。オレ、すごくない?(笑)」

――いや、ホントすごいと思います!!(笑)

「ただ、そこからが地獄でね(笑)。受かったもう一人は練習初日で逃げちまったから。スクワット1000回とか当たり前だし、先輩からは怒られるし殴られるし。ホント、入った当時は“こいつら全員、ぶちのめしてやる”って反骨心だけで練習に出てたぜ」
 

厳しい練習が続き、目標を忘れこなすことで精一杯になっていた

真壁刀義 タウンワークマガジン
――1000回!!!プロレスの練習は厳しいと聞いていましたが、そこまでとは…。

「最初は反骨心だけで練習していたけど、何カ月も怒られ続けているとさすがのオレでも分からなくてなってきて。『練習も真面目にしているし、回数だってこなしている。それなのに、なぜ怒られ続けるんだろう』と。そこで、当時、鬼軍曹と呼ばれていた元コーチの山本小鉄さんに聞いたんだ『オレより真面目にやってないヤツもいるのに、なぜ、オレばかり怒られるんですか』って。

そうしたら山本さんは『誰よりも強くなれ。誰よりも強くなったら、オマエに文句を言うヤツはいない』と答えたんだよな。それでハッと気が付いた。最初は『みんなをぶちのめしてオレが一番になってやる』という気持ちでこの世界に入ったのに、いつしか規定の回数をこなしたりと決められたことをやって怒られないようにすることばかり考えていた。

そこから考え方や練習法もガラリと変えた。“今日も怒られて殴られるのか”ではなく“殴れるもんなら殴ってみろ”という気持ちに切り替えたし、スパーリングも一番強い人にお願いするようになった。もちろん、毎回ねじ伏せられるけど、何度もお願いして。そうすると散々、オレに怒っていた先輩たちが『こいつ、めんどくせーな』という感じで見るようになってきて、そのうち『こいつ、やべーな』と焦りだした。負け犬が歯向かい出して力をつけてきたから焦ったんじゃねぇの。

それで3年ぐらい過ぎたあたりで、誰もオレに文句を言うヤツはいなくなった。“あぁ、これか、山本さんが言ったことは”と身をもって理解したんだ。
 

あの時の苦労があったからこそ、今、テレビに出られている

真壁刀義 タウンワークマガジン
――知らず知らずに環境に順応することを一番に考えて、当初の目標を忘れてしまっていたんですね。

「そうそう。納得していない状況なのに、環境に合わせるために自分を無理やり納得させていたんだよ。でもな、そうするとやっぱりツライんだよ。

オレはこの経験があるから、今があると思っている。何の苦労もせずにスター選手になっていたら、相当調子にのってイヤなヤツになっていると思う(笑)」

――きっと“スイーツ真壁”なんて言われることもなかったでしょうし、こんなにテレビやバラエティ番組にも出ていなかったでしょうね。

「出てないだろうね。出てもテレビでもエラそうにしてたんじゃない。それで呼ばれなくなってさ“なんで仕事ねーんだよ”みたいな(笑)。オレはどんな仕事でもチャンスをもらったら一生懸命やるのが心情だから」
 

別の畑でも活躍できるのはプロレスへの愛がすべて

真壁刀義 タウンワークマガジン
――真壁さんはヒール役なのに、スイーツ好きの“実はオトメン”のギャップで人気を博していますよね。スイーツ紹介やバラエティ番組でも活躍していますが、プロレスとはまったく別の畑で活躍できる秘訣って何でしょうか?

「スイーツ好きは小学生からだからね。当時はケーキなんて誕生日かクリスマスにしか食わせてもらえなかったから、大人になって自分で稼げるようになったら、好きなだけ食おうと思ってた。それがまさに今(笑)。

そんなギャップがおもしろいって言われて愛されちゃってるけどさ(笑)、でも、根本にあるのはやっぱりプロレスを盛り上げたい気持ちなんだよね。さっきも言ったけど、オレがガキの頃はスターレスラーがたくさんいて憧れていたし、こんな風に強くなりたいと夢を与えてくれた。

でも、そこからプロレスの人気が低迷して『真壁刀義?誰そいつ?』なんてことを言われながらも続けてきたけど、根底にずっとあったのは、オレがプロレスラーに夢をもらったように、プロレスの面白さや魅力を多くの人に与えたいという思い。

だから、プロレスの人気が復活している今、バラエティなんかでスイーツ真壁を見て『プロレスラーでこんな人がいるんだ、他にどんな人がいるんだろう』と、オレを入口にして、いろんな人に興味を持ってもらいたいんだよ」

――根本の思いはプロレスへの愛なんですね。

「それしかないよね。プロレスってすげーんだよ。ボコボコにやられて血まみれで倒れても、また立ち上がって向かっていく。そのレスラーのファンでなくとも『あいつ、まだ立つのかよスゲーな』と思うわけです。それがいつしか『頑張れ!!』になって、勝ったら万々歳、負けても『あいつ、頑張ったよな』と観ている人が何かしら心が震えるシーンを植え付けられる。それをドラマや映画よりもダイレクトに伝えられるのがプロレスなんだよ」

――真壁さんは幼い頃から憧れて続けていた夢を叶えましたが、自分の思いを叶える秘訣があれば教えてください。

「夢を自分だけの夢にしないこと。自分だけの夢って崩れるのも早い。たとえば、“プロレスラーになりたい”だけだったら、うまくいかないときにすぐ諦めちまう。でも、オレみたいに“プロレスラーになってチャンピオンになって観ている人に夢を与えたい”と思うと、その夢はオレだけでなくて、ファンの人の夢でもある。

オレ、福祉施設や高齢者施設に行くことも多いんだけど、その時に子どもやおじいちゃん、おばあちゃんたちに『オレ、意外と強くてチャンピオンなんだよ』と言うとすごく喜んでくれるんだよな。『すごい!頑張って!試合観るから』なんて言われると“絶対、次もチャンピオンになってやる”とガソリンが注がれる感じになる。

自分だけの夢よりも、誰かの夢も乗っかって2番目、3番目の夢ができると、すぐには諦めないし叶えがいもあるんだよな」

真壁刀義 タウンワークマガジン

■Profile
真壁刀義
(まかべとうぎ)
1972年9月29日生まれ、神奈川県出身。1996年、新日本プロレス入門テストに合格。翌年デビュー。2009年に『G1クライマックス』初制覇。2010年IWGPヘビー級チャンピオンに君臨。
オフィシャルツイッター:@GBH_makabe
オフィシャルブログ:http://ameblo.jp/sweetsmakabe/

取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造