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2017年06月22日

ミニチュア写真家・田中達也さんが「好きなことで生きていく」ために実践してきた5つのこと

ミニチュア 田中達也 ひよっこ タウンワークマガジン
ミニチュアアートを2011年から毎日インスタグラムで発表し、76万人以上のフォロワーをもつミニチュア写真家田中達也さん。

緻密でユーモアあふれるミニチュアアートが話題となり、現在放映中のNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」でタイトルバックを担当したり、海外で個展を開くまでに!

もともと会社員だった田中さんが“好きなこと”を仕事にするために実践したことを聞いてみました。

実践したこと1 「“どっちがやりたいか”を選択基準として動く」

――田中さんは子どもの頃からミニチュアに興味があったんですか?

いえ、子どもの頃はプラモデルやミニ四駆を組み立てるほうに興味があって、それを引き立てるためにミニチュアを買っていたので、あくまで添え物程度の興味でした。ただ、ものをつくることは好きで学生時代は美術や図工の成績は(5段階評価で)5でしたね。

高校卒業後は美術科のある大学に進学したんですけど、その大学で教育実習に行ったとき、人に教えるより、自分でつくるのが好きだなと感じて広告や企業パンフレットなどをつくるデザイン会社に入社。

この会社には10年ぐらいいて、webデザインからビジュアルの考え方、カメラマンへのディレクションなどアートディレクターとして、いろいろなことを行っていました。

――2年前に会社を辞めてミニチュア写真家として独立されましたが、独立しようと思ったきっかけは?

趣味で始めたミニチュアがだんだん仕事になり始めたんです。書籍の表紙にミニチュアの作品を使いたいとか連絡がきたり。最初はお小遣い稼ぎで本業の合間にやっていたんですけど、そのうちどんどんミニチュアの仕事が増えてきて。

そんな中、結婚して子どもが生まれたのですが、共働きなので子どもが病気をしたときに保育園に迎えに行ったり、自宅で看病したりするのがなかなか難しい。だったら、ミニチュアを専業にすれば自宅で仕事ができるし、子どもの世話もできるなと考えて独立を決めました。

――好きなことだけをやりたい、というだけではなくて、ライフスタイル全般を考えての決断だったんですね。

そうですね。人生って決断しながら生きていくものだと思うんですけど、僕の判断基準は「好き」「好きじゃない」の2択なんですよ。好きじゃないと断言できない場合は「どちらがより好きか」で選びます。

たとえば、高校のときはものづくりが好きだったから美術系の大学に進学したし、就職のときは教えることよりも、自分でつくるほうが好きだと思ったから制作会社に入社しました。

独立したときも、この先、仕事内容や生活環境が自分にとって好ましいのは会社員か独立かと考えて選択したので。好きなものを選び続けていたら、ここにきた、という感じです。

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実践したこと2 「自分にダメ出しを繰り返す」

――そもそもミニチュアアートを始めた理由は?

インスタグラムのサービスが始まって、何か投稿したいと考えたときに、自宅にミニチュアのコレクションがあったので「これを使おう!」と考えたのがきっかけ。本当に軽い気持ちです(笑)。

僕自身が数ヶ月後に結婚式を控えていたので、結婚式までのカウントダウンとしてミニチュアアートを投稿してみようと思ったんです。そうしたら、知り合いから「おもしろい!」「毎日見たい!」という声がどんどん出てきて。

最初はスマホで撮影していたんですけど、自分の中でもクオリティを求めるようになってコンパクトデジタルカメラを買って、ついには一眼レフまで購入して本格的に撮影するようになりました。

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――カメラ技術は独学ですか?

ほとんど独学ですが、会社にカメラマンがいたので、いろいろアドバイスをもらったりしていました。仕事で写真のディレクションはするけれど、自分では撮影ができなかったので、技術を習得したい気持ちが強かったのもあります。そこからは自分でダメ出ししながら撮影技術を磨きました。

――ダメ出しですか?

自分で自分にダメ出しをするのはとても大切です。仕事では「こんな絵が欲しい」と思ったことをカメラマンに伝えて、撮影してもらい、それに対して意見を言う役割でしたが、ミニチュアアートに関してはそれをすべて一人でやらないといけない。

最初にこんなイメージで撮りたいと考えて撮ってもイメージ通りにならない。じゃあ、どうすればイメージに近づけるのかを考えて何度も実践する。自分でダメ出しをしないと、作品のクオリティはあがらないので。

実践したこと3 「二番煎じにならないよう調べて自分だけのコンセプトを見つける」

――SNSで投稿を始めて、わずか4年で独立してどんどん活躍の場を広げていますが、その秘訣ってなんでしょうか?

二番煎じにならないことだと思います。僕の作品の特徴は「見立て」といって、ブラシを田んぼに見せて稲刈りをする作品をつくったり、アイスクリームを地球に見立てて宇宙を表現したりと、日常にあるものを別世界のものに見立てて作品をつくっています。

ミニチュアアートをSNSで投稿しようと思ったときに、他にミニチュア作品を投稿している人はいないかと調べたんですよ。だって、同じことをしたら二番煎じになるし、注目度も減りますから。

ミニチュア 田中達也 ひよっこ タウンワークマガジン
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調べた結果、ミニチュア作品をつくっている人はいたけれど、おもしろい見立てをしている人はいなかった。ミニチュアというアイテムは同じだけど、そこから分岐して自分だけのコンセプトがあれば強いです。

だから、コンセプトを決めて、それが他でやっている人がいないかを調べることは重要ですよ。

実践したこと4 「見た人が「喜んで共感できる」がキーワード」

――田中さんが作品をつくるうえで大切にしていることを教えてください。

作品は誰かに見てもらって成立するものですから自己満足じゃなかなか受け入れてもらえない。見た人が喜んでくれたり、役立つものだったり、相手のことを考えたうえで、自分のやりたいことをする。

この「相手が喜ぶ」の定義ですが、僕は子どもでも喜んでくれるものにしようと思っています。たとえば、線を一本だけ引いたような斬新なアートだと子どもは「なんでこれがいいの?」と思いますよね。

そうではなくて、ブロコッリーを木に見立てた作品で「これ、木じゃなくてブロッコリーだ!」と発見や喜びがあるようなものを作りたいと思うんです。子どもが分かれば、大人も分かる。喜びと共感ができるような作品であれば多くの人が支持をしてくれますから。

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作品のアイデアはいつも考えています。1日5案ぐらい考えて、考え付いたらすぐにスマホにメモ。時事ネタを入れることも多いです。クリスマスや母の日などのイベントが近ければ、それをテーマにして共感を取り入れたりします。

実践したこと5 「やりたいことをいろんな場所で言い続ける」

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――これから、ミニチュアアートでやりたいことはありますか?

今年、ミニチュアアートの中に人間が入り込めるという作品を展覧会で計画しています。大きなブロッコリーをつくって、それを木のように見立てて一緒に撮影できる。つまり、観に来た人がミニチュアになるというコンセプト。

これはずっとやってみたかったことで、いろんなところで言っていたんです。こういうインタビューや個展を開いてくれた関係者や友達や。言い続けていると「田中さん、こんなことやりたいって言ってたよね」と声をかけてくれたり、「やるなら手伝うよ」とサポートしてくれる人が増えて実現までが早くなる。

ちなみに、今、やりたいことは大きなブロッコリーのような見立ての作品を集めたテーマパークをつくること。これからどんどん言っていきますよ(笑)。

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――最後に「好きなことで生きていく」楽しさを教えてください。

好きなことだけをやっていても怒られないことですね(笑)。今、ミニチュアが5000体以上あるんですけど、仕事にしているからどれだけ買っても誰からも怒られませんから。好きなことに存分に没頭できるのは本当に楽しいと思います。

もし、今、やりたいことがあるなら、どんどん発信することが「好きなことで生きていく」第一歩だと思います。今は誰でもスマホで発信できる時代。自己満足ではなく、見てくれた人が喜ぶような作品であれば、多くの人が支えてくれるはずですよ。

■Profile
田中 達也(たなか たつや)

1981年、熊本県生まれ。ミニチュア写真家・見立て作家。写真集「MINIATURE LIFE」、「MINIATURE LIFE2」を発売。この夏は台湾でも展覧会を開催。

Instagram:@tanaka_tatsuya

取材・文:中屋麻依子

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