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2015年01月19日

汚部屋の住人が勘違いしている片づけの3つの常識│岩崎夏海

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『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』作者の岩崎夏海さんが、混沌とした現代をどうとらえればいいのか? を書き綴っていく社会評論コラム。この記事は岩崎夏海メールマガジン『ハックルベリーに会いに行く』よりお届けします。

部屋を活かせば頭が良くなる?

2013年11月に刊行した『部屋を活かせば人生が変わる』で紹介した新しい部屋づくりメソッド=ヘヤカツ(部屋活)は、予想以上の好評を博した。その後、『部屋を活かせば頭が良くなる』『50からの老いない部屋づくり』などの続編も出て、テレビの取材も受けるなかで、何度もいわゆる「汚部屋」のヘヤカツをすることになった。

今回は、そこで知った「汚部屋の住人が勘違いしている片付けの常識」というものをご紹介したい。

その1 汚部屋には「背の低い家具」が多い

まず一つ目は、「汚部屋には背の低い家具が多い」ということだ。

まず、ほとんどの汚部屋に座卓がある。そして座椅子や、座椅子タイプのソファーがある。さらに、寝る場所も布団やマットを床に敷いている。足つきのベッドでは寝ていない。

そういう背の低い家具に囲まれていると、部屋が広く見えてオシャレである――というのは、多くのインテリア本や雑誌に書いてある。だから、それを見習ってそうしている人が多いと思うのだが、しかしそのやり方は、部屋をとても汚しやすいのだ。

なぜかというと、例えば座卓に座っていると、床が「物置」と化していくのである。なぜなら、手を伸ばして丁度いい場所に床があるため、そこを物置にすることが合理的で便利だからだ。

しかしながら、そういうふうに床に物が置いてあると、そこの住人は知らず知らずのうちに「ここには物を置いてもいい」と認識するようになり、やがて床全てを埋め尽くすように物を置くようになるのである。

「割れ窓理論」というものがあって、人は、窓が割れている建物を見ると、知らず知らずのうちに「ここは汚してもいい」と思うようになり、より一層汚したりする。それと一緒で、床も、物が置いてあると「ここは汚してもいいんだ」と思うようになり、どんどんと汚すようになるのだ。

そういう悪循環を断ち切るために、座卓は足つきのテーブルに、敷き布団やマットも足つきのベッドに変えた方がいい。そうして床から離れて生活することで、汚部屋の進行を食い止めることができるのだ。

その2 汚部屋には「収納」が多い

続いて二つ目は、「汚部屋の住人は収納が多い」ということである。特に、箪笥やドレッサーなど、部屋に置くタイプの収納が異様に多い。

収納が多いと部屋が片付きそうに思えるのだが、実はそれは大きな誤りだ。汚部屋の住人というのは、収納に物を入れるとなんとなく片付いた気持ちになって安心し、以降、その収納物を見直そうとしないのである。そのため、やがて収納が足りなくなるのだが、するとまた新しい収納を買ってきて、それに物を放り込んで安心するという悪循環をくり返すのだ。

そうして、やがて部屋に収まりきらないくらい箪笥やドレッサーが増える。あるいは、部屋を棚が埋め尽くすような状況となってしまう。

そういうふうに収納は、人に物を捨てさせなくさせる強烈な副作用がある。だから、一定以上の数はむしろ持っていると害悪となるのだ。

そのため、汚部屋から抜け出す第一歩は、物ではなく、まずは「収納」を捨てることから始める必要がある。そうして、部屋の大きさに適した数に戻した上で、整理する。そうしないと、いつまで経っても物が捨てられず、従って汚部屋からも抜け出せなくなるのだ。

その3 汚部屋の住人は「機能的」で「合理的」

最後が、汚部屋の住人は「機能的」で「合理的」だということだ。どういうことかというと、少ない移動距離でいろんなことができるのである。

例えば、汚部屋の住人はこたつに座ったまま、テレビも見られればゲームもできる。ノートパソコンやケータイの充電器も近くにあるし、果ては湯沸かし器や冷蔵庫まであったりする。最後は、そのまま寝っ転がればそこがベッドにもなる。

そういうふうに、一つところで動かずに、そこで何でも事が済む。つまり、その部屋は機能的で、しかも合理的なのだ。

しかし、そういう機能的で合理的な部屋こそ、汚部屋と化す。なぜなら、部屋のその一角「以外」が活かされず、どんどんと腐っていくからだ。

それは、たとえるならレギュラー選手が固定化したスポーツチームのようなものだろう。試合に出る選手はいつも決まっていて、そこに競争はない。

すると、控えの選手は腐ってしまって、練習に身が入らなくなる。たまに試合に出ても、使い物にならなくなるのだ。

部屋もそれと一緒で、ある一ヶ所が快適だと、それ以外の場所がどんどんと「不快」になっていく。使いづらく、汚くなっていくのである。

そういう機能的な部屋は、たいてい部屋の四隅が汚れている。なぜかというと、部屋の四隅に行かないからだ。それで、どんどんと腐ってしまうのである。

そのため、汚部屋から抜け出すためには、部屋を機能的、合理的とは逆の、「非機能的」「非合理的」にさせる必要がある。例えば、必要なものを四隅に分配したりするのである。

すると、必然的に部屋の中を動き回らなければならなくなり、その分移動距離や時間がかかるのだが、しかしそれに伴って、部屋全体がきれいになる。腐った場所がなくなり、至る所が活かされるようになるからだ。

そういうふうに、汚部屋の住人は間違った常識に縛られ、自分でも気づかないうちに汚部屋となってしまっているケースがほとんどだった。

その悪循環を断ち切るためには、上記の方法を実践したり、あるいは今度新しく出る「部屋を活かせば頭が良くなる」や『50からの老いない部屋づくり』を見ていただければと思う。

  
  
企画:プレタポルテby夜間飛行

部屋を活かせば人生が変わる書影◆部屋を活かせば人生が変わる
人は必ず変わることができる。しかしそれは並外れた才能や努力ではなく、環境によって。「部屋を考える会」は、仕事でも恋愛でも、人生がうまくいかず悩んでいる人に、部屋を変え、人生を変えていくための方法――ヘヤカツ――を伝授すべく結成された。代表は岩崎夏海氏。
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岩崎夏海岩崎夏海(いわさきなつみ)
1968年生。東京都日野市出身。 東京芸術大学建築科卒業後、作詞家の秋元康氏に師事。放送作家として『とんねるずのみなさんのおかげです』『ダウンタウンのごっつええ感じ』など、主にバラエティ番組の制作に参加。その後AKB48のプロデュースなどにも携わる。 2009年12月、初めての出版作品となる『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(累計273万部)を著す。近著に自身が代表を務める「部屋を考える会」著「部屋を活かせば人生が変わる」(累計3万部)などがある。

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