人望がなく、部下や後輩から信頼されない【困った人のトリセツ】(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
喫茶店で働く一見普通のパート主婦・照代は、人間観察や悩みを解決することが大の得意。毎回、性格に何らかの悩みを抱えているお客さんに、問題を解決する方法をこっそり伝授します。
和佳照代(わか・てるよ)
43歳。喫茶「T&Nコーヒー」の店員。多種多様な人が訪れる喫茶店で働いているうちに、人間観察や悩みを聞くことが得意になった主婦。悩みを抱えている人や、自らの短所に気づいていない人を放っておけず、ついついアドバイスをしてしまうのが悩みの種。
客:神保 星斗(じんぼ ほしと) 20代後半
大学の同期:20代後半
今回のテーマ:人望がない
(1)否定から入る
(2)人の話を聞いていない
(3)人によって態度を変える
【解説】
リスクを避け、下からの意見には否定的。人によって態度を変えるため信頼されない
「人望」という言葉はよく聞きますが、「人徳」や「人気」との違いなど、具体的にどういうものなのかを説明できる人はそう多くないかもしれません。
簡単に説明すると「周囲から信頼、尊敬され、慕われること」だそうです。
ちなみに「人徳」は、その人の品性や知性に関することなので、信頼・尊敬とも違います。ただ人徳がある人は信頼・尊敬されるでしょうから、自然と人望も厚くなることでしょう。
一方の「人気」は周囲の評判が良いことだけを指すことが多いので、信頼・尊敬、品性・知性を兼ね備えているかは関係がありません。外見だけでも人気は得られますし、仕事さえできれば上層部からの人気も高くなる。人望がまったくないのにリーダーになったり、役職をもらえたりする人がいるのは、そのためです。
今回のテーマはまさにそういった「人徳がない」リーダーです。
社内でそこそこの地位にはなったものの、後輩・部下、同僚から飲みに誘われない、誘っても断られる、仕事以外の相談をされないどころか雑談すらない、そんな人は圧倒的に人望がない可能性が高いです。
では、「人望のない人」の主な特徴を見ながら確認していきましょう。
1つ目は「否定から入る」。
責任のある立場になると、どうしてもリスクを避けたくなるものです。けれど、提案に対して否定ばかりしていると部下たちのモチベーションはダダ下がり。「この人には提案するだけ時間の無駄」と思わせてしまいます。
そうなるとチーム全体の士気、団結力が下がるため成果が出なくなってしまい、結果的に部署異動の希望者や会社を辞めようと考える人を生んでしまいます。
続いては「人の話を聞かない」。
人望がない人の多くは「会話が一方通行」です。やって欲しいことだけを伝え、部下たちの声を聞かないのです。挙句、しっかり伝えたことも「連絡ミス」と部下のせいにする始末。そんな人が信頼・尊敬を得るのはまず無理でしょう。
部署異動の希望者や会社を辞めようと考えている人の背中を押しているようなものです。
3つ目は「人によって態度を変える」。
仕事でもプライベートでも裏表がある人を信頼・尊敬する人はいません。人望がない人もそれはわかっているはずなのに、なぜやってしまうのでしょう?
それは自分の行動が周囲からどう見えているか、もちろんわかっていないからです。そんな人がチーム全体を見るなんて、できようはずもありません。軽蔑され、陰口の対象となるくらいが関の山です。
その結果、部署異動の希望者や会社を辞める人が続出。残った部下たちはクーデターを起こすことになるでしょう。
その他、「感謝の気持ちがない」「褒めない」「約束を守らない」「謝れない」「感情のコントロールができない」「なんか威圧してくる」など、「嫌な人の集合体」――それが人望のない人です。
厄介なのは、なかなか自分ではそれに気づけないところ。上の立場になったことで調子に乗ってしまったのか、責任の重さに自分を俯瞰で見る余裕がなくなってしまったのか、上司の背中を見てそうなってしまったのか、理由はそれぞれ違うかもしれませんが、“ちょっと”でも思い当たることがあれば、すぐに改善していきましょう。
【対処法】
自分がリーダーのグループで働いているところを想像してみる
役職がついたりリーダー的な立ち位置になると、誰だってどうしても「自分は見る側!」と思い込みがちなもの。自分の立ち振る舞いが「周りからどう見られているのか」という意識が疎かになってしまうのは、そのためです。
けれど上の立場になればなるほど、周りからメチャクチャ見られている、ということを認識してください。
想像してみてください。10人を束ねるリーダーが10人を同時に見るのと、部下が1人のリーダーを見るのと、どちらが簡単かを。もちろん、答えは後者です。10人を束ねるリーダーが部下ひとりを見る10倍、その部下はリーダーを見ているのです。だいぶ細かいところまで見られていると想定しておいたほうがよいでしょう。
「俺はどう思われようが業績重視! 業績が上がるなら嫌われ者上等!」という方もいるかもしれませんが、先述したように上司の人望の厚さは部下のやる気に直結します。裏返せば、有能なリーダーに人望は不可欠なのです。
では、人望を厚くするためにはどうすればいいのか?
それは、自分を“自分の上司”として客観的に見ることです。自分が「褒めて伸びるタイプ」なら「褒めて伸ばす上司」であれ、「仕事でも私事でも困った時は助けてくれる上司」が理想なら、自分もそうであれ、という話。
自分を客観的に見るのは簡単ではないので、定期的に部下とコミュニケーションを取って意見を取り入れるのも大切です。
もちろん、自分にとっての理想の上司像が部下たちと全然違う場合もあるでしょう。だからといって、「自分はリーダには向いていない」と落ち込む必要はありません。
理想の上司像のギャップは、シンプルにあなたが「変わっている」ということ。もちろん、そのコミュニティにおいては、です。そうとわかれば思い切って転職するもよし、意識して自分を変えるもよし、選択肢はいつもあなたが握っている、と心得ましょう。
あえて役職につかない道もありかもしれませんよ。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP:http://kamatamiwa.com
X(旧Twitter):@kamatamiwa
●最新著書
『気づいたら独身のプロでした』
KADOKAWA 刊
1,210円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
「めんどうな女のトリセツ」
宝島社 刊
1,296円(税込)