完璧主義の性格を改善したい【ワタシのトリセツ】（企画：トキオ・ナレッジ　漫画：カマタミワ）

ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。

喫茶店で働く一見普通のパート主婦・照代は、人間観察や悩みを解決することが大の得意。毎回、性格に何らかの悩みを抱えているお客さんに、問題を解決する方法をこっそり伝授します。

今回のテーマ：完璧主義

【解説】

些細なことを含め、どんなことも妥協できず、時間を浪費してしまう

悩みや迷っていることを人に相談した際、「どっちでもよくない？」とか「そこまで悩むほどのことかね…」など、共感が得られなかった経験はありませんか？ もしも「あるある～！ メッチャある‼」と思ったなら、あなたは完璧主義なのかもしれません。

責任感が強く、どんなことにも妥協を許さず納得がいくまでこだわる、と言えば聞こえはいいのですが、そのこだわりのほとんどは大多数の人間にとって「そんなん、どうでもいいやろ…」というもの。作業が慎重・丁寧で最後まで必ずやり抜くといった長所は、もれなく頑固・遅い・他人にも厳しいなどの短所で帳消しになってしまうどころか、「面倒なヤツ」認定されてしまう可能性大。人間関係がこじれても、「自分は間違っていない」という思いが強いため、妥協はおろか歩み寄るという選択肢すら、ありません。

そんな完璧主義の人の特徴を、具体的に見ていきましょう。1つ目は「何にでも完璧を求める」です。
計算式など万国共通のルールがあるものなら、パーフェクト（完璧）を目指す意味はあるでしょう。ところが完璧主義者は、デザインや写真・映像、味、ラインの返信など、人によって正解が違うものにまで、「自分の完璧」を求めてしまいがち。プライベートはもちろん、仕事においても万事その調子で、周囲からは「どうでもいいことに時間を割いている人」認定されていることでしょう。

2つ目は「人に頼れず全部自分でやろうとする」。
完璧主義者の「やる」となったら何事もやり遂げる責任感の強さは、「他人に頼れない」という弱点と裏表。誰がどう見たって人に頼ったほうが効率のいい場合でも、自分でやってしまいます。当然、締め切りは後ろ倒しになるほか、それが許されない場合は周囲や上司が手を差し伸べることになります。
それで事なきを得てめでたしめでたし…ならよいのですが、そういったことが続くようだと、仕事を引き揚げられてしまったり、そもそも仕事を回してくれなかったりと、腫物扱いされることでしょう。

3つ目の「他人に求めるハードルも高い」という特徴は、「トラブルの種」以外の何物でもありません。
「自分がやっているのだから、他の人もできる」という思い込みがあるため、頭の中は「なぜやらない？」「なぜできない？」が渦巻いています。頭の中だけならまだしも、声で出るようなら要注意。やりすぎるとパワハラ認定されてしまうかもしれません。
もちろん、周囲からははっきり言うと嫌われています。「めんどい」と思われています。あなたが休みの日はみんな「ラッキー！」と思っていることでしょう。

この他にも「白黒はっきりつけたがる」「失敗を恐れてチャレンジできない」など、完璧主義のデメリットは多数あります。今回は上記３つの特徴以外にも効く、「ガッチガチのネジを緩める対処法」も考えていきましょう。

 
【対処法】

減点方式ではなく加点方式で、点数をつけてみる

まず完璧主義の人が認知するべきは、そもそも「世の中に完璧なものはほぼない」ということ。

万国共通のルールがないものに関しては、あなたが「完璧！」と思っても、誰かにとっては完璧ではないでしょうし、その逆もまた然りです。究極、仕事で必要なのは仕事相手やお客さんの「完璧！」であって、あなたの「完璧」を周囲に押し付けるのは迷惑系の所業です。そして、万国共通のルールがあるものは、ほとんどありません。あるのは、あなたと仕事相手、あなたとお客さんとの「ローカル・ルール」。何かに取り掛かるときは、「ルール」を客観的に確認してから始めるとよいでしょう。

「ルール」には、「周囲に迷惑をかけない」を必ず入れること。どうしても「完璧」という名のこだわりを押し通したければ、「自分1人でではなくチームで完璧を目指す！」をルールにするのも手です。
その際は、チームメンバーの仕事を「完璧から減点」ではなく「ゼロから加点」という追加ルールも必須です。そうすることで、「ここまでしかできなかった」ではなく「ここまでやってくれた」と考えられるようになるはずです。

ここまで読んで、「頭ではわかったような気がするけれど…気持ちが追い付いてこない」という方がほとんどでしょう。それほどまでに、完璧主義の呪いは、あなたの心を蝕んでいるのです。
そういった方はまず、お試しで身の回りのものに点数をつけてみてください。親友／インテリア／お気に入りの服／推しの俳優etc.――100点に近いものはあっても100点満点のものがないことに気づくはずです。過去に完璧だと思っていたけれど、今となっては完璧だと思えないこともあるでしょう。
それに気づいたら、「完璧」への執着も薄まってくるはず。大事なのは「完璧」ではなく「完璧を目指す気持ち」くらいに考えられれば、あなたの長所そのままに、周囲ともうまくやれることでしょう。