セラピストとは? 仕事内容、種類や資格、なり方、向いている人などを解説
セラピストは、資格が必要な職種から必要ない職種まで多様にあり、活躍できる場もさまざまある仕事です。今回はセラピストに興味がある人、将来セラピストとして活躍したい人に向けて、セラピストの種類や資格の有無、なり方や向いている人などを紹介します。
【目次】
セラピストとは
セラピストとは、専門的な知識や技術に基づいて心身を癒したり、治療する人のことを指します。「療法士」や「治療士」と言うこともあります。治療は心に向き合う心理治療と、整体やマッサージなど体にアプローチする2つの方法があります。セラピストには国家資格が必要なものと民間資格でなれるもの、資格が必要ないものがあります。
セラピストの種類
セラピストは病院など医療機関、介護施設、スポーツ施設のほか、教育機関や一般企業で働く職種から、スパやエステサロンなどの店舗で働く職種までさまざまです。ここでは、医療系、心理系、美容系という3つのジャンルに分けて、職種の種類と必要な資格を合わせて解説していきます。
医療・リハビリ・健康に関わるセラピスト
病院やクリニックなどの医療機関で行う治療やリハビリなど、医療行為を行うには国家資格が必要です。一方で、介護施設やスポーツ施設などで、利用者のメンタルヘルスや身体の健康へのアドバイスを行うものは民間資格でできるものもあります。
【国家資格が必要となる職種の例】
■理学療法士(PT)
病気や事故などで身体に障害を持った人や、身体の機能が低下した高齢者に対しリハビリを行い、回復を促す仕事です。医師の指示のもとで行われ、運動療法や物理療法が用いながら「立つ」「座る」などの大きな動きのリハビリを行います。
■作業療法士(OT)
着替えやトイレ、食事など日常生活をスムーズに送るため、身体の回復や精神状態の改善を目指しリハビリを行います。理学療法士が大きな動きを行うのに対し、「箸を持つ」といった、手や指などの細かい動作のリハビリを行います。
■柔道整復師
整骨院や接骨院の先生として知られる職種です。捻挫や打撲を包帯やテーピングで固定したり、骨折、脱臼などは骨を手技で元の位置に戻すなど、自然治癒力を生かした治療を行います。運動療法や運動指導も行い、健康な体になるようサポートします。整体師と混同されやすい職種ですが、整体師という国家資格はなく、整体師は保健治療を施すことはできません。
■あん摩マッサージ指圧師
肩こりや腰痛、頭痛などの不調をマッサージやあん摩、指圧で和らげます。東洋医学のもと器具は使用せず「なでる」「揉む」「押す」「さする」などで施術します。医師の指示や判断なしで治療を行うことができる仕事です。
■鍼灸師(はり師・灸師)
「はり」や「きゅう」で体のツボを刺激し、自然治癒力を高めます。東洋医学に基づいており、「はり師」「きゅう師」の2つの資格があります。2つの治療を一緒に行う治療院が多く、鍼灸師と呼ばれることが多いようです。
【民間資格となる職種の例】
■スポーツセラピスト
プロ・アマのスポーツ選手が肉体とメンタル両面で最も力が出せるよう体の管理、ケガの予防やメンテナンスなどを行います。そのため、施術技術のほか、解剖生理学やスポーツ栄養学、スポーツ医学などの知識を学びます。スポーツセラピスト検定や健康スポーツセラピスト知識検定といった民間資格があります。
■カイロプラクテスト
アメリカ発祥の手技で、病院での治療のように薬に頼らず背骨の構造や機能異常を正すことで神経や筋肉の働きの不調を改善します。姿勢矯正や栄養・睡眠などの生活指導を行うこともあります。日本では施術技術や知識の明確な基準がなく、だれでもカイロプラクテストとして名乗ることができるため、日本カイロプラクティック登録機構が実施する試験へ合格し、登録することで、WHOの基準をクリアしていることを証明することができます。
■フードセラピスト
食事療法や栄養療法を通じて心身の不調を整えます。栄養士との違いは、栄養士が栄養指導や栄養管理を行い、国家資格が必要である一方、フードセラピストは民間資格となり、食材の選び方や、自分の身体に必要な食べ物や量を適切に知る食育に重きを置いた資格となります。
■介護リハビリセラピスト
筋力が低下した高齢者の手足のむくみや関節痛などの痛み、肩こりなどに対してビタミンやアロマの精油をブレンドしたマッサージオイルで血液やリンパを流し、関節や筋肉の機能を回復させる施術を行います。
心理・メンタルに関わるセラピスト
患者のメンタルヘルスのケアやサポートを行います。ストレスや悩みの軽減のために一定の知識が必要で、医療機関での医療行為は国家資格が必要です。また、民間資格を取得することで教育機関や一般企業のカウンセラーとして勤務することもできます。
【国家資格の職種の例】
■公認心理師
心に問題を抱えている人に対し、問題解決に向けてカウンセリングを通じて指導やサポートを行います。臨床心理士と違うのは、心の健康に役立つ情報や知識を発信することも仕事であること、国家資格であることです。
【民間資格の職種の例】
■臨床心理士
精神的な悩みを抱えている人の相談相手になり、さまざまな心理療法で心の問題を解決に導きます。大学院を卒業し、日本臨床心理士資格認定協会が認定する資格を取得することが必要な、専門性が高い職種です。
■心理カウンセラー
心理学の知識や経験を活かして相談者のストレスを軽減し、心の回復をサポートします。スクールカウンセラーや一般企業でのカウンセリングの仕事のほか、経験を積んで独立開業する人もいます。
ボディ・リラクゼーション・美容系
医療行為を行わず、ボディケアやリラクゼーション、美容を目的とした施術やカウンセリングを行うセラピストは、国家資格は不要です。すべて民間資格となるため、技術があれば資格が必要ないケースも多いですが、勤務先によっては民間資格の取得を必要とするところもあります。
【民間資格の職種の例】
■アロマセラピスト
エッセンシャルオイルを使用したボディマッサージやフットバスなどで全身をリラックスさせ、心身のバランスを整えます。リラクゼーションサロンやホテル、高齢者や医療患者のケアを目的にしたサロンで勤務します。資格がなくても働くことはできますが、資格取得の際には、主に施術技術や人体の構造、皮膚のしくみなどについて学びます。
■リフレクソロジスト
足裏の反射区というツボを刺激して血行や新陳代謝を活発化させ、ストレスを軽減してリラックスを促す仕事です。日本では英国式と台湾式の2つのリフレクソロジーが普及しています。資格取得時には、身体のしくみの基本知識から施術技術までを身に着けます。
■エステティシャン
手技や化粧品、美容器具を使ってフェイシャルケア、ボディケア、脱毛などを行い、お客さまの肌や体型を美しく整える仕事です。技術のほか、カウンセリングの際に的確なアドバイスをするための知識も必要です。資格取得の際には、関連する法律や栄養学、皮膚科学のほか、施術技術についてを学びます。
■カラーセラピスト
相談者が選んだ色から心理状況を読み、抱えている問題や悩みを整理して、心身のバランスを整えるサポートを行います。ファッション・インテリア関係のほか美容院やエステ、最近では介護や医療機関でも活躍しています。資格取得時には、主に色の効果や原理、色の活用方法などを学びます。
セラピストのなり方
セラピストになるには、国家資格が必要な職種の場合は、指定の養成学校や大学を卒業し、国家試験に合格する必要があります。
民間資格の職種の場合は、大学や短大、専門学校に通って専門知識を学び、在学中か卒業後に資格試験を受けて取得します。短期で取得できる資格であれば、通信講座や短期のスクールで取得する方法もあります。
医療行為を行わない職種の場合、働きながら施術技術を身に着けられる勤務先もありますが、将来的に独立を考えているのであれば、資格を取得しておくと信頼度が増すでしょう。
このように、資格によっては、大学卒業後に受験するため数年単位でかかるケースもあります。目指したい職種がある場合には事前にきちんと調べるようにしましょう。
セラピストに向いている人
理学療法士や介護リハビリセラピストなど本人のほか、その家族とも関係性を築いていく必要がある職種は、特に高いコミュニケーション能力が必要となります。
あん摩マッサージ指圧師や鍼灸師、カイロプラクテストやエステティシャンなど手技を中心とした技術が必要な職種は、患者さんのためにもっと高い技術を身に着けようという学ぶ姿勢がある人や、ストレスの原因がどこにあるのかを探るために聞き上手な人が向いているでしょう。
心理カウンセラーや臨床心理士、公認心理士などは患者さんの心に寄り添い、気持ちを理解して共感する力が大事です。
どの職種に関しても自分自身が心身ともに健康でなければ患者さんを癒し、ストレスを軽減することはできません。自分自身のストレス発散や気持ちの切り替えがうまくできる人がセラピストに向いているでしょう。