小栗有以(AKB48)インタビュー「センターやドラマ主演を苦戦しながらやり遂げて強くなれました」
1年半ぶりのシングル「根も葉もRumor」を発売するAKB48。圧巻のロックダンスが注目を集めています。小栗有以さんは中学生になると同時に加入し、19歳の現在は新世代の中心的存在に。常に期待を背負いながら自身を磨いてきたアイドル活動と、AKB48の逆襲への想いを語ってもらいました。
チーム内選抜に入れなくて「何で?」と
――有以さんは、47都道府県から1人ずつ選ばれたTeam8の東京都代表として、中1から活動を始めました。当初はどんな感覚でアイドルをやっていましたか?
保育園の頃から、将来の夢は“アイドル”と書いていて、AKB48は「ヘビーローテーション」とかを歌番組でいっぱい観ていましたけど、こんなに人数がいるのも、選抜というものも知らなかったんです。Team8はみんな友だち、仲良く頑張るんだと思っていました。
でも、最初の合宿から、たぶんスタッフさんは「この子はできる、できない」と見ていたんでしょうね。(最初のオリジナル曲の)「47の素敵な街へ」で立ち位置が決められて、MVで前で歌うメンバーがいました。それも最初は何の順番かもわかってなくて。
――当初の有以さんはTeam8内でも目立つほうではありませんでしたが、ライバル意識が芽生えたり?
「汚れている真実」を歌う“Team8選抜”に私は入らなかったから、「何で何で?」とちょっと焦りました。でも、冷静に自分らしく頑張るようにしていたら、加藤玲奈さんが「れなっち総選挙」で私を1位にしてくださって。ユニット曲のセンターを務めさせてもらったり、いろいろと嬉しい流れが起きました。
先輩の映像をひたすら観て勉強しました
――その頃、“2万年に1人の美少女”と呼ばれました。
ありましたね(笑)。イベントでファンの方が撮ってくれた“奇跡の1枚”みたいな写真から、そう言われて、ハードルを上げられてしまって(笑)。「私はそんな人じゃないのに……」という気持ちでいっぱいでした。でも、それで私を知ってくださった方もいたので、今は感謝しています。
――そうした流れがありつつ、自分で努力したことも?
先輩の昔の映像をひたすら観て、表情やダンスの勉強をしました。夜は家の窓ガラスを鏡替わりに、大きく踊るとか自分で工夫しながら練習しています。あとは、『ハイテンション』で選抜に選んでいただいたり、ソロコンサートや公演のセンターとか、いろいろな場に立たせてもらう中で、意識がだんだん上がりました。
自覚してなかった緊張が体に出ていて
――2018年には「Teacher Teacher」でセンター、ドラマから舞台化もされた『マジムリ学園』に主演と、躍進しました。
16歳の年ですね。ありがたいことがたくさん続いて濃すぎる年だったから、17歳になっても18歳になっても、気持ちはあの16歳のときのままでした。今はさすがにヤバイと、「私は19歳」と呪文のように唱えています(笑)。
――嬉しい反面のプレッシャーには強いほうですか?
「Teacher Teacher」のMV撮影で、緊張している感覚はありませんでした。でも、私がセットの壇の一番上で歌うシーンで、下の皆さんを見渡したんですね。そしたら、松井珠理奈さんとか宮脇咲良さんとか、大先輩たちがいて。
――あの曲の選抜には、指原莉乃さんや山本彩さんもいました。
そこでスタッフさんに「ちょっと硬い。もっと体を柔らかく」と何度か言われたんです。自分では気づいてなかったけど、やっぱりどこか緊張していて、体が硬くなっていたんでしょうね。
――センターを経験して見えたものもありますか?
「Teacher Teacher」は先生を誘惑する大人っぽい曲で、16歳だった私にはセクシーさを出すのが難しくて。1列目にいた先輩の皆さんはそういう表現も上手だった中で、苦戦しました。
でも、スタッフさんに「大人っぽいメンバーの中に初々しい女の子が紛れているのがいいから、無理して背伸びしなくていい」と言われたんです。曲に合わせた表現はしつつ、自分らしく若さを出すことは意識しました。そこから自信はついたと思います。
落ち込んでも自分でコントロールして引きずりません
――『マジムリ学園』のアクションは、格闘技経験者かと思うくらいキレがありました。
撮影の何週間か前から、すごく練習しました。ドラマの回を重ねるごとに、怖かったカメラマンさんが急に誉めてくださったり、自信が付いて上達していきました。強い子の役で、最終的には私自身が本当に強くなったと思います(笑)。
――相手役は元力士で身長2m近くある把瑠都さんだったり、演技とはいえ戦う圧はすごかったのでは?
5人の最強の男たちということで、皆さん1人ずつアクションの種類が違うのが難しいところでした。呼吸も速い方と遅めの方がいて、速い方だと私がひとつ間違えたら本当にやられてしまうんじゃないかと、ギリギリの恐怖感があって。そういう緊張にも強くなれました。
――今まで、瀬戸際まで追い込まれたようなピンチはありませんでした?
ライブで「47の素敵な街へ」を歌って、都道府県名をひとつずつ言っていくところで、一番前で自分の担当の“東京”を言い忘れたとか、プチ事故はありました(笑)。
落ち込んでも引きずりません。メンバーとは明るい話しかしなくて、悩みがあれば、お姉ちゃんかお母さんに話します。あとは、カントリーマアムとか好きなものを食べたり(笑)、温泉に行ったり、自分でコントロールするようにしています。
握手会では他のレーンにいる方の顔も覚えました
――アイドルとして大事にしていることはありますか?
見てくださる方、応援してくださる方も、ネガティブになったり、お仕事に疲れたり、いろいろあると思うんです。そういう方たちにも元気や勇気を届けて、明るくなってもらいたい気持ちは常にあります。
――握手会では釣り師とも呼ばれていました。
釣るようなことは全然してないですけど、ファンの方を覚えるのは早いかもしれません。自分のレーンに並んでくれた方はもちろん、他のメンバーのレーンにいる方も、空いた時間に見ているんです。「あの方はよくこの子のところに来ているな」とか「イベントの最前列でお見掛けするな」とか。
その方が自分のところに来てくれると、向こうは初めてのつもりでも、私は「○○ちゃん推しですよね?」とか言うんです。そうすると、「何で知ってるの!?」とビックリしながら、喜んでくださって。最初はたまたま、そういうことがあって、喜んでもらえるなら覚えようと思いました。
暑さの中でみんなで全力で踊って「青春だな」と
――「根も葉もRumor」の激しいロックダンスは、1ヵ月かけて練習したそうですが、他のメンバーが「体が痛くなった」と口を揃えていました。
私はみんなが言うほどの筋肉痛はありませんでした。前後にストレッチを入念にしたからかな。でも、2~3時間全力で踊ると、すごく体力を使って疲れました。その分、何を食べても太らないと思って(笑)。いつもは気にする高カロリーなものも、「レッスンでカロリーを消費してプラスマイナス・ゼロ」と、食べられたのは嬉しかったです。
――足を上げるウィッチウェイや高速で腕の動きを揃えるタットダンスなど、振りの難易度も高いですよね?
難しかったです。ロックダンスはひとつひとつの動きに軌道があるんです。腕を横に伸ばして下ろすだけでも、横から腕をたたんで縦にして下ろすとか、全部細かくて。そのうえ音がとにかく速いから、最初は追い付くだけでも大変でした。
――レコーディングやMV撮影も久しぶりで、新鮮な気持ちもありました?
練習から、みんな一丸で頑張っている感じが楽しかったです。気合いを入れて「ここからAKB48を盛り上げていきたい」という気持ちが、1人1人から溢れていました。
MVのみんなで校庭で踊るシーンは、30度を超える暑さの中で撮影して、疲れもありましたけど、曲が流れると「ラスト!」とか声を掛け合って全力を出しました。「青春だな」と思いましたね。
AKB48を盛り上げながら自分も知ってもらえるように
――「根も葉もRumor」には<あの頃はまだポニーテールとシュシュ>という歌詞があります。「ポニーテールとシュシュ」や「ヘビーローテーション」の頃のような、AKB48の黄金期を取り戻したい気持ちも持ってますか?
今のAKB48はすごいんだぞと、知っていただきたい気持ちは強いです。久しぶりの新曲やロックダンスにレギュラー番組。いろいろ動き出して、みんな「やってやるぞ!」と、いつものアイドルらしさとは違うスイッチが入っていますね。
コロナで動けない状況が続いて、やっと最近発信できる機会が増えて、今はメンバーの心がひとつになっています。この勢いを伝えていけたら。でも、AKB48の話になると、どうしても先輩方の名前を挙げられることが多くて。グループを盛り上げることに力を注ぎつつ、自分自身も知ってもらえるように頑張ろうと思っています。
――今のAKB48の顔として。
グループを引っ張る存在になれたら嬉しいですし、自分でもいろいろなことに興味があって。個人では女優のお仕事をメインに考えていて、今の年代のうちに学園ドラマをやりたいです。『マジムリ学園』は特殊な学園ものだったので(笑)。モデルのお仕事やバラエティも好きです。
――バラエティといえば、『乃木坂に、越されました』のテレビ東京のプロデューサーにギャラ0円で出演を売り込む企画での、有以さんのエア温泉や大喜利のアピールは面白かったです。
あれは収録の前日に言われて、夜中に「何をしよう!?」と泣きそうになっていました(笑)。そんなこと、最初のTeam8の合宿以来で、本番直前までハラハラ、ドキドキでしたけど、お偉方のプロデューサーさんたちが意外と普通に接してくださって、思い通りのアピールができました。『水バラ』は即決いただいて、歩くことは本当に好きなので、バス旅とかでご一緒する方を癒しながら頑張りたいと思います。
焦りすぎずに常に平常心で
――タウンワークマガジンはアルバイト情報サイトですが、有以さんがやりたかったバイトはありますか?
パン屋さんで袋詰めをしたかったです(笑)。お店の方が手際よくやっているのを見て、カッコイイなと思っていたので。バイトは本当に興味あって、いつか芸能界を卒業することがあれば、やってみたい気持ちはちょっとあります。
――有以さんと同年代で、バイトしながら夢を叶えようと頑張っている方もいると思いますが、アイドルとして花を咲かせた立場からアドバイスはありますか?
私は焦りすぎず、常に平常心でいることを心掛けています。自分の芯をしっかり持って、何ごとにも全力を尽くして諦めない。私自身もまだこれから、夢に向かって走り続けたいと思っています。
小栗有以(おぐり・ゆい)
2001年12月26日生まれ。東京都出身。
2014年4月に「AKB48 Team 8 全国一斉オーディション」で東京都代表として合格。2016年11月発売のAKB48の46thシングル「ハイテンション」で初選抜。2018年5月発売の52ndシングル「Teacher Teacher」でセンター。個人で今年4月より『めざましテレビ』(フジテレビ系)でイマドキガール。ラジオ『アッパレやってまーす!』(MBS)で火曜レギュラー。
◆小栗有以 OFFICIAL Twitter:@yuiyui_maromaro
◆小栗有以 OFFICIAL Instagram:@yuioguri_1226
◆AKB48 Team8 OFFICIAL SITE:https://www.akb48team8.jp/
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:松下茜 取材・文:斉藤貴志
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。