スマートフォン用サイトを表示

アルバイトや転職に役立つ情報が満載!最新のお仕事ニュースなら【タウンワークマガジン】

2022年07月01日

声優・石川界人さんインタビュー 「挫折も失敗もどう捉えるかが大事。解決策は必ずある」

石川界人 声優 インタビュー タウンワークマガジン townwork宮城県岩沼市を舞台に、男子新体操に懸ける高校生の青春を描いたオリジナルアニメーション作品『映画 バクテン‼』で、私立蒼秀館高等学校(通称・アオ高)男子新体操部の新人部員・美里良夜の声を担当した石川界人さん。テレビアニメシリーズから演じてきた美里への思いや自身の学生時代について聞いたほか、どのような心持ちで声優という仕事に向き合っているかをインタビューしました。

 

意識したのは「男子新体操が好き」という1点だけ

石川界人 声優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――まずは完成した作品をご覧になった感想から聞かせてください。

テレビアニメシリーズ(2021年4~6月・フジテレビで放送)の頃からそうでしたが、作画の美しさがとても印象的でした。そして、エピソードの盛り込み方がテレビシリーズとは変わったなと。90分という決して長くはない尺の中で、たくさんのドラマを描ききったことに驚きました。

――テレビシリーズからテイストが大きく変わったというのは、どのあたりでそう感じたのでしょうか?

テレビアニメシリーズでは楽しく青春しながら目標に向かって、みんなで足並み揃えていこうという感じだったのが、今作では予告映像でも明らかになっているように、誰かが謝らざるを得ない展開が待っていて、そこに対してアオ高男子新体操部員がどう向き合っていくかが描かれる成長の物語になっている。これまで青春部活モノだったのが、青春群像劇に近くなったのかなと思いましたね。ご覧になった方は、双葉(CV:土屋神葉)、美里(CV:石川界人)、亘理さん(CV:神谷浩史)の行動に感情をかき乱されるのではないでしょうか。

――常に冷静でクールな美里を演じるうえで意識したのはどのようなことですか?

「男子新体操が好き」という気持ちの1点だけですね。テレビアニメシリーズではその気持ちがあればよかったし、逆にいえばそれしかない状況だったのですが、劇場版では「アオ高男子新体操部でやる男子新体操が好き」という気持ちが付与されて、人との接し方や感情の発露の仕方が変わってきている。仲間たちとのふれ合いを通して感受性が強くなり、人間性が出てきたんでしょうね。

――美里の魅力を感じた部分、尊敬できる部分について聞かせてください。

男子新体操に対するひたむきさは特に尊敬します。美里は技術が卓越しているにも関わらず、向上心が衰えない。そして、物語が進むにつれて感受性が強くなっていくことで、人の意見を聞き入れられるようになり、思ったことを口に出せるようになった。人間としての魅力が加わり、より尊敬できるキャラクターになりました。

 

デビュー作で指導してくださった音響監督さんや先輩には一生頭が上がらない

石川界人 声優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――ちなみに石川さん自身は、学生時代にどのような日々を過ごしていましたか?

暗い過去のほうが多いかもしれません(笑)。友だちもあまりいなかったですし、高校に入ってからはバイト、部活、声優の養成所での生活が大半を占めていたので、「バクテン‼」に出てくるような青春はいっさいなかったです。声優として仕事をとるためにどうするのか、売れるためにはどうしたらいいか、お芝居とどう向き合っていくか、ということしか考えていませんでした。

――美里たちがアオ高男子新体操部で成長していったように、石川さん自身を成長させてくれた出来事があれば聞かせてください。

初めてオーディションに受かった時ですね。アニメではモブといって、メインキャラクター以外に、シナリオを支えるその他大勢の群衆がいるのですが、そのモブの経験もない状態でいきなり主人公を演じることになって。合格はしたけれど右も左もわからない、台本の書き込み方もわからないような状況で、アフレコの作法や台本の読み方などを教えてくださった当時の音響監督さん、現場でご一緒した先輩声優の皆さんには一生頭が上がりません。

――そんなふうにスタートした声優としての日々で、挫折を経験したことはありましたか?

先輩方から「もっと挫折したほうがいい」と言われるのですが、挫折と感じたことって僕はあまりないんです。だって、挫折も失敗も壁も自分がどう捉えるか、じゃないですか。例えば声優にとってオーディションに落ちることは日常茶飯事で、これが挫折なのかと言われたら、僕はそうは思わない。ただ縁がなかっただけ、もしくは実力が足りなかった。だったら、解決策は見えていて、縁をつなげられるように今後向き合っていけばいいし、実力を磨けばいいだけのこと。本当の意味での挫折って、どうにもならないことだと思うんですよね。何かしらの解決策は絶対にあるはずです。

 

声優はあくまでもパーツ。スタッフの一員であり、制作側の人間である

石川界人 声優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――捉え方一つでその後の行動が変わってくるということですね。仕事をしていて、醍醐味を感じるのはどのような瞬間ですか?

マイク前に立った時です。独りよがりで自己陶酔といわれたらそれまでですが、「役に入れた」という感覚がとても好きで、そのたびに幸せを感じます。

――素敵な瞬間ですね。では、お仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことですか?

“パーツ”であるということです。僕たち声優は、このようにインタビューを受け、写真を撮っていただくことも多い立場ではありますが、あくまでもスタッフの一員であり、制作側の人間であるということを常に意識しています。僕らが声をあてる前までの段階には膨大な時間と人とお金が関わっていて、その後に僕たちが声を入れる。あまりいい表現ではありませんが、“オイシイとこ取り”という後ろめたさも若干あるんです。だからこそ、僕たちはこの作品に参加する1スタッフで、みんなで大きな船を動かしていこうという気持ちをもって作品に臨むようにしています。

――そんな石川さんの原動力になっているものは何でしょう?

今は“事務所のために頑張る”それだけですね。以前、所属していた事務所が突然解散してしまいまして、その時、僕が何を意識しながら働いていたかというと、自分の仕事量とお金、やりがい。つまり自分のことばかりだったんです。その後、先輩声優の浪川大輔さんが代表を務める現在の事務所へ移籍したのですが、その出来事をきっかけに働く意識を変えてみようと思いました。事務所の解散により、行き場を失ってしまった僕を引き受けてくれた事務所のために何ができるかを考えながら働くことは、行く行くは自分のためになるのではないかと、その思いをモチベーションに頑張っています。

 

長期目標と短期目標のどちらも決めたほうがいい

石川界人 声優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――将来のビジョンについて聞かせてください。

まだ話せないですね(笑)。というのは冗談で、“見えなくなった”というのが正直なところです。声優の幅が今、過度期に入っていると思います。それこそ朝の情報番組に出演している先輩がいたり、バラエティー番組に引っ張りだこの先輩がいたり、はたまたドラマで大活躍されている先輩もいる。“どこを目指したいのか”を聞かれると結構悩ましくて、声優の幅は広げられるだけ広げたほうがいいと思いながらも、そこについてきてくださるファンの方がどれぐらいいるのかなど、いろいろなことを考えてしまう。もともと持っていた理想が、一旦なくなった状態というのが今の気持ちに一番近いのかもしれません。

――夢や目標に向かって奮闘する若い世代の皆さんへメッセージをお願いします。

就活セミナーなどで何度も言われていることだと思うのですが、長期目標と短期目標のどちらも決めましょうということですかね。長期目標なら数年後、そこを細分化して1年ごとでもいい。目標を言語化して一旦書き出してみるのも一つの方法だと思います。それを僕自身が実践したというわけではないのですが、僕は短期目標をさらにタスクごとに小分けにし、掲げるようにしています。将来について迷うことがあれば、学生さんならば、授業をよく聞き、先達の意見を素直に解釈したほうがうまくいくことも多いのではないでしょうか。

石川界人 声優 インタビュー タウンワークマガジン townwork

■Profile
石川界人
(いしかわ・かいと)

1993年10月13日、東京都生まれ。2012年、声優デビュー。主な出演作に「ハイキュー‼」(影山飛雄役)、「ワンパンマン」(ジェノス役)、「僕のヒーローアカデミア」(飯田天哉役)、「東京喰種トーキョーグール:re」(瓜江久生役)、「ヴァニタスの手記」(ノエ役)、「プラチナエンド」(生流奏役)など。「わたしの幸せな結婚」(放送日未定)では朗読劇に続いて、久堂清霞の声を担当することになっている。「声優と夜あそび」(Abema TV)に出演中。

◆Official Site:https://stay-luck.com/talent/ishikawa-kaito/
◆Official Twitter:@ish_kaito

編集:ぽっくんワールド企画
撮影:井野友樹
ヘアメイク:紀本静香
スタイリング:本田雄己
取材・文:荒垣信子

早速バイトを探してみよう