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2022年07月28日

女優・福本莉子さんインタビュー 「転機は人それぞれのタイミングで訪れるはず。楽しいと思えることを続けて」

福本莉子 女優 インタビュー タウンワークマガジン townwork映画「今夜、世界からこの恋が消えても」で、道枝駿佑さん(なにわ男子)とW主演を務めた福本莉子さん。眠りにつくと記憶を失ってしまう前向性健忘を患ったヒロイン・日野真織と、そんな彼女を献身的に支えるも、自らも秘密を隠し持っている主人公・神谷透のせつない恋を描いた物語にどのような心境で臨んだのか。そして21歳の今、日々の仕事にどのような思いで向き合っているのかをインタビューしました。

 

記憶障害を抱えたヒロインを演じるため、ひたすら材料集めに

福本莉子 女優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――真織を演じるにあたり、役作りはどのようなことから始めましたか?

演じるためのヒントがとにかくほしくて、原作を何度も読み返し、実際に記憶障害を抱えた方のドキュメンタリーを見たりしました。その方は人と会話をする時に、その瞬間に得られる情報を逃さないよう、相手を観察するような目をしていたのですが、そういうところをとり入れたら、よりリアルになるのではないかと三木(孝浩)監督とお話しし、参考にしました。真織は事故で記憶障害になってしまったことを隠しながら生きていて、知っているのは両親と親友の泉ちゃん(古川琴音)と、担任の先生だけ。学校では“普通”を演じているので、どこかしら普通ではないものを表現したいと思って、ひたすら参考になるような資料を集めていました。

――記憶することができない真織は毎日、日記を書き、翌朝“復習”することを日常としていましたね。

何時に何をしたかなど、常に持ち歩いているメモ帳に細かく記録し、それを夜に日記へまとめて、翌朝日記を読み返して、すべてを頭に入れてから登校するのが真織の日常ですが、当然、私はそのような生活をしたことがなく、これは体験してみたいとわからないと思ったので、撮影中はずっと日記をつけていました。継続することがどれだけ大変なことなのか、身をもって体験しました。

 

デートシーンの会話はほぼアドリブ。透くんと真織のせつない恋に注目してほしい

福本莉子 女優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――イジメにあっていた友人を救うため、嘘の告白をしたことがきっかけで交際を始めた真織と透ですが、それぞれどのようなところに魅力を感じましたか?

真織は普通に生活するだけでも精一杯なはずなのに、ハプニング的に透くんと出会い、必死に毎日を生きていく姿にすごく勇気をもらい、カッコいいなと感じました。透くんは「こんなにいい人、現実にいる!?」っていうぐらい、純粋でまっすぐな人。透くんに限らず、真織のまわりにいる人はみんないい人で両親はもちろん、泉ちゃんも本当にいい人で。そんな人たちの支えがあるから、真織は強く生きていけるんだと思いました。

――せつないストーリーである一方、透と真織のデートシーンは微笑ましい場面の連続で、ずっとこの2人を見ていたいと心から思いました。

個人的に透くんと真織のデートシーンが大好きで、あのシーンはセリフがなく、全部アドリブだったんです。ソフトクリームを食べているところやおみくじを引くところは確かファーストシーンだったんじゃないかな。私が実際にスマホで撮影するシーンもありましたし、自由に演じていたので、等身大な感じが出せたかな、と思います。

――透が真織に「2人で明日の君を騙そうよ」と告げるセリフが印象的でしたが、キュンとしたセリフやシーンはありましたか?

透くんが髪飾りをプレゼントしてくれるシーンです。デート中に立ち寄ったお店で可愛い髪飾りを見つけて、「どうしようかな」と迷っている真織を透くんはしっかりと見ていて、後でスッと手渡してくれる。あのスマートさは素晴らしいなって思いました。

――2人のピュアな恋はもちろん、それぞれをとりまく人間関係など見どころの多い作品ですが、福本さんがメッセージしたいのはどのようなことですか?

真織が抱えているものって、私の想像を絶するつらさだと思いますし、演じながら私自身もつらかったです。病気がいつ治るかわからないし、治るかどうかさえもわからなく、誰かと出会うことにも不安になっている。でも、高校生という一番多感な時期に透くんと出会い、人生で最も楽しい時間を過ごしたんじゃないかなと私は思いました。そんな真織と透くんの儚くてせつない恋を、ぜひ見ていただきたいです。

 

大阪と東京を往復するハードな学生時代を過ごすも、友人との時間が息抜きに

福本莉子 女優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――学生時代は、地元の大阪から東京へ通いながら仕事をしていたんですよね。苦労も多かったと思いますが、支えてくれたものは何ですか?

仕事を始めてすぐの頃、「NHK高校講座」のレギュラー出演が決まり、その収録が土曜日に行われていたんです。土曜日は学校が終わるとそのまま東京へ行って収録して、月曜日に始発の新幹線で帰ったり、テスト期間は朝一番の飛行機で帰ったりしてという生活を送っていました。土日に遊んでいる同級生たちを見ながら羨ましいと感じたこともありましたけど、それでも普段の学校生活が楽しかったので苦ではなかったです。友達とふざけてくだらないことで笑い合う時間が何よりも大好きな時間で、それがあったから体力的な大変さも乗り越えられたと思います。

――そんな中でも転機となった作品や、忘れられない出会いがあれば聞かせてください。

私にとって転機となったのは舞台「魔女の宅急便」で、それが初主演、初舞台、初ミュージカルでした。それ以前は、もちろん受験など頑張ったことはありましたが、一生懸命になったことがほとんどなく、“なんとなく”で過ごしてきていたんです。でも、舞台は当然逃げるわけにはいかず、苦手なことにも挑戦しなければいけなくて。そんな状況の中で一生懸命になり、最後までやり遂げることができたのは自信にもつながりましたし、その時に初めて「お芝居って面白い」と感じました。この経験があったからもっといろいろやってみたいと考えるようになったので、私にとっての大きなターニングポイントです。

 

意思表示ははっきりと。学生時代の環境が現在のベースになっています

福本莉子 女優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――福本さんが仕事をするうえで、大事にしていることは何ですか?

挨拶をきちんとすることはもちろん、「こういうことがしたい、これはイヤです」などの意見をはっきりと口に出すようにしています。

――子どもの頃や学生時代からそうだったのでしょうか?

思い返してみれば、小学生の頃が最も自我が強い時期だったような気がします。中高は女子高だったのですが、それぞれの個性を尊重してくれる環境で、意見の行き違いがあったとしても、「あの子はああいう子だしね」と相手を責めることもなければ、問いつめることもない。各々の個性を大事にすることで関係が成り立っていたので、培われたのだと思います。

――多様性を重視している環境だったんですね。では、女優のどんなところに醍醐味を感じていますか?

もともとテレビっ子で、子どもの頃からドラマをたくさん見ていて、芸能界=華やかな世界という印象を抱いていました。だけど、いざ入ってみたらドラマ1本撮るのにも時間がかかりますし、1シーンを撮るだけでも大変で。そういう裏側を知ると、すごく体力のいる仕事だと実感するのですが、ファンの方から「いつも応援しています」や「莉子ちゃんの存在が私の元気の源」「あの作品が面白かった」など励ましの声や感想をいただくたびに喜びを感じます。大変なことが多いぶん、同じくらいに嬉しいこともたくさんあります。

――福本さんと同世代の皆さんは将来について考えることも多いと思いますが、そんな方たちへメッセージをお願いします。

私はこの仕事を始めるまで、「絶対にこれになりたい」という将来の夢はありませんでした。夢がないことで悩んだ時期もありましたが、それはそれでいいんじゃないかと思うんです。「東宝シンデレラオーディション」に挑戦したことが私の転機になりましたが、人それぞれのタイミングで転機って訪れると思うんです。だから、「絶対に大学へ行かなくちゃ」「絶対に就職しなきゃ」と決めつけなくてもいいんじゃないかなって。私はなるようになると思って生きているので、学生さんならば今楽しいと感じることを続けたらいいと思うし、もしかしたら、それが将来の仕事につながる可能性だってある。その時に楽しめることを目一杯、満喫してほしいです。

福本莉子 女優 インタビュー タウンワークマガジン townwork

■Profile
福本莉子
(ふくもと・りこ)

2000年11月25日、大阪府生まれ。2016年「第8回東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞し、芸能界デビュー。主な出演作に舞台「魔女の宅急便」、「お勢、断行」、映画「思い、思われ、ふり、ふられ」、「しあわせのマスカット」、「君が落とした青空」、「20歳のソウル」など。ドラマ「赤いナースコール」(テレビ東京)に出演中のほか、舞台「アルキメデスの大戦」(10月1日~17日・日比谷シアタークリエ)に出演する。

◆Official Site:https://www.toho-ent.co.jp/actor/1104
◆Official Instagram:@riko_fukumoto_
◆Official Twitter:@r_fukumoto_toho

編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
ヘアメイク:伏屋陽子(ESPER)
スタイリング:道端亜未
取材・文:荒垣信子

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