女優・守屋茜インタビュー「ピンチはあっても自分で大ごとにしないで前を向くようにします」
副キャプテンを務めた櫻坂46を卒業し、昨年から本格的に女優活動をスタートさせた守屋茜さん。ゴーレムと呼ばれるゾンビに占拠された終末世界が舞台の人気シリーズ『君と世界が終わる日に』のSeason4に出演しています。個人では初の連ドラで、刑務所に収監されていた元囚人という、イメージを覆す役柄。演技への取り組みに、ポジティブなスピリットが垣間見えました。
幼稚園の頃からドラマが大好きでした
――これまでに好きだった連続ドラマはありますか?
ドラマが好きになったきっかけは『やまとなでしこ』です。幼稚園の頃、母が観ていたのをこっそりのぞき見していて(笑)。あと、学園ものが多かった世代で、少女マンガも好きだったので、王道の『花より男子』とかいろいろ観ていました。
――女優になりたい意向も早くからあったんですか?
はい。芸能界のきっかけはアイドルでしたけど、その前からずっと女優さんに憧れていて。グループに所属していたとき、全員が主演という形でドラマに出させていただけたのはありがたかったです。
――櫻坂46を卒業してからは舞台に2本出演されていますが、現場での意識は変わりました?
グループの頃と全然違います。自分だけの楽屋が用意されているのが嬉しかったんですけど、1人で戦っていかないといけないと思っていますし、なかなか慣れませんでした(笑)。
普段言わない強い言葉をドスの利いた声で
――今回の『きみセカ』での、元囚人で殺人犯の恋人という小高ルカ役は、演じ甲斐があったのでは?
大きかったですね。台本をいただいたときはイメージがあまり湧かなかったんですけど、監督やプロデューサーさんとたくさん話し合い
いろいろな映画も観ながら参考にして、
ルカのキャラクターを作っていきました。髪を染めるのも初めての経験で、クランクインの前はすごくワクワクしていました。
――どんな映画を参考にしたんですか?
『スーサイド・スクワッド』と『下妻物語』と『アウトレイジ』です。ルカは言葉づかいが本当に悪くて(笑)、ドスの利いた声を出す。そういう男っぽい部分がありつつ、『スーサイド・スクワッド』のハーレイ・クインのように女性らしさも持っている、小悪魔的なキャラクターだなと思います。今まで自分と縁がなかった役で、演じていて楽しかったです。
――ドスの利いた声は自然に出せたんですか?
普段は出したことがなかったので、ボイストレーニングに行って練習しましたけど、本当に難しくて。自分のイメージより全然やさしく聞こえてしまって、だいぶ苦労しました。
――守屋さん自身とは距離のあるキャラクターのようですね。
共感できる部分もありますけど、言葉づかいに慣れるまで時間がかかりました。「ぶっ殺してやる!」とか、普段言わないので(笑)。練習で繰り返し言っていると、ちょっと笑えてきました。そこは『アウトレイジ』を観て、どうしたら強い言葉をキツい声で言えるのか、ずっと研究していました。
――ルカは悪そうな顔もしますね(笑)。
囚人チームの皆さんが本当に怖いので(笑)、私も負けないように頑張って、悪さを出しました。
憧れていたアクションは見せ方が難しくて
――ルカのアクションシーンもありました。
アクションは憧れで、初めてナイフでゴーレムを刺したりしました。実際にやってみると、思っていたのと違って、難しさがありました。相手がそれぞれ武器を持っている中でのタイミングとか、本当に刺しているように見える強さとか。竹内(涼真)さんを始め、慣れている皆さんはすごいなと思いながら、モニターを見ていました。
――守屋さんの運動神経の良さは、本格的なアクションをやっても活かせそうですね。
それは思います。だから、ちゃんと習いたいんです。ルカはそれほどアクションがなかったので、皆さんの立ち回りが羨ましくて。
――ゴーレムは間近で見ると?
ゾンビものは小学生の頃から『バイオハザード』とか観ていましたけど、今回の現場で「こうやって出来上がるんだ」とわかりました。待ち時間は「ゴーレムさ~ん」という感じで、写真を撮らせていただきました(笑)。
――同世代で女優としては先輩の桜井日奈子さん、飯豊まりえさんとの共演は刺激になりました?
そうですね。桜井さんの表情にはすごく引き込まれますし、飯豊さんはアクションがかなり多かった印象で、言われた通りにすぐ動けるのを見て尊敬しました。
キャラクターを作り上げていく過程が楽しいです
――女優活動を始めてから、演技の面白みも感じていますか?
感じます。今回も衣装合わせから徹底的にルカのキャラクターを考えて、役を作り上げていく過程がすごく面白くて。何回も考えながら、日々「今日はこのシーンだ」と楽しみでした。
――演技で壁にぶつかるようなことはないですか?
もちろんあります。カットがかかるごとに「今の演技で大丈夫だったのかな?」と思いますし、自分では怖く演じたつもりが、あまり怖くなってなかったりもします。それでも、回が進むごとにルカらしさを自分なりに出せたらいいなと思って、楽しむことを一番に心掛けました。舞台でアンドロイドの役をやったときも、人間でない難しさがありましたけど、そこも含めて面白かったです。
――そうしたやり甲斐は、アイドル時代とはまた別ものですか?
全然違いますね。女優のメインは役として生きることで、アイドルは自分を見せるものなので。
――アイドルをやっていたことが、演技に役立つこともないですか?
いろいろな面で役立っていると思います。アイドル時代は、現場に行ったら急に「これをやって」と言われることも多くて。それで鍛えられたところがあるので、お芝居の現場でも対応力は活かせているかなと。
――仕事全般で大事にしていることはありますか?
ひとつひとつのお仕事と、丁寧に向き合うことですかね。1人1人との出会いを大切にしたいと、いつも思っています。
極限状態でも生き残れるタイプだと思います
――デビューしてから今まで、大きなピンチはありましたか?
大変なことはその都度ガンときますけど、なるべくポジティブに捉えるようにします。「言われてみればピンチだったかも」ということはわりとあっても、自分の中で大ごとにしません。それより前を向こうと。寝たら忘れるタイプなのも良かったかもしれません。
――夜中に1人で涙したりはしないと。
本当に溜まったときくらいですね。そういうときは思い切り泣いたり、信頼している友だちに話を聞いてもらってスッキリして、寝て復活します。嫌なことを忘れるために、何か別のことをしたりもします。
――ちょっと飛躍しますが、『きみセカ』のような極限状態でも生き残れそうですか?
私は生き残れるタイプだと思います。飛行機に乗るときも「もし落ちたら…」と考えるんですけど、絶対に生きられる気がします。私は泳げるので(笑)。
――ルカは劇中で、味方を裏切るところもありますが、それも生き残るためには必要なことだと?
大事だと思います。人がそれぞれ持っている本性みたいなものが、ルカはわかりやすく描かれています。
以前は忙しくないと不安でしたけど、今は落ち着きました
――去年の11月で25歳になって、大人モードは高まってきていますか?
アイドルの頃は毎日忙しくないと不安でしたけど、今は年齢もあってか、落ち着いてきました。時間は限られているので、丁寧に仕事をして、自分磨きのためにも使いたいと思っています。さっき言ったアクションと、所作の勉強もしたくて。あと、食欲も落ち着いてきました(笑)。
――以前は大食いをしていたんですか?
何かをたくさん食べるというより、空き時間があったら何かを食べないと気が済まない、謎の欲求があって(笑)。楽屋にお菓子とかあると必ず食べていましたけど、そういうのはなくなりました。
――食べ物や洋服の好みは変わりましたか?
以前は変わったデザインの洋服が好きだったのが、どんどんシンプルなものを集めるようになりました。色もベージュとかきれいなものに目が行きます。
――グループ時代の守屋さんは“軍曹”と呼ばれた負けず嫌いが有名でした。あの精神は今も変わりませんか?
そういう状況になったら、むき出しになるかもしれません。でも、以前も負けず嫌いは運動会とかのときだけで、普段は全然出なかったので(笑)。逆に、それが出るようなスポーツをやりたいくらいです。
会話のナチュラルさがすごくてハマりました
――普段から演技力を付けるために、努力していることはありますか?
ドラマや映画を日ごろから観るようにしています。以前は物語を楽しんでいたのが、「この描写でこういう表情をするんだ」とか「ここはどんな感情なのかな」とか、観方が変わりました。
――勉強になる女優さんもいますか?
好きなのは長澤まさみさんです。あと、女性同士の会話で普通さとテンポ感を出すのが難しいと思っていて。『ブラッシュアップライフ』はそこがすごく上手で、ハマっていました。
――安藤サクラさんたちのユルい会話が面白いと話題でした。
あのナチュラルさに「すごい!」となっていました。
――守屋さんの女優としての目標はどんなことですか?
いつかはちゃんと主演を張れるようになりたいです。長い目で考えていますけど、20代で叶えられたら嬉しいです。
いろいろなことを経験すれば、好きな仕事に近づけます
――読者にはバイトをしながら夢を追う方も多いと思いますが、守屋さんが考える夢を叶える秘訣はありますか?
モチベーションを常に保つことですかね。気持ちを高めてないと、夢があっても頑張れないので。でも、妹の話を聞いていると、今の若い人たちは「これがやりたい」「この仕事に就きたい」という夢を見つけるのが、難しいのかなと感じます。
でも、いろいろなものを見て経験して、「いいな」と思った仕事に近づくことはあると思うので。諦めずに何でもチャレンジしてほしいです。
――守屋さんも、そうやって何かに辿り着いた経験があるんですか?
私は美容が大好きで、自分で極めたことをブログとかで発表していたら、雑誌の連載に繋がった事もありました。
何がきっかけになるかわからないので、自分の強みは大切にしたいと思います。
――美容関係の仕事もさらに広げたい感じですか?
私自身、メイクを落としてスキンケアをして寝るとか、基本的なことをしないと響くところに差し掛かってますけど(笑)、ビューティー誌のお仕事は続けていきたいです。
守屋茜(もりや・あかね)
1997年11月12日生まれ。宮城県出身。
2015年に欅坂46の1期生オーディションに合格。改名した櫻坂46を2021年に卒業。2022年に舞台『テーマ 我が家の家族』、『FOCUS~アップデート~』に出演。ドラマ『君と世界が終わる日に Season4』(Hulu)に出演中。
OFFICIAL SITE:https://moriyaakane.com/
OFFICIAL Instagram:@akane.moriya_official
Huluオリジナル『君と世界が終わる日に』Season4
Huluにて独占配信中(毎週日曜新エピソード更新/全5話)
ゴーレムと呼ばれるゾンビに占拠された終末世界。とある刑務所を拠点とするコミュニティがあった。リーダーは経済界を牽引していた財団会長の娘・新山明日葉(玉城ティナ)。一方、刑務所にはゴーレムウィルスの蔓延前から収監されていた囚人たちも同居して、緊張状態が続いていた。そこに現れた間宮響(竹内涼真)。最愛の人・来美を亡くし、奪われた娘のミライを探して旅を続けていた彼は、別人のように変わっていた。そんな中、ミライが“ユートピア”と呼ばれる人類最後の希望の都市にいるかもしれないと聞いて…。
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kimiseka/
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編集:ぽっくんワールド企画 撮影:草刈雅之 取材・文:斉藤貴志