西田汐里(BEYOOOOONDS)インタビュー「強い心は大切ですけど、折れないように休むことも必要だと思います」
1年ぶりのシングルリリースから、二度目の日本武道館公演を控えるBEYOOOOONDS。さらに、20歳の誕生日も近づくのが西田汐里さん。かわいらしいイメージの裏で見え隠れする負けず嫌い。個性派揃いのグループの中で見つけた自分の武器が、今回のシングルで発揮されたそうです。
モーニング娘。さんに憧れて恥ずかしがりな性格を直しました
――自粛期間の頃の「お家でもびよんず学校」で、西田さんはぬか床の作り方を紹介していて、渋いなと思いました(笑)。
祖父母が手打ちうどんとそばのお店をやっていて、小さい頃、そこに置いてあったたくあんをつまみ食いさせてもらっていたんです(笑)。その頃から、お漬物が好きでした。
――ダンスも小さい頃から習っていたんですよね?
保育園の頃から、お遊戯会で誰よりも一生懸命踊る子でした(笑)。親にずっと「ダンスをやりたい」と言っていたんですけど、京都では近くに教室がなくて。小1で関東に引っ越して、小2からヒップホップを習い始めました。
――人前に出るのも好きだったんですか?
実はすごく恥ずかしがり屋で、学校でも手を上げて発言できないタイプだったんです。でも、小4の頃にモーニング娘。さんを知って、「私も絶対入る!」と心に決めてからは、将来お客さんの前で話すときに困らないように、学校で慣れることにしました(笑)。発言の回数が増えて、いろいろ立候補もして、魔法にかかったように自分が変わりました。
――当時のモーニング娘。は道重さゆみさんがリーダー、西田さんが慕う譜久村聖さんがサブリーダーを務めていましたが、何にそこまで惹かれたんでしょう?
衝撃だったのは「What is LOVE?」のMVのライブ映像です。お客さんが楽しそうに体を動かしていて、大勢の方をかわいい女の子たちが盛り上げるエネルギーやパワーが伝わってきて。汗だくでパフォーマンスをする姿に、胸が熱くなりました。
常に悔しい気持ちがないとダメだと思います
――中1でハロプロ研修生になったときも、ダンスには自信があったんですか?
そうですね。スクールで小学生の頃から、先生が「もっと上のステップに」と言ってくださって、大人の方たちと一緒にレッスンを受けていましたから。
――歌も当時からハイトーンボイスを聴かせていました。
高い音は出たほうかなと思います。歌は初心者でしたけど、好きだったから大きな声で歌っていて。先生に「西田は調子だけはいい」と言われていました(笑)。謎の自信があったんです。
――同期で今は同じBEYOOOOONDSの山﨑夢羽さんには、強いライバル意識があったとか。
話はほぼしたことがないまま、とても意識していました。Juice=Juiceさんの曲だと夢羽が高木紗友希さん、私が金澤朋子さんのパートとか、シンメ(対称位置)になることも多くて。発表会のセットリストが送られてくるたび、“西田”の次に“山﨑”を探して、私のほうが曲が少なかったら悔しいと思ってました。
――基本的に負けず嫌いですか? 写真集を出したときも「グループで4番目なのは悔しい」と話してました。
言ってましたね~。何をそんなにこだわっていたのか(笑)。おばあちゃんに「出させてもらうことを感謝しなさい」と怒られて反省しました。でも、常に悔しい気持ちがないとダメなお仕事だと思っているので、表には出さなくても、その感情は忘れないようにしています。
あざとさとは何かメモをしていました(笑)
――グループ内ユニットのCHICA#TETSUでは、かわいいパートが多いですね。
任せてもらえて嬉しいです。自分でも、振り切ってかわいく見せるのは得意かなと。研究もしていて、携帯に「あざといとは何か?」とメモしていた時期もありました(笑)。
――どんなことをメモしていたんですか?
えーと、(携帯を取り出して)「ずっと目を見て話すこと」「品があるかわいさで」「ネガティブな言葉を使わない」とか書いてあります(笑)。あと、「乾杯のとき、お互い下に下にとなったら、どうするか?」と。高校生の頃、将来乾杯するときのことを考えていたんですかね(笑)。
――(笑)。BEYOOOOONDSができて、寸劇やトンチキソングをやることは、どう受け止めました?
衝撃はありました。でも、新グループが始まるワクワク感とデビューする必死さで、「何でもやらせてください!」というスタンスでした。研修生の頃の演劇女子部の舞台でも、私は「羞恥心がないね」と言われていて(笑)。全力の体当たりで楽しくやっていました。
響きのある声を出せるようになりました
――西田さんは一昨年くらいから、ボーカル力が急速に上がった印象があります。
ダンスメンが入って、私は踊るのが得意と言えなくなって、歌を頑張ろうと思ったんです。ボイストレーニングの時間は限られているので、その中でどれだけのことを吸収できるか、意識が変わりました。朝、自分でちゃんと発声練習をしてから、行くようになったり。
――どんな成果が出ましたか?
声の出し方が変わりました。研修生の頃から響きがないことが弱点だったのが、ちゃんと響きのある声を作って、大人っぽい声も出せるようになったと思います。あと、腹式呼吸がヘタで、お腹で息が吸えなかったのも、最近はそこで悩むことはなくなりました。
――今回のシングルの「求めよ…運命の旅人算」でも、磨いたものが発揮できたようですね。
「ファンキーに歌って」ということで、レコーディングまでに仕上げるのに苦戦しました。全員が1曲まるまる歌うんですけど、サビのキーがずっと高くて、息も吸えない。どうしたら1時間ノドをもたせられるか、計算しながら練習しました。
――ホイッスルボイスは、最初から西田さんの担当になっていて?
全員録ったと思います。スタジオで練習する声も聞こえたので。でも、私は前からホイッスルボイスのレッスンをしていたので、めちゃめちゃ歌いたかったです。作曲の星部ショウさんに「絶対出せるようになるので、ホイッスルボイスのパートを作ってくれませんか?」とお話しもして、来たのがこの曲でした。
ホイッスルボイスを自分の武器にしようと
――なぜホイッスルボイスを習得したいと思ったんですか?
BEYOOOOONDSで歌で目立つために、武器が欲しかったんです。他のメンバーはすごい武器を持っていて。平井美葉ちゃんや里吉うたのちゃんはダンス、小林萌花ちゃんはピアノ、清野桃々姫ちゃんはトークボックス…。
私には何があるのか。かわいい? あざとい? それは誰でもできるのでパッとしないなと、ずっと思っていました。それで、ボイトレの先生に相談しました。
――すぐ出せるようになりました?
最初は全然ダメでした。小田さくらさん(モーニング娘。’23)がカバーされた「逢いたくていま」を課題曲にしたんですけど、「あんな高い声が出るわけない」と思っていて。でも、イルカの鳴きまねでキュッと声を出すとか、ストローを使って音域を上げる発声練習とか、ノドの位置を高いところでキープとか、家で暇さえあればやっていて。少しずつできるようになりました。
――「求めよ…運命の旅人算」ではカッコ良く響かせています。
ライブでも歌っていくので、もっと特訓は必要ですけど、やっと個性を出せて達成感がありました。MVでそこは、私は島倉りかちゃんが真顔で引く台車に乗って、高らかに歌うコミカルな映像になっています(笑)。それもビヨっぽいですね。
――ちなみに、歌詞にある“西田さんと里吉さんが何分後に出会うか”の問題は解けました?
解けませんでした(笑)。旅人算はすっかり忘れていて。昔も算数は苦手でしたけど、まさかこんなところで、小学生のときに学んだ知識を使うとは(笑)。
ストレートな歌詞をウソのないように歌ってます
――「夢さえ描けない夜空には」のほうはミュージカル風のメッセージソング。どんな気持ちで歌っていますか?
ストレートすぎるくらいの歌詞なので、ウソがないように純粋な心で歌いたいと思いました。なるべくやさしい歌声で。私はこれは子守歌だと感じていたんです。寝る前に聴いたら、絶対良い夢が見られそう。
――MVでは<いつも一生懸命生きる君のこと 愛してる>のパートで、大きなハートを作っています。
ソロパートも振りを付けていただくことが多かったんですけど、今回から自由になって、どうするか自分で考えました。あそこは振り入れの段階で、ハートにしようと決めていました。
――西田さんにも「夢さえ描けない」ようなピンチはありました?
落ち込むことはあっても、切り替えは早いタイプです。バラエティを観て笑って、ちゃんとごはんを食べて、お風呂に入って寝る。それで忘れてしまいます。
――どんなバラエティを観るんですか?
何の番組でもお笑い芸人さんを観ると面白いし、「皆さん頑張っているんだな」と思えます。この前、吉本さんのライブも観に行きました。姉がヨネダ2000さんにどハマりしていて誘われて、「ぺったんこー」って大笑いしました(笑)。
少しずつ頑張れば良い未来が待っているはず
――今はどんな夢を描いていますか?
まずは今度の日本武道館が満席になっているのを見たいです。その先だと、BEYOOOOONDSの輪を広げたいです。私たちのエンタテイメントショーにはもう日本武道館では足りない、アリーナやドームでないと…と言ってもらえるくらいになりたいです。
――今までもたくさんの夢を叶えてきたと思いますが、成功の秘訣は何でしょう?
心を強く持つことは大切ですけど、潰れそうになったら、お休みも必要だと思います。ホイッスルボイスもいっぱい練習すればいいわけでなくて、身に付くまで時間はどうしてもかかるので。心が折れないように少し離れて、ちゃんと回復する。ちょっとずつ頑張っていけば、きっと良い未来が待っています。
――6月には20歳になります。
グループを支えられるようにしっかりしなければと、焦りもあります。私は早起きは得意ですけど、起きてから30分くらいボーッとしているので、意味ないんです(笑)。まずはそこを直して、早く体を動かせるようになりたいです。
西田汐里(にしだ しおり)
2003年6月7日生まれ。京都府出身。
2016年にハロプロ研修生に加入。2018年にBEYOOOOONDSを結成。2019年にシングル「眼鏡の男の子/ニッポンノD・N・A!/Go Waist」でメジャーデビュー。同年の日本レコード大賞で最優秀新人賞。5月2日にオーケストラと共演する「BEYOOOOOPHONIC」を東京芸術劇場 コンサートホールで開催。5月15日に「NEO BEYO at BUDOOOOOKAN!!!!!!!!!!!!」を日本武道館で開催。
◆西田汐里 OFFICIAL Blog:https://ameblo.jp/beyooooonds-chicatetsu/theme-10107497243.html
◆西田汐里OFFICIAL Instagram:@shiori_nishida.official
◆BEYOOOOONDS OFFICIAL SITE:http://www.helloproject.com/beyooooonds/

※ジャケットは通常盤A
BEYOOOOONDS 4th Single 「求めよ…運命の旅人算/夢さえ描けない夜空には」 4.12 Release
初回生産限定盤A(CD+BD) 2090円(税込)
初回生産限定盤B(CD+BD) 2090円(税込)
初回生産限定盤SP(CD+BD) 2090円(税込)
通常盤A(CD+トレーディングカード) 1200円(税込)
通常盤B(CD+トレーディングカード) 1200円(税込)
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影:河野英喜 取材・文:斉藤貴志
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。