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2023年04月14日

俳優・坂口健太郎さんインタビュー「30歳を過ぎ、内面をさらけ出す楽しさを自覚。 しんどい時は『しんどい』と言ったほうが代謝はよくなる」

坂口健太郎 俳優 インタビュー タウンワークマガジン townwork不思議な力をもち、傷ついた人を癒やす青年・未山を中心に、リアルとファンタジーが混在する世界を描いた映画「サイド バイ サイド 隣にいる人」に主演した坂口健太郎さん。ミステリアスな役柄に挑戦した感想や、未山というキャラクターへの思いを聞いたほか、坂口さんが普段、どのような心境で仕事に向き合っているかを尋ねました。

 

「ただそこにいるだけ」の未山を演じるのは、難易度の高いものだった

坂口健太郎 俳優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――まずは台本を読んだ感想から聞かせてください。

台本をいただく前に、伊藤ちひろ監督とお会いするタイミングがあって、その時に「坂口くんで(作品を)撮ってみたいんだよね」と言われたんです。お話をしながら、監督は僕の内側にあるものをピックアップなさったようで、出来上がった台本を読んでみたら、あて書きのような感覚で、監督は僕をこういう角度で見ているんだとか、僕の中にこういうものを感じているんだという発見と驚きがありました。

――お芝居に関して、監督からのリクエストはありましたか?

「未山はただそこにいてくれるだけでいい」という指示でした。登場人物も限りなく少ないですし、接する人たちの「水面鏡のような人でいてほしい」と。水面鏡ということは相対する人によって未山の見え方も変わってくるでしょうし、「ただいるだけ」のお芝居って、すごく難易度が高い。これまで演じてきた役柄は情報を入れ込んでいきましたが、未山の場合はクランクインの時にそぎ落とす作業が必要でした。もしかしたら、未山って存在しなかったのかなという捉え方もできるので、監督から要求された象徴感はとても難しかったです。

――「あて書きのような」と発言がありましたが、どんなところに“自分”を感じましたか?

未山って、まわりから相談されたすべてのことを引き受けるし、決して断らない。だけど、どれも完遂せず、80%ぐらいしか解決になっていないんです。彼の気持ちはすごくわかるんですよ。本当に助けたいと思っているし、できないことはないと思っているから、「いいですよ」と引き受けてしまう。そういうところは通ずる部分がありますね。

――未山の服装は一貫してゆるっとしたニットとパンツで、持ち物に至るまで一切色がありません。そんなところからも彼は実在するのか、しないのか、深読みしてしまいました。

衣装は監督が結構こだわった部分でした。詩織(市川実日子)の家に行ってからは借りたパーカーを着ることもあったけど、それ以外は1着のみ。僕は「顔に似合わず」という枕詞がつくぐらい(笑)、「意外と骨ばってるね」とよく言われるのですが、監督から「生々しい体のラインが撮りたい」と要望があって、風が吹くと骨格がわかるような服を着ることで、そこに立っているだけで何かが伝わってくる未山の存在感を表現したかったのだと思います。

 

コロナ禍を経て、現場での存在の仕方にも変化が

坂口健太郎 俳優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――未山だけでなく、登場人物のほとんどは何かしらの傷を抱えていますが、坂口さん自身の傷との向き合い方を聞かせてください。

整体に行くと「何でこの状態になるまで放っておいたんだ」とよく叱られるのですが(笑)、それと同じように、傷ついたことに気づかないようにしている自分、抱えているものに対して目を閉じてしまう自分がいます。いつもは蓋をしていて、何で蓋をしているのか理由もわかりませんが、その状態でニコニコすることに慣れてしまっている。だけど、思い出みたいなものがトリガーになっていて、たまにそのトリガーを引いた時につい感情的になってしまう自分がいるんですね。ここ数年でいうと、コロナが蔓延し始めた頃、精神的にすごく疲れた時期がありました。

――具体的にどんな状態になったのでしょう? そして、そんな時期を経て変化は?

誰と誰が戦っているのかわからない時期があったじゃないですか。コロナと戦っているのか、人間同士でやり合っているのか……。そういうものを見ると、自分って結構ダメージをくらうんだなという新しい発見があったんです。作品に携わるうえで、全部自分の思い通りにいくことなんてないし、いくべきでもないと思うのですが、たまに心がささくれ立つことがあって。そんな時は、人との会話で解消するようにしていました。もともと僕はおしゃべり好きでしたが、多くの人と関わるうちに、いつの間にか1、2歩、引いた位置から物事を俯瞰で見るようになっていて、それが結構長く続いたんです。でも、最近は自分の内面をさらけ出す楽しさを覚えてきた。マイナスな感情は表に出さないのが当たり前になりがちだけど、しんどい時こそ「しんどい」と言ったほうが、圧倒的に代謝はよくなると思います。

坂口健太郎 俳優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――作品のタイトルにちなんで、今、坂口さんの“隣にあるもの”は何ですか?

二つあります。今、撮影している作品のロケで東京近郊の街へ通っているのですが、グルメサイトで調べたら、そのあたりにご当地ラーメンがあることがわかって、撮影帰りに食べるラーメンが今、僕の隣にあるものです。ハマりすぎてちょっと太ってしまったので(笑)、今後どうしようかなと考えています。もう一つは、毎日晩酌をするのですが、お酒を飲みながら見る心霊番組ですね。丑三つ時に「怖~い」って言いながら見るのが好きです。

 

演じる役柄本人ではなく、その隣人でありたいと思いながら芝居をしている

坂口健太郎 俳優 インタビュー タウンワークマガジン townwork――普段、仕事をするうえで大事にしているのはどのようなことでしょうか?

役柄をいただいた時に、その人物そのものになるよう役を突きつめることも大事ですし、その人物の考えなどは読み取ろうと思うのですが、その人自身になりたいとは思わないんです。今回の作品のタイトルにかけたわけではありませんが、その人の考え方に共感できる隣人みたいな存在でいたいと思いながら、作品に臨むようにしています。

――仕事に向き合うスタンスの変化について聞かせてください。

思い返してみれば、20代は多くの作品に携わらせていただき、20代後半には仕事という自覚のうえに、さらに責任みたいなものも背負わなければいけないポジションに立つことが増え、自分がおかれた状況に、より一層真剣に向き合わざるを得ませんでした。

――現在はどうですか?

30歳を過ぎた今、現在のほうがラクといいますか、気負わずに仕事に臨むことができています。自分の考えを出しやすくもなりましたし、自分によって現場の方向が定まる機会も増えてきて。ただ、自分によって決まるからこそ、きちんと責任をもたなければいけないのですが、そんな状況を楽しめている自分もいます。

――夢や目標を叶えようと奮闘する若い世代へアドバイスをお願いします。

夢や目標って、そもそもワード自体がこれから先を見据えたものを指していますよね。目指すものがあるからこそ頑張れる気持ちもわかりますが、僕自身は先のことをあまり考えずに生きてきたので、そこへの気持ちは3割ぐらいでいいんじゃないかと思うんです。残りの7割は、今日この後のことや明日のこと、もしくはこれから出会う人たちにエネルギーを使ったほうがいいんじゃないかなって。もしかしたら、方向が少しずれてしまうとか、夢が変わることだってあるかもしれないけれど、今は目の前のことに取り組んでほしい。月並みなアドバイスかもしれませんが、参考にしていただけると嬉しいです。

坂口健太郎 俳優 インタビュー タウンワークマガジン townwork

■Profile
坂口健太郎
(さかぐち・けんたろう)

1991年7月11日。東京都生まれ。2014年俳優デビュー。主な出演作に映画「今夜、ロマンス劇場で」、「仮面病棟」、「余命10年」、「ヘルドックス」、ドラマ「シグナル 長期未解決事件捜査班」(カンテレ)、「連続テレビ小説『おかえりモネ』」(NHK)、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(NHK)、「競争の番人」(フジテレビ)など。4月22日スタートの日本テレビ系ドラマ「Dr.チョコレート」に主演する。

◆Official Site:https://www.tristone.co.jp/actors/sakaguchi/
◆Official Twitter:@kentaro_s_711
◆Official Instagram:@sakaguchikentaro

■作品情報
坂口健太郎 俳優 インタビュー タウンワークマガジン townwork
「サイド バイ サイド 隣にいる人」
4月14日(金)全国ロードショー

目の前に存在しない“誰かの想い”が見える青年・未山(坂口健太郎)は、その不思議な力で身体の不調に悩む人や、トラウマを抱えた人を癒やし、周囲と寄り添いながら、恋人で看護師の詩織(市川実日子)とその娘・美々(磯村アメリ)と静かに暮らしていた。ある日、未山は、自らの隣に謎の男(浅香航大)が見え始める。これまで体感してきたものとは異質な想いをたどり、遠く離れた東京に行きついた未山。その男は、未山に対して抱えていた特別な感情を明かし、さらには元恋人・莉子(齋藤飛鳥)との間に起きた、ある事件の顛末を語る。未山は彼を介し、その事件以来、一度も会うことがなかった莉子と再会。自らが置き去りにしてきた過去と向き合うことになる。

公式サイト:https://happinet-phantom.com/sidebyside/
公式Twitter:@sidebyside_2023
©2023「サイド バイ サイド」製作委員会

編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材:文:荒垣信子

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