声優・富田美憂 インタビュー「“声優の仕事が好き”という気持ちは始めてから今もずっと変わらない」
オーディションを経て2014年に15歳で声優デビューし、今年で声優活動10周年を迎える富田美憂さん。5月24日から公開される映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』では、鬼の少女〝ツムギ〟の声を務めています。演じる役柄の魅力やアフレコでのエピソードのほか、小学生の頃からの夢であり、今でも変わらず好きだと言い切る「声優」という仕事を通して得た経験や変化についてお話を伺いました。
ツムギと私との共通点は、自分のやりたいことがハッキリしているところ
――アニメ映画『好きでも嫌いなあまのじゃく』には、どんな印象を持たれましたか?
私が演じる鬼の少女・ツムギは、幼い頃に消えた母を探しに人間世界にやってきて、主人公の八ツ瀬 柊(やつせ ひいらぎ)と、色々な危険を回避しながら旅をしていきます。日常の風景の中に、ワクワクするようなファンタジー要素が散りばめられていて、アニメーションスタジオ「スタジオコロリド」ならではの温かな空気感が魅力的な作品だと思いました。
――ツムギと富田さん自身の共通点があれば教えてください。
私自身は、どちらかというと主人公の柊の方かもしれないです(笑)。柊は、誰かに必要とされたいという気持ちが空回りして、周囲に合わせるために自分の気持ちを押し込んでしまうんです。私も何か1つ間違えただけで“嫌われちゃうかもしれない”とか、“ガッカリさせてしまったんじゃないか”と周囲の目を気にし過ぎてしまうところがあるのですごく共感しました。でも、ツムギの持つ「自分のやりたいことがハッキリしていてブレない芯がある」という部分は、自分にも近いところがあると思います。
――天真爛漫なツムギですが、演じるうえで意識したことはありますか?
鬼というとちょっと怖くて近寄りがたいイメージがありますが、ツムギは表情がころころと変わったりと感情表現が豊かで、人間の子どもと変わらない印象が強かったので、鬼だからと意識はせず等身大の女の子として表現することを心がけました。
――特に大事にしたいと感じたシーンはありますか?
ツムギと柊が公園で言い合いになるシーンですね。ブランコを挟んで本心をぶつけ合うんですけど、柊がツムギのことを想って発した一言が、ツムギの心にはグサッと刺さってしまう。映画全体のキーになるシーンでもあると思ったので、そこは大事に演じたいと思いました。
それと、1つのシーンに限らず、旅をする中で少しずつツムギの気持ちが変化していく。最初は“たまたま”出会った自分のお願いを聞いてくれそうな柊に、一緒に目的地を探してくれるように頼みますが、物語が進んでいくにつれて、「柊だから一緒にいたい」とか、「柊だから…」と変化していくところも魅力なので演じていて楽しかったです。
どんな仕事も“楽しいだけじゃない”のは当たり前。出来るようになるための努力は必要
――ツムギは柊と旅をしたことで「世界が広がった」と話しますが、富田さんが最近新しく始めたことがあれば教えてください。
趣味と言えるものがなかったので、何か新しいことを見つけたくてギターを始めました。今まで、音楽を聴く時やライヴに行った時は、歌声や歌っている人しか見ていなかったのですが、ギターの音やパフォーマンスも見るようになって、音楽に対する向き合い方がすごく変わりました。いつかはライヴでも披露できたらいいなと思いますし、ギターは楽しみながら続けてきたいと思っています。
――「歌える声優になりたい」という思いはブレませんね! 小学生の頃からの夢を叶えた富田さんですが、好きなことを仕事にしたことで逆に大変だと感じることはないのでしょうか?
大変なことがあったとしても“この仕事が好き”という気持ちは変わらないです。この仕事に限らず、どんなに好きなことでも…例えば学生だったら、やりたくて入った部活動とか、社会人だったら希望の会社に入れたとしても、覚えることはたくさんあるはずなんです。上手く行かないことがあるのも当たり前で“楽しいだけのことなんてあるはずがない!”と思っているので、みんな同じ。だから、苦手なことや出来ないことがあったとしても“やりたい事じゃなかった”みたいには考えないですし、出来るようになるために努力します。
――好きなことだからこそ頑張れると。
そうですね。少し遡りますが、小学生の頃は、周囲の人に歌や絵をわりと褒めてもらえる子どもだったんです。そしたら、友だちに「みゆちゃんは何でも簡単に出来ちゃうからいいじゃん」って言われて、“なんでも出来るわけじゃなくて、出来るようになるために頑張ってきたのに…”と思った記憶があって。可愛くない子どもですよね(笑)。でも、昔から根本は変わっていないんだと思います。
落ち込んだ時は、あえて“まぁなんとかなるでしょ!”の精神で心に余裕を持たせる
――好きという気持ちが強いほどパワーアップしていけると(笑)。それでも落ち込んでしまった時は、どのように向き合いますか?
あえて“まぁなんとかなるでしょ!”と考えて、心に余裕を持つようにしています。昔は、もうちょっと生き急いでいたというか、全てのことにフルアクセルみたいな感じでしたが、20代も半ばになってきて、ようやくそう思えるようになってきました。
――何かきっかけがあったのでしょうか?
特別なきっかけというよりは仕事を続けてきた中で少しずつですね。高校を卒業して、声優のオーディションを受け始めた頃、1年くらいは全く受からない時期があったんです。オーディションを重ねるごとに“受からなきゃ”とか“仕事を取らなきゃ”というプレッシャーが大きくなっていって、余計に焦ってしまって…。そういう気持ちや焦りは、芝居にも出てしまっていたと思います。
仕事を始めてからも、やりたい役が出来なかったり、オーディションに受からなかった時は落ち込みますが、“まだ自分がその土俵に立てていなかったんだ”と考えて、その時々に自分が出来ることを頑張ろうと切り替えるようになりました。
誰かのためになれていると思えることが仕事へのモチベーション
――未来のことばかり考えて焦るよりは、今できることを頑張っていくという。
はい。多分なんですけど、声優として演じるキャラクターたちは、自分が“やるべき時”に来てくれるんじゃないかなと。時には背伸びすることも必要ですが、自分が10代の頃に無理に30歳のキャラクターを演じるのは無理があったと思うし、逆に経験を重ねた今、新人アイドルの役を受けても選ばれないと思うので。そういった自分なりの見極めや心の準備が出来るようになってきたんだと思います。
――4年前(2020年11月11日掲載)のインタビューでは、「人と比べてしまいがちだった」という過去のお話も聞かせていただきましたが。
マネージャーさんに「あなたにしか演じられないものがきっとあるはずだよ」と言ってもらえたことで変われました。今回の映画では、監督が私の声を聞いて「あっ、ツムギだ」と思って選んでくださったと聞いて、すごく嬉しくて。自分の出来ることを増やしていきながら、声優を続けてきて良かったと思いますね。ファンの方からいただく手紙で「生きるのが楽しくなった」とか、作品の感想を書いてくれたものを読むと“誰かのためになれているんだ”と思えて、それが仕事のモチベーションになっています。
自分自身で精一杯だった時期を経て、周囲と歩幅を合わせることの大事に気づけた
――主人公の柊の願いとも重なりますね。『好きでも嫌いなあまのじゃく』にも、一歩を踏み出す勇気や、人間関係、自分の心との向き合い方など教えられることが多いなと感じました。
学生の頃の気持ちや、両親とのやりとりなど様々な要素が詰まっていて、見る世代によっても刺さる言葉や、共感できるキャラクターが変わる作品だと思うので、色々な視点で楽しんでもらえると嬉しいです!
――では最後に。声優として10周年を迎えますが、改めて変化したことはありますか?
声優を始めてからしばらくは、ずっと自分のことしか見えていなかったんですけど、共演者やスタッフさんたちと歩幅を合わせることもすごく大事なことだと気づきました。自分だけが夢中で突っ走ってもダメですし、逆に意見を求められる場面ではきちんと話せるようにとか。まだまだ学ぶことが多いので先輩方に色々と教えてもらいながらですが、現場には後輩も増えてきたので、自分が先輩にしてもらって嬉しかったことは後輩にもしてあげたいなと思っています。
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富田美憂(とみた みゆ)
アミューズ所属 1999年11月15日生まれ。
2014年に『2014声優アーティスト育成プログラム・セレクション』でグランプリを受賞し、翌年声優デビュー。代表作に「アイカツスターズ!」(虹野ゆめ 役)、「かぐや姫は告らせたい?」(伊井野ミコ 役)、「機動戦士ガンダム 水星の魔女」(チュアチュリー・パンランチ 役)、「夜のクラゲは泳げない」(渡瀬キウイ 役)などがある。2019年11月に「Present Moment」でソロアーティストとしてデビュー。2024年4月17日には最新音源となる5th SINGLE「Paradoxes」をリリース。
◆富田美憂 アミューズ OFFICIAL SITE:https://www.amuse.co.jp/artist/A8701/
◆富田美憂 日本コロムビア OFFCIAL SITE:https://columbia.jp/tomitamiyu/
◆富田美憂 X(旧Twitter):@miyju_tomita

©コロリド・ツインエンジン
『好きでも嫌いなあまのじゃく』
2024年5月24日(金)より Netflix 世界独占配信&日本劇場公開

©コロリド・ツインエンジン
新進気鋭のクリエイターが集まり世界中から注目を集める「スタジオコロリド」待望の長編第4弾。
“少年と鬼の少女”が紡ぐ物語――
【ストーリー】
主人公の八ツ瀬 柊は、山形県米沢市に住む高校1年生。「誰かに必要とされたい」という気持ちを抱きながら“周りの人のため“に努力をするものの、うまくいかない日々が続き、いつしか「自分の気持ち」に蓋をするようになっていた。ある日、柊はひとりの少女と出会う。出会った少女・ツムギは天真爛漫でちょっと失礼。そんな彼女に流される中、柊は突如「何か」に襲われる。危機を回避するためにツムギに手を引かれて部屋を飛び出し…行きついた先で彼女を見ると、頭には“ツノ”が!?——彼女の正体は鬼だった。幼い頃に消えた母を探しに人間世界にやってきたというツムギの旅に柊も同行し、2人は心を通わせていく。
公式HP:https://www.amanojaku-movie.com/
スタジオコロリド 公式X(旧Twitter):@studiocolorido
企画・編集:ぽっくんワールド企画 撮影・草刈雅之 取材・文:原 千夏
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。