末吉9太郎（CUBERS）インタビュー『0人ライブも誰も見ていないブログも“その時の自分に出来ること”でした。それを続けたことで夢につながった』

ボーイズユニットCUBERS（キューバーズ）のメンバー・末吉9太郎さん。SNSに投稿している『アイドルオタクあるある動画』が共感を呼び、現在動画は3億再生突破。自身がアイドルオタクであり、アイドルになることを夢見てきた9太郎さんに、ここまでの道のりや、バイト経験について伺いました。初ソロ曲も収録された新作「WOW」（3月4日リリース）制作エピソードについてもインタビュー！

ミュージックビデオは僕の歌っている時の顔がめちゃめちゃ盛れてて大満足

——9太郎さんのソロ曲も収録されるシングルですが、まずは表題曲の「WOW」についてお聞かせください。

化粧品のタイアップということもあって、歌詞もCUBERSでは初めての女性目線になっています。春めいていて、恋をしたくなるようなポジティブな楽曲です。CUBERS はメンバー全員の歌声が全く違うので、歌い分け部分はすぐに誰のパートかが分かると思います！　

——ミュージックビデオもピンクが基調になっていますね。

セットも可愛く豪華なので、ダンス中にぶつかって壊さないように気をつけました。ちなみに、僕が歌っている部分の顔がめちゃめちゃ盛れているんです（笑）。照明さんや、スタッフさん、そして何度も撮影した中で、あのシーンを使ってくれた監督さんに感謝ですね！　

——カップリング曲の「Sweet Beat」は、セクシーですね。

大人っぽいですよね。実際の僕は、ネオンとかを見て「きれーい！」みたいにはしゃぐタイプなので、この曲の中だけは、ふっと何かを見つめているような大人の自分をイメージして歌ってみました。

——そして、9太郎さんのソロ曲「顔面国宝！それなー」も収録されます。

はい！　初のソロ曲は歌詞も書かせていただきました。僕自身が昔からアイドルが好きで、その時に感じていた『アイドルオタクあるある』動画をSNSであげているんですが、その世界を改めて歌詞にしたのでサクサクと書けました。完成したものも、めちゃめちゃ可愛くて「理想を超える理想じゃーん！」って、とっても嬉しかったです（笑）。

——タイトルは、動画内でも活躍する「それなー」が活きていますね。

表記も「それな」にするのか「それなー」なのか大人数のスタッフとホワイトボードを使って真剣に会議をしたので、ベストな状態になりました（笑）。

——『末吉9太郎盤』には、メインの3曲のほかボーナストラックとして、SNSでも話題の15秒程度の「それなの歌」「全力それな」「爽快パンチ（Short ver.）」が収録されていたり、プロモーション用にMVも作成されたそうですね。

MVはCDには入っていませんが、SNS等で見れます！　オタクの部屋をめちゃくちゃ可愛く表現して、たくさんのCDを積んでいるのもこだわりです。サビは、ライブ風の映像になっていますが、集まってくれたファンの方たちが、よしえ（動画内での9太郎さんのキャラクター）のちょっとした仕草でも「かわいい！」って言ってくれて、“こんなに甘やかされていいのかな？”って幸せな時間でした（笑）。満足のいく仕上がりになっているので、ぜひ見てもらえると嬉しいです！

“アイドルにならないと幸せになれない”と思い続けた8年間

——では、ここからは仕事観について伺いたいと思います。小さい頃から、アイドルを目指していたそうですね。

はい、ずっとモーニング娘。さんになりたくて、コンサートにも行っていました。でも、募集要項に「女性のみ」と書かかれていて「なれないじゃーん（涙）」って。それで、中学2年からは色々なオーディションを受けて、大学3年生の終わりに今の事務所に入りました。

――オーディションを受け始めてからCUBERSに加入するまで8年の期間がありますが、その間、気持ちが折れることはなかったのでしょうか？

小さい頃からアイドルになりたいという思いだけで生きてきたので、「その夢を叶えないと自分は幸せになれない」と思っていたのと、「なれる！」という勘違いが支えてくれました（笑）。将来をイメージしても、アイドルになる未来しか想像できなかったので、気持ちが変わることはありませんでした。

——その時期にご自身で、ブログを作ったりしていたそうですね。

はい。自分でブログを開設して毎日投稿をしたり、お客さんが0人でもライブ活動をしていました。ブログを投稿して、環境をアイドルに近づけることで夢が近づくかもしれないと思ったんです。ライブもお客さんはいなかったけど、もしかしたらライブハウスにレコード会社の方が来るかもしれないですし。

——可能性の1つということですよね？

そうですね。だから、「その時の自分に出来ること」を考えて始めたのが、ブログとライブでした。結果、誰も読んでいないブログを1年続けたことで、今の事務所のマネージャーさんが僕のことを、「人気がある」と勘違いして声をかけてくれたのをキッカケにオーディションに受かりました（笑）。

ライブに来てくれる人が１人でもいる限り、仕事としての責任をもって取り組みたい

――憧れから職業になったと感じた瞬間はありますか？

CUBERSとして最初にステージに立った時から職業だと思っています。１人でも、時間を割いて、あるいはお金を払ってライブに来てくれる人がいることのすごさは身にしみて感じるので。

それと、ファンの方に「週末のCUBERSのライブを楽しみに学校（仕事）を頑張れます」と言われた時は、やっとそっち側（アイドル）になれたのかなと感じられた瞬間で嬉しかったですね。

CD販売のバイトをしたおかげで、オタク、アイドル、販売スタッフ、みんなの気持ちを理解できるようになれました

――ちなみにオーディションを受けていた時期にバイトはされているのでしょうか？

イタリアンレストランと、大手レコード店の外販部でバイトをしました。でも、めちゃくちゃ仕事が出来なくて（苦笑）。ビールサーバーの樽をセットしようとして天井までビールまみれにしたり、デザートに描いたチョコレートの文字が、ぐちゃぐちゃで呪文みたいだったり…。どれも教えてもらう前に聞かずにやろうとして失敗した自分が悪いんですけど…。今思えば先輩にちゃんと質問すれば良かったですね。

――レコード店はどうでしたか？

次は少しでも目指している業界に関わりたいと思ってレコード店を選びました。CDをコンサート会場に持って行って販売する外販部というところだったので、小さなライブハウスから大きなホールまで色々と行きました。

――休憩でライブが見れたりは？

スタッフの人数によって見られることもありました。印象的だったのは、きゃりーぱみゅぱみゅさんですね。ステージに着ぐるみがいっぱい出てきて、ちびっこたちもワーって喜んでいてとても素敵なライブでした。でも、それで満足したというよりは、「やっぱりあっち側にいきたい」「あのステージに立ちたい」という気持ちが強くなりましたね。

――ここでの仕事は上手くいきましたか？

相変わらずミスは多かったです。1人で担当をする会場で、特典券を忘れてしまって。CDを購入した方にお渡しするんですけど、「忘れたやばい！」って。結局は上司が気づいて持ってきてくれましたが、いつもと表情が違ったので「絶対に怒ってる！」って。結局、会社に戻ったら上司のさらに上の人に怒られました（苦笑）。

——動画等を見ていると、すごく頭の回転が早く感じるので意外です。

その特典券を忘れたら、お客さんにもアーティスト側にも迷惑をかける。当時は、そこまで考えていなかったんですよね。ちゃんと仕事の意味を考えることの大切さを学びました。経験したことで身になったし、責任感を持って仕事をする大切さを勉強させてもらったと思っています。

——バイトをしたことで今、役立っていることはありますか？

オタク側の気持ちは、自分がずっとアイドルオタクなので分かるし、アイドルは今CUBERSをやらせてもらっている。それに加えて、販売する側の気持ちも経験したことになるので、当時は意図していたわけではないんですけど、バイトをしておいて良かったなと思います！

アイドルオタクの気持ちを大事に今後も動画を作っていきたい

——現在は、SNSにあげている動画『アイドルオタクあるある』でも、多くの反響を得ていますが、動画を始めて感じることはありますか？

始めた頃は、DMで「私たちオタクのことをバカにしてのし上がって嬉しいですか？」と書かれたこともありました。でも、僕自身、学生時代は友だちもいなかったですし、ずっとアイドルを応援することで力をもらってきました。

ほかの人がアイドルに必死になる姿を見ても「そんな愛ってなかなかないじゃん!? ステキすぎない!?」って心から思うんです。その思いを大切に楽しく続けていけたらと思っています。

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

最近、「ランウェイを歩きたい」という新しい目標が出来ました。それは、今までは考えもしなかった夢なんです。イメージをすれば、目標に向けて歩き出せる。やりたいことがない人も、ほんのちょっとでも興味のあるところに身を置いてみたら好きなことに出会えるかもしれない。一歩踏み出すことを怖れず、一緒に頑張りましょう！

 

企画・編集：ぽっくんワールド企画　撮影：青木早霞（PROGRESS-M）　取材・文：原 千夏