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2020年04月02日

俳優・梅津瑞樹さんインタビュー「俳優は役を演じるだけではなく、観客にどんな影響を与えられるかが仕事」

梅津瑞樹 俳優 2.5次元 インタビュー タウンワーク townwork(*このインタビューは、ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇公演中止決定前に行われたものです)
ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇で新選組隊士・相馬主計(そうま・かずえ)に扮する予定だった梅津瑞樹さん。新型コロナウイルスの影響により、残念ながら全公演中止となってしまいましたが、タウンワークマガジンでは公演中止決定前にインタビュー取材を行っていました。シリーズ累計100万本を超える大人気ゲームを原作とした、新たな「薄ミュ」の顔を務める思いや相馬という人物を梅津さんがどんなふうに演じようと考えていたのか。そして、現在の仕事観も伺いました。

 

強さと弱さを併せ持った相馬主計は、新選組の中で一番寄り添いやすい人物だと感じた

梅津瑞樹 俳優 2.5次元 インタビュー タウンワーク townwork――まずは、出演が決まった時の感想から聞かせてください。

長く続いてきたシリーズの評価を、僕が主演となったことで落とすわけにはいかない。そして、錚々(そうそう)たるキャストがつないできた歴史を今後につないでいかないといけないというプレッシャーと緊張で吐きそうになったことを覚えています。しかも、相馬主計という役柄はこれまでの「薄ミュ」に登場していないキャラクターですので、そんな役柄を演じることへの責任も感じています。

――相馬を演じるにあたり、まずは原作のゲームから始めたとお聞きしましたが、他にはどんなことをされましたか?

史実における相馬とゲームにおける相馬の両方を調べたのですが、史実では結構不透明なことが多いんです。土方歳三の死後、相馬は新選組最後の局長となるも流罪となり、赦免(しゃめん)された後に割腹自殺を遂げたという説がある。そこに至るまでの葛藤や苦しみは、現代を生きている僕には想像もつきませんし、いくら心情を推し量ったところで理解できるものでもなく…。

――一方、ゲームのほうの相馬からはどんな印象を受けたんですか?

相馬は、自分はこうしたい、こうあるべきなんだという理想を追い求めて新選組に加わり、いろんな人との出会いの中で自分の信念をより確かなものにしていく。僕の想像でしかないんですけど、史実の相馬とゲームの中の相馬に、どこか共通する部分を感じました。

――そんなことをふまえつつ、今作の相馬はどんなふうに描かれているのでしょう。

台本を読むと、相馬は理想を追い求めて新選組に加わり、信念を曲げずに生きていきたいという強い意志がありながら、まわりから揺さぶりをかけられると、つい揺らいでしまう弱さもある人だと感じました。物語において、主人公というのは必ずしもヒーローである必要はないと僕は思っているので、相馬のもつ弱さ、人間らしい部分は客観的にみた時、お客様にも共感していただけるのではないかなと思います。

 

新選組隊士それぞれの生きざまと人間ドラマに注目してもらいたい

梅津瑞樹 俳優 2.5次元 インタビュー タウンワーク townwork――稽古に入って2週間強だそうですが、手ごたえはいかがですか?

相馬って、少し前に「成長しなきゃ」と強く誓ったばかりなのに、壁にぶつかっては落ち込む。そんなことを何回も繰り返すのですが、今回の物語は悩みながらも相馬が成長していくさまがポイントになると思うので、そんな相馬の心の揺れを、カーブを描くように演じることに難しさを感じています。

――スーパーヒーローではないからこそ応援したくなる主人公ですね。本番が楽しみです。

『薄桜鬼』に限らず、新選組を描いたどの作品も、それぞれの人物は世の中をよくしたい、この人の役に立ちたいという思いをもって新選組というコミュニティを描いています。今回の作品も新選組のメンバーひとりひとりが抱えた思いは様々ですが、向かっていく先は一つという生きざまをお見せしたいと思っています。

――ストーリーはもちろんのこと、歌や殺陣などのアクションにも期待が集まっています。

千鶴役の松崎莉沙さんをはじめ、皆さんとても歌がお上手で、稽古場で聴こえてくる歌声で今、耳が幸せなんですよ。ミュージカルですので、そのあたりにも注目していただきたいです。

 

自分の表現したいものを伝えられる手段が演劇だった

梅津瑞樹 俳優 2.5次元 インタビュー タウンワーク townwork――ここからは梅津さんご自身のお仕事について伺いたいのですが、俳優を志したきっかけは?

両親が芸術関係の仕事をしていたこともあって、幼少期からオペラやミュージカルが常に身近にある環境で育ったんです。中学・高校では演劇部に入り、大学も芸術表現ができるところへ進んで、メディアアートや立体彫刻、インスタレーションなどを学びました。教室を借りて個展なんかもやりましたね。

でも、就活のタイミングで、これから先、自分がどんなに面白い作品を生み出したとしても、誰も見てくれなければそれは存在しなかったも同じだと思って。僕の表現したいものを誰かに伝えられる手段は何だろうかと考えた結果、一番長く携わっていた演劇という答えにたどり着いたんです。そんな時に母が、鴻上尚史さんが主宰する「虚構の劇団」のオーディションを見つけ、そこから今に至ります。

 

人間の感情のぶつかり合いを受けとれることが、僕が演劇を続けている意味

梅津瑞樹 俳優 2.5次元 インタビュー タウンワーク townwork――そうして、俳優という道に進んだわけですが、社会へと出た時にどんなことを感じましたか?

これは演劇をしている人間だろうが、会社勤めをしている人間だろうが変わらないことだと思うのですが、世の中には本当にいろんな人がいて、自分とフィーリングが合う人もいれば、合わない人もいる。僕は中高一貫校に通っていたこともあって、すごく閉じられたコミュニティで過ごしていたんだなと。社会人になって初めて“大海”を知った気がしました。

――大海では、様々な出会いが待ち受けていたんですね。

演劇の世界でいろんな人と出会い、人間の生の感情を目の当たりにできることが特に楽しかったですね。だって、日常生活をしている中で100%の感情でキレられたり、泣かれたり、喜ばれたりって、そんな頻繁に経験できることではないじゃないですか。でも、舞台上ではそれをダイレクトに受け取ることができる。それこそが今、僕が演劇をやっている意味なんですよね。

 

原動力は自分の中にあるモヤモヤ。何かに背中をどつかれている感覚です

梅津瑞樹 俳優 2.5次元 インタビュー タウンワーク townwork――具体的にはどんな時に俳優としてのやりがいを感じますか?

俳優の仕事というのは役を演じるだけではなく、観てくださる方にどんな影響を与えられるかだと思うんです。自分が投げたボールで観客の心が揺れ動いてるのがわかると生きている実感がわきますし、“梅津瑞樹”ではない人物が起こしたアクションでありながら、僕自身の糧として蓄積されていく。そんな部分に面白味や醍醐味を感じます。

――誰かの人生に影響を与えられるのは、表現者ならではの体験ですよね。

役者をやっていなかったら、生の感情のぶつかり合いは人生で1、2回あればお腹いっぱいだと思うんですが、板の上(舞台)ではもっと、もっとと貪欲になってしまいます。あとは、舞台を観に来てくださる方からお手紙をいただく機会も多く、目に見えないものが誰かの生きる糧になれていることがとても嬉しいです。

――そんな梅津さんの原動力となっているものは何ですか?

僕は子どもの頃からあまり心が揺れ動かない性格で、ずっと何かに背中をどつかれているような感覚がありました。そして、「その感覚とは一体なんなんだろう?」と答えを追い求め、これでもない、あれでもないと今も走り続けています。それが見つからないことに対する怒りや鬱屈した感情がずっと自分の中にあって、これがなくなると多分何もできないと思うんですね。原動力は“自分の中にあるモヤモヤ”です。

――季節はちょうど新生活が始まる時期です。夢を追いかける若い世代へメッセージをお願いします。

僕も就活の時にすごく苦しんだんですよ。だって、就活って自分が市場に出るということじゃないですか。これほど緊張することはありませんよね(苦笑)。役者も同じで、作品ごとにオーディションがあったりするので、毎回競売にかけられている感覚です。就活は、社会で最初に自分をまな板の上にのせる機会。そこを乗り越えて社会へ出ることが大事だと思うので、まずは飛び出してみてほしい。そして、自分が本当にやりたいことを確かなものとして念頭におき、悔いの残らないようにしてほしいです。だって、自分の人生ですから。

 

■Profile
梅津瑞樹(うめつ・みずき)

1992年12月8日、千葉県生まれ。これまでの主な出演作に「デルフィニア戦記~動乱の序章~」、舞台『刀剣乱舞』慈伝 日日の葉よ散るらむ(山姥切長義役)、方南ぐみ企画公演 朗読劇『青空』、東映ムビ×ステ 舞台「GOZEN-狂乱の剣―」、ミラクル☆ステージ『サンリオ男子』~ハーモニーの魔法~、舞台「27-7ORDER-」など。4月29日~5月17日(東京・大阪)極上文學第15弾「桜の森の満開の下」~罪~、6月8日~8月2日(東京・兵庫・福岡・東京凱旋)舞台『刀剣乱舞』2020年新作公演に出演する。

◆OFFICIAL SITE: https://bam-boo.biz/actors.php?id=9
◆OFFICIAL Twitter:@MizukiUmetsu
◆OFFICIAL Instagram:@umetsumizuki

編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
ヘアメイク:山田亜沙美(LaRME)
スタイリスト:吉田ナオキ
取材・文:荒垣信子
衣装協力:blue in green PR

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