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2016年12月15日

俳優・山田裕貴インタビュー「短所は長所に転換できる」

山田裕貴 タウンワークマガジン瞳が印象的な若手俳優、山田裕貴。ここ数年、多くの映画やドラマでひっぱりだこで最新映画作品『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』にも出演。しかし、山田さんが俳優を目指した理由はコンプレックスからだそう。悩みが多かった学生時代を経て、自分の手で現状を打破した山田さんの生き方は学ぶことも多いはずです。

 

「野球選手の息子なのに…」この言葉に何度も苦しめられた

――山田さんは野球選手になる夢を諦めて、俳優へ転身したそうですね。転身への一歩を踏み出した理由はなんだったのでしょうか?

前向きの一歩ではなく、悔しい思いからの一歩だったんですよ。父親(山田和利氏)がプロ野球選手だったので、当たり前のように自分も野球選手になるものだと思っていました。けれど、どうしても野球では結果が出せなくて「プロ野球選手の息子なのに」と言われることも多く、コンプレックスを抱えていたんです。

そんな学生時代、父親が遠征から帰ってきて家族みんなでテレビや映画を観る時間がすごく好きで。父親がテレビに出ているのを観ながらカッコいいとも思っていました。だから、野球選手としてテレビに出ることはできないけれど、役者としてだったら出られるかもしれないと根拠のない思いつきが浮かんで…。

――コンプレックスがあったからこそ一歩が踏み出せたんですね。

まさにそうです。漠然と大学に行きたくないとも思っていたので、役者の道に進もうと高校を卒業して上京し、俳優養成所に通いはじめました。ファーストフード店や居酒屋でバイトをしながら、演技の勉強をしていてエキストラや舞台の組み立てなどをやっていました。

 

「俳優になるなんて無理」という周りの目にくじけそうになることもあった

山田裕貴 タウンワークマガジン――バイトをしながら目標に向かっていた頃はどんな毎日を過ごしていましたか?

毎日、くじけそうでしたね。周りも「頑張れよ」と言いながらも「たぶん、無理だろう」という雰囲気を出されていたし、「山田が俳優になれるわけがない」という目で見られているのもビシバシ感じていましたし(笑)。でも、僕には「絶対、夢なかばで地元には帰らない」という大きな覚悟があったので、くじけることはありませんでした。

――山田さんの覚悟はふつうの18歳よりは強いものだったのかもしれませんね。

上京するイコール「仕事を取りに行く」という気持ちでしたので、「ダメだったら帰ろう」なんて甘い考えはなかったです。その大きな理由は父親。やっぱり男って父親の存在を意識するんですよね。父は18歳でプロになって仕事をしていましたから、その時点で僕は負けている。常に負けを親という近い存在から与えられている気がしていました。でも、それだと負けっぱなしですから、高校卒業後は全力で頑張ろうと思ったんです。

 

「逃げなければ夢は叶う」という言葉は本当だった

_DSC9844――それで負けずに頑張った結果、俳優という夢を叶えることができたんですね。

よく「諦めずに逃げなければ夢は絶対叶う」なんて言うじゃないですか。あれは、成功したから後付けで言っているんだろ、と思っていたんですよ。

――確かに、思いますね。よく聞く言葉ですし。

でもね、ホントなんですよ。逃げないことで成功は近付いてくるんです。何が成功かは人によって違うかもしれないですけど、僕は自分がなりたいと思うものになれたら成功だと思う。だから、仕事が少ない時代でも「毎日をしっかり生きているだけで芝居の勉強になる」と考えて、後ろ向きに捉えることはありませんでした。

それを続けていたら、ありがたいことに仕事も増えてきて、今、こうやってインタビューを受けることもできていますし。

_DSC9873――ここ数年は印象に残る役柄が多いですよね。最新出演作『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』では主人公の福士蒼汰さんの友人、林を演じています。

福士と共演するのは2回目なんですけど、尊敬できる役者です。今回、僕が演じた林は福士演じる高寿と同じ美大に通う大学生。ムードメーカー的な存在なので、現場でも役柄に近い雰囲気を出そうとしていました。反面、福士は主役ということもあって責任をもつ意味でも少しピリッとした雰囲気をもって現場にいました。

撮影後、2人で食事をしながらそのことを聞いてみると「主役である責任は常にもっている」と言っていて、この人は“役者・福士蒼汰”なのだなと強いプロ意識を感じました。でも、食事をしているときや楽屋にいるときは、普通の男の子なんですよ(笑)。そのギャップがまたスゴイなと。

――監督の三木孝浩さんとは3回目の共演ですが、いかがでしたか?

やはり自分の成長を見てほしいという気持ちがありましたね。撮影後に監督と食事に行ったとき「どうですか?僕、変わりましたか?」と聞いちゃいました(笑)。

――おぉ!それで三木監督はなんて?

「山田くんはたとえワンポイントの出演だとしてもスクリーンに爪痕を残せる人。だから、こうやって一緒に仕事をしたいと思えるんだよ」と言ってくださって。すごく嬉しかったですね。三木監督は基本的に役者に任せるタイプの方ですが、少しつまずくと「こういうのはどう?」と演技のアイデアをくれるんです。それが勉強にもなるし、「あぁ、そうか!」と気づくことがとても楽しい。

映画自体も三木監督らしさがあふれていて、一見、せつないラブストーリーですが、たくさんの日々、見逃してしまうようなことを観ている人に届けてくれる。恋愛だけでなく、友達や親、仕事仲間が自分に対して何気なくしてくれたことや言ってくれたことの大切さに気づけると思います。

 

好きなこと、熱く語れることは何か。まずは自分を知ることが大切

山田裕貴 タウンワークマガジン――最後に先ほど山田さんが言っていた「自分のなりたいものになる」ために、まずやるべきことがあったら教えてください。

きっとみんな「あの子はこういう人」とか他人のことばかり見ていて、「じゃあ、自分は?」と聞かれたときに答えられない人が多い気がします。まずは自分を知ることがなりたいものになる第一歩。自分は何が好きで、何になら熱中できて、熱く語ることができるのか。それを掘り起こすと自分が進む道が見えてくるはずです。

そして、大切なのは短所が見つかったとしても、それを隠さないこと。短所が長所に変わることは多々あります。僕は自分が無個性であるという短所に気づいたとき、だからこそいろいろな役ができる役者になろうという発想に至ったので。短所を逃げる材料にしないでほしいですね。

 

■Profile
山田裕貴
(やまだ・ゆうき)

1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年俳優デビュー。主な出演映画作に映画『ホットロード』『ストロボ・エッジ』『青空エール』など。今年、舞台『宮本武蔵(完全版)』(脚本・演出:前田司郎)にて舞台初主演を務める。主演映画『闇金ドッグス4』公開中。今後は映画『闇金ドックス5』『破裏拳ポリマー』『あゝ、荒野』『二度めの夏、二度と会えない君』などが控えている。

取材・文:中屋麻依子 撮影:田辺さちこ

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