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2017年01月11日

自意識過剰を克服する方法│名越康文

名越康文 自意識過剰

自意識過剰で他人の目を気にするあまり、言いたいことが言えない、やりたいことがやれないという若者は少なくありません。自らの自意識と上手く付き合う方法や、克服する方法ついてテレビでもおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)にお話しを伺いました。

 

他人が敵に見えるから緊張する

Shy, anxious, timid man
ちょっとした会話の中で「あ、この人、自意識過剰だな」と感じることってありますよね。自分を大きく見せようとして、知らないことでも知っているふりをしたり、過剰に格好をつけてしまう。あるいは「人前に立って話そうとすると、どうしても緊張してしまう」といった悩みも、自意識過剰の一つの例といえるでしょう。

おそらく、この程度のことであれば、誰しも我が身を振り返った時には、多かれ少なかれ、心当たりがあるんじゃないでしょうか。

自意識過剰というのは、教科書的にいえば、「自分」というものを過剰に意識し、現実以上に自分を良く見せたいという思いで頭がいっぱいになってしまっている状態です。

これをもう少し心理学的に捉えれば、その人が自己、他者、世界をどう見ているかという、世界認識の問題に深く関係してきます。あえて単純化して申し上げれば「他人が敵に見えているか、味方に見えているか」によって、自意識過剰になってしまうかどうかは概ね決まるのです。

世界は過酷であり、他人は隙あらば自分を陥れようとしているに違いないと感じている人は、自分を等身大以上に強く、立派に見せなければいけないという動機づけが強くなります。一方で、世界は温かいところで、他人は必ず自分を応援してくれると信じている人は、無理に背伸びをする必要がありません。

つまり「自意識過剰」とは、その人の世界認識や他者認識に端を発する、ひとつの「症状」として捉えることができるということです。
 

身体から自意識をコントロールする

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自意識過剰の奥にあるのが世界認識や他者認識だとしても、それ自体を改めるのは、そう簡単なことではありません。なぜなら、そもそも世界認識や他者認識を「自覚する」ということ自体が、なかなか一筋縄にはいかないからです。

たとえば、「世界は過酷な場所で、他人を敵だとしか感じられない」という人に、「あなたの認識は間違ってますよ。ほら、みんな、あなたを応援してくれてるじゃないですか」とアドバイスしたところで、それはおためごかし(※)のきれいごとにしか聞こえないでしょう。人は、自分の世界観の中でしか、他人の言葉に耳を傾けることができないのです。

※人のためにするように見せて実は自分の利益を図ること

ただ、もしもその人自身に「自分はちょっと自意識過剰気味になっているかもしれない」という程度の自覚があるなら、対応できる可能性は十分にあります。たとえば、人前に立つと、どうしても自意識過剰になってしまうケースを考えてみましょう。この場合、心のどこかに、「この人達は自分を馬鹿にしようとしているんじゃないか」という不安があるわけです。まずは対処療法でも構わないので、この不安を払うようにする。

この時、僕がお勧めするのは「身体」からアプローチすることです。たとえば手のひらの中央には鎮心という、心が落ち着くと言われているツボがあります。そこを親指でグッと押しながら、何度か深呼吸をしてみる。

そうやって、少し身体がほぐれて落ち着いてきたら、今度は軽く目をつむって、その場に出席する人の顔を一人ずつ思い浮かべましょう。そして、一人ずつ「○○さん、幸せになってください」と祈ってみる。馬鹿馬鹿しいと思うかもしれませんが、そうやって一人ひとりの幸せを祈ることで、心の奥底にある他人に対する敵対心や緊張感がほぐれ、だんだんと不安が薄らいでいくのです。

周囲の人間が敵だとしか思えないからこそ「いいところを見せなければ!」と緊張する。大切なことは、心の奥底にこびりついた、そうした他者に対する敵対的なイメージをほぐしてあげることです。周囲の人間が、みんながニッコリと微笑みかけてくれているイメージを持つことができれば、自分を大きく見せる必要もなくなってきます。
 

集中力が自意識を吹き飛ばす

Female exercising on a spinning cycle
もちろん、そうやって不安を追い払っても、いざ、人前に立って話していると、だんだんと緊張が襲ってきて、自意識過剰な状態に戻ってしまうこともあります。そういう場合に備えて、少し俯瞰的に自分を見るトレーニングをしておくことも有効です。

遠くの方から、「緊張して、自意識過剰になっている自分」を眺める。そして「馬鹿だな、あいつ。何を緊張しているんだよ!」と笑いとばす。そういう「俯瞰的に自分を眺める自分」を作っておくと、ふと自意識が強くなってきたときに、我に返ることができるようになるでしょう。

最後にもう一つ。自意識過剰を根本から克服したいと思うなら、一番の近道は「大好きなもの」を見つけることだと僕は考えます。なぜなら人は、何か一つのことに集中し、没頭することによって初めて、「自分」という意識から手を離すことができるからです。

砂場遊びに熱中する子供のように、没頭できる何かを、あなたは持っていますか?
読書でも、ゲームでも、映画でも、何か自分が面白いと思うものに夢中になっているときというのは、自然と「私は」「俺は」という意識は消えていきます。人にどう見られているかよりもずっと大切な「これだ!」というもの。それを手にした時、自意識過剰の問題も、自然と消えていくでしょう。

自意識というのは「手放そう」と考えて手放すものではなく、気づいたときには手放しているものなのです。

 
※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。