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2018年02月23日

【コラム】学生時代にたくさんアルバイトを経験する価値(名越康文)

名越康文 夜間飛行

ひとつの仕事を長く続ける人もいれば、職を転々とする人もいます。大学生のうちは、いろんなアルバイトを経験して、さまざまな仕事について見分を広めたほうがいいという考えがある一方で、自分の気に入った仕事を見つけて、長くその仕事をすることで、学べることもあると思います。どちらの考え方に理があるのか、TVなどでおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)にご意見を伺いました。

仕事を通して学べることには2種類ある

夜間飛行
仕事を通して学べることって、僕は大きく分けて、2種類あると思うんです。1つは具体的なスキルや知識。でもこれって実は、それほど時間をかけなくても意外に、身につくものなんですよね。

もちろん、知識やスキルも、高いレベルを求めるのであれば10年、20年と積み重ねていく必要があります。ただ、アルバイトで仕事を取り合えず回していく範囲で言えば、そのために必要な基本的なスキルや知識というのは、意外と短期間で身につくものなんですよね。

そういう意味では、せっかく自由に辞めやすいアルバイトで働いているのだから、ある程度知識やスキルを吸収したら、どんどん違う仕事にチャレンジする、というのも、考え方のひとつだと思います。

ただ、仕事を通して学べることには、もうひとつ、まったく別種類のことがあるんですね。そちらを求めるのであれば、一つの仕事にじっくり取り組む、という選択肢もある。

それは「人」を通した学びです。

「すごい人」がいたら、辞めずにゆっくり続けてみるといい

夜間飛行
どの職場にも、仕事がめちゃくちゃできるとか、とにかく人望があるとか、いろんな面で「すごい人」がいると思います。あなたが尊敬できる「すごい人」から学ぶことというのは、それこそ時間をかければかけるほど、途方もない質と量になっていきます。

研修医のころ、僕はWという看護士長さんにすごくお世話になりました。彼(男性の看護士長さんなんです)と一緒に仕事をさせていただいた時間は、いまでも僕の大きな財産となっています。

ですから、もしアルバイト先に「ああ、この人はすごい人だな」と思う人が職場にいるようなら、ちょっとゆっくり腰を据えて、その職場で働くのも良いと思います。そこで、その人を通じて学べることは、単なるスキルや知識を超えた深い「力」として、あなたの人生を下支えしてくれるようになるでしょう。

的確な判断力は仕事の中でしか学べない

夜間飛行
なぜ、職場に「すごい人」がいると、学びが深まるのか。

まずは端的に、「判断の現場」に立ち会うことができるからです。仕事をしていく上で知識はもちろん大切です。しかし、知識というのは「判断」や「行動」の結果を積み上げたものにすぎません。

仕事の現場では常に、課題があり、判断があり、解決するという連鎖が起きています。「すごい人」は何が「すごい」かといえば、知識がすごいのではなく、課題・問題が起きた時の一瞬の判断が抜群に「すごい」のです。

「自分だったらあんな発想はできない」という驚きは、「すごい人」とともに働くことによって得られる最大の学びと言えます(それを学ぼうとする人にとっては、ですが)。

自分の判断を誰に、どのタイミングで、どのような言葉で伝えているか。これも「すごい人」は的確です。そのことに「へぇー、そうか。そうやってるんだ!」と驚くたびに、あなたの実力も確実に培われています。

恐れや不安も学びになる

夜間飛行
このように、目的を共有して、一つの仕事を共にやり遂げるという中でしか、学べないことがあります。

しかし、「できる」人と一緒に仕事をする時、私たちの心の中に生じるのは、ただ単に「すごいなぁ」という尊敬や「自分もいつかこうなりたい」という憧れだけではありません。

そこには必ず、恐れや焦り、不安など、さまざまな感情が伴うはずです。「自分は一生、この人のようになれないのではないか?」という焦りや絶望は、人生の中で経験するネガティブな感情の中でも、ひときわ深いものになることもあります。

しかし、このネガティブな感情が、学びを深めるスイッチになることがあるんですね。

「自分の仕事に不備はないだろうか?」
「こんなすごい人から見たら、自分はどれほどちっぽけに見えているのだろう?」
「自分が足を引っ張ってしまったらどうしよう」
「このまま仕事を続けていて、自分はこの人のように成長できるのだろうか?」

……相手に対する尊敬や憧れとともに、さまざまな不安や恐れ、焦りが、あなたの中に葛藤を生じさせる。その葛藤の中で初めて、人は自分の壁を乗り越えることができるのだと私は思います。

逆に言えば、学生時代のアルバイトというのは、そういう「すごい人」との出会いを求めて、転々と職を変え続けることができる、貴重なチャンスだということもできるでしょう。

運命的な出会いがあるまで、ぜひ、いろんなアルバイトにチャレンジしてみてください。

※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。