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2019年02月27日

【コラム】「仕返しをしたい」と思ってしまったときの対処法(名越康文)

名越康文 夜間飛行 メルマガ 仕返し やり返す タウンワークマガジン コラム

他人から嫌なことを言われたり、先輩からひどい仕打ちを受けたとき、ついカッとなってしまう。そういうとき、実際に行動に移さなくても、「仕返ししたい!」という衝動に駆られてしまったことはないでしょうか。そんなときの対処法について、TVなどでおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)に答えていただきました。

仕返しがしたくなってしまったら

電車の中で靴を踏まれたり、すれ違いざまにちょっと肩が触れたりといった、ほんの些細なできごとであっても、そういう衝動にかられてしまうことがあります。
実際に言い返した経験がある人もいらっしゃるかもしれません。

嫌な目にあったからといって、いちいち相手に罵詈雑言を浴びせてやり返しても何もいいことはないということぐらい、誰もがわかっています。ですから、「やり返す」という行為を抑えることは、そう難しいことではないかもしれません。
ただ、その一方で「やり返したい気持ち」というのは、なかなか抑えるのが難しいものなんです。

恥ずかしい話ですが、私もいまだに、他人の言動に対して、イラッとしてしまったり、心の中でやり返したくなることがあります。Twitterを見て腹をたてることもあれば、疲れて家に帰ったときに家族から他愛ないことを注意されて、思わずイラッとしてしまうことだって過去にはあります。

その場を離れる

名越康文 夜間飛行 メルマガ 仕返し やり返す タウンワークマガジン コラム
「やり返したい」という気持ちを鎮めるためにはどうしたらいいか。まず思いつくのは、「その場を離れる」という方法です。意外にこれを知らない人がとても多いのですが、少なくとも、心理学を知っている人の対処療法としては「これしかない」というぐらいの定番なんです。

嫌な思いをさせられた当の相手が目の前にいると、どうしても「やり返したい」と思ってしまうのが人間です。ちょっと想像してみてください。自分が「やり返したい」と思うほど腹立たしい相手が目の前にいる。その場にいたまま、自分の感情を鎮めて、平静をとりつくろい、穏やかに過ごすことができるでしょうか。
普通はなかなか、感情に打ち勝ち、冷静でいることは難しいでしょう。

ですから、まずは相手と物理的に距離を取る。怒りをぶつける相手が目の前にいなくなるというだけでも、やり返したい気持ちをある程度、払うことができます。
家族の言動にイラッとしてしまったら、とにかくリビングを離れて、自分の部屋に戻る。そのまましばらく、お気に入りの本を読んだり、Twitterをチェックしたりして時間を過ごしていれば、だんだんと心が落ち着き、平静に戻ってきます。相手にどう返事するかは、それから考えても遅くはないわけです。

あまりにも腹が立ったら、いったん家を出て、行きつけのカフェで仕事をしたり、公園を散歩したり、お寺や神社を訪れて、お参りをしてもいいでしょう。そうこうしているうちに、たいがい「そんなに怒るようなことでもなかったな」と思えるようになってきます。

感情は場に支配される

名越康文 夜間飛行 メルマガ 仕返し やり返す タウンワークマガジン コラム
「その場を離れる」というのは、目の前の人に対して怒りや憎しみの感情を抱いたときの対処法のひとつとして、僕自身の経験的にも、非常に効果的な方法です。
ではなぜ、「その場を離れる」ということで、心を落ち着けることができるのでしょう?ひとつは、目の前の相手から距離を置くことによって、心を落ち着けることができるから。これは、直感的にもイメージしやすい理由ですよね。

ただ、「その場を離れる」ことには、もうひとつ重要な効用があります。それは、「場の空気」から自由になる、ということです。
人間の感情って、かなりの部分が「場の空気」に支配されています。たとえば、いつもピリピリと張り詰めた空気の職場で働いていると、自分自身もつい、いつもよりも些細なことで怒ってしまったりするということもあります。

逆に、神社やお寺のような、静謐な場所にいるときはどうでしょうか。心が落ち着いてきて、爽やかな気持ちになれますよね。森林や草原など、豊かな自然に囲まれた場所にいるときも、明るく、穏やかな気持になれます。
そんなふうに、僕らの感情は、その場がもつ空気に、大きな影響を受けているんです。

人の心を明るくしてくれるような良い空気の場もあれば、心を暗くして、鬱滞させてしまうような、澱んだ空気の場もあります。良い空気の場にいるときは特に問題が起きない相手でも、空気が澱んだ場にいるときには、ちょっとしたことで怒りがわきおこり、つい他人に仕返しをしたい衝動に駆られてしまうということがある。

場が持っている空気を意識するようになると、だんだんといろんな場の空気の違いに敏感になってくるはずです。自宅の中であっても、リビングの空気と、自室の空気は違っているはずです。日差しが差し込むリビングの空気は爽やかで明るいかもしれないし、家の隅にある押し入れの近くは、暗く、ずいぶん澱んだ空気に感じるかもしれません。

人の感情は「場」に支配されている。このことを理解できると、目の前の相手に仕返しをしたい気持ちに囚われたときに「その場を離れる」ということが非常に有効な手段だということが、さらに納得できるんじゃないかと思います。

「その場を離れる」のは、相手を無視することとは違う

名越康文 夜間飛行 メルマガ 仕返し やり返す タウンワークマガジン コラム
その場を離れて、目の前の相手から距離をとる。こう聞くと、「相手を無視する」ということだと勘違いされる方がおられます。でも、「その場を離れる」ことと、「無視する」ことはまったく違うというのが、僕の考えです。

というのも「無視する」というときには、心のなかに「自分にひどいことをした相手に仕返しをする」という意図が既に含まれてしまっているからです。「その場を離れる」というのは、相手に仕返しをする意図ではなく、とにかく緊急避難として、そしてお互いの為に、その場から離れるということなんですね。

この場所にいると、自分の中に湧いてきた「やり返したい」という気持ちから自由になれない、と思ったら、迷わずその場を離れるべきです。あくまで「何気なく去る」(笑) 。これが大事なんです。

やり返す気持ちのある時は必ずと言ってよいほど、トビラを強めにバタンと閉めるとか、フン! という感じで体や首のキレが、むやみに勢い良くなってしまうものですが、これらを制御するのは、一つの技と言っていいでしょう。

場合によっては、相手を無視するわけではなく、きちんと「あなたとの関係性を修復する意図を私は持っています。でも少し時間を置きたいです」ということを相手に伝えることも、「その場を離れる」ときには大切だと思います。

 
※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『驚く力 さえない毎日から抜け出す64のヒント』(夜間飛行、2013)などがある。
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