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2020年02月14日

【悩み相談】「人と深く関わることができません」(名越康文)

名越康文 精神科医 夜間飛行 メルマガ 悩み相談 タウンワーク townwork

いつも同じ誰かと一緒にいるのが苦手で単独行動をしがち。今はいいけど、ずっとのこのまま孤独だったらと考えると不安になる。そんな悩みについて、TVなどでおなじみの精神科医・名越康文先生(@nakoshiyasufumi)に答えていただきました。

 

いつも誰かと一緒にいることが苦手です。

【悩み】

人との深い関わりを避けてしまうことについてご相談です。普段仲間の集まりも、一人で行動するのも好きですが、いつも同じ誰かと一緒にいるのは苦手で単独行動をしがちです。今後パートナーができたとして、自分の気持ちのせいで相手を嫌いになってしまったら辛いし、ずっとこのまま孤独だったらと不安になります。アドバイスいただけたら嬉しいです。

 

「週○日以上会う」から仲良しという常識は間違い

【名越先生の回答】

ああ、僕もまったく一緒ですよ! 僕もね、いまはバンド仲間で集まってわいわいやるのはとても幸せです。でも、一人で行動するのがとっても好きなんです。

一つ助言していいですか。僕は、すごく気の合う友人とであっても「1週間1回会う」ので、もうトゥマッチ。お腹いっぱいなんです。どんな親友でも、せいぜい2週間にいっぺん会えばいいところです。

朝日新聞のチーフまでやって、40ぐらいで新聞社辞めて今、鳥取でひとりで本書いている友人がいるんですけど、彼は本当に僕にとって気心の知れた数少ない友人のです。でも、彼ともやっぱり、3年くらい会ってません。そんなものなんです。

でもね、世の中には「なかよし」っていうのは「週に3日以上会う」とか「毎日のようにLINEをやりとりしている」みたいな常識が広がっていると思うんです。まず、この常識をやめなきゃいけないんじゃないですかね。

 

一度も会ったことがなくても人と人との関わりを感じるケースはある

ちょっと変な例で申し訳ないんですけど、僕がスティービー・ワンダーの音楽に出会ったのは、中学3年生の時なんです。「キー・オブ・ライフ」っていうアルバムを友達から借りたんですけど、最初はものすごく拒否感があったんです。「いや、たしかにこれもいいかもしれないけど、ウイングスのほうがいい」とか言って。

でもね、結局それから2週間後にレコード屋さんにいって買ってきて。確か5000円したんじゃないかな。当時の中学三年生の5000円って、めちゃくちゃ大金ですよ。それから毎日聴きました。日本に来るって聞いたのはそれから二年くらい後だったかな。もう夢の中までスティービー・ワンダーが現れましたね。

僕はスティービー・ワンダーには会ったこともないわけです。でも、高校生の僕の人生にもっとも深く影響を与えたのはスティービー・ワンダーです。その後、ライブにも行きましたけど、たぶんトータルで10回くらいしか、生のスティービー・ワンダーをみていない。でも、僕の人生を根底から変えました。

「人と関わる」って、突き詰めれば、そういうことなんです。時間の長さはまったく関係ない。だからね、「1人になる」っていうことは、別に孤独でもなんでもないと僕は思います。それは恋愛して、結婚していたってそうです。「お互いに、自分の好きなことに没頭していたい。でも、あなたのことはすごく大好きだ」という関係性だってある。

世間的な常識なんか吹っ飛ばして、あなたらしい生き方の中で、親友や友人、あるいは恋人を見つけたらどうかな、と思うんです。意外に、そういうパートナーはいると僕は思いますよ。

たとえば僕の友人には、研究者同士のご夫婦というのもいます。そういう人って、互いに家でもずっと研究したり、考え事をしている。そして、お茶を持ってきてくれたパートナーに「ああ、ありがとう」って。そんな人ですよ。

 

心の通わせ方に常識や平均値はない

愛情とか、心の絆というのは、決してステレオタイプ化できるものじゃないんです。あなただけの、あるいはあなたと友人、あなたと恋人だけにしかわからないような心の通わせ方というものがあって、それは何も特殊なものではない、いやたとえ特殊でもいっこうに構わない、ということなんです。

これまでの人生に出会った人が、誰一人、あなたとうまく心を通わせられなかったとしても、それはあんまり関係ないことなんです。自分のことをふっとわかってくれる人との、たった一回の出会いで、その人の人生が変わるということは、世の中にはいっぱいある。その現実と比べたら、いわゆる「常識」という名のどうでもいい「平均値」というのは、捨ててしまってもいいんじゃないかな、というのが僕からの変な助言です。

ご参考になればうれしいです。そしてどうか、「あなた流」の幸せを、どうか手に入れてください。

 
※この記事は公式メルマガ「生きるための対話」よりお届けします。

企画:プレタポルテby夜間飛行

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精神科医・名越康文名越康文(なこしやすふみ)
1960年、奈良県生まれ。精神科医。臨床に携わる一方で、テレビ・ラジオでコメンテーター、映画評論、漫画分析など様々な分野で活躍中。著書に『毎日トクしている人の秘密』(PHP、2012)、『自分を支える心の技法 対人関係を変える9つのレッスン』(医学書院、2012)、『Solo Time 「ひとりぼっち」こそが最強の生存戦略である』(夜間飛行、2017)などがある。 2019年より会員制ネットTV「シークレットトーク」を配信中。
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