コミュ力養成講座 第7回「グイグイ来る人」(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
人見知りや超体育会系、忙しぶる人など、迷惑まではいかないまでも、なんとなくコミュニケーションがとりづらい人たちっていますよね。そんな一筋縄ではいかない人たちともお近づきになれる攻略法をご紹介!
●今回の登場人物
好井亜里(すくい・あり)
22歳。彼氏いない歴=年齢の新卒OL。
人間観察が得意で、社会人になって改めて「いろんな人がいるんだなぁ」と思い悩み、コミュ障をこじらせ気味。それでも、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思っている。とりあえずの目標は「目指せ仲良し100人!」。
勢木 行恵(せき いくえ)
30代。人と打ち解けるのは大得意だが、相手の話やペースに合わせる気持ちが薄い。
第7回:グイグイ来る人
①人の話に割って入る
②自分のペースを押し付けがち
③しつこい
④誰とでもすぐ仲良くなる
悪気がないので注意しづらい、しかも実は打たれ弱い
今回のお相手は「グイグイくる人」。
何をするにしても積極的な人は魅力的に映るものですが、いきすぎてしまうと途端に面倒な人に反転してしまいがちです。彼ら彼女たちには、以下のような「いきすぎポイント」があると言えるでしょう。
・行動力があるがあまり、自分のペースを強引に押し付ける
・興味がありあまるがために、しつこくなる
・仲良くなろうとするがあまり、プライベートへの踏み込みが早すぎる
TPOお構いなし、いつでもどこでもグイグイな彼ら彼女らですが、さらにやっかいなのは、本人に悪気がなさそうだという点。注意しづらい…という面倒くささも彼ら彼女たちは兼ね備えているのです。
注意しづらいどころか、下手に“注意しないほうがいい”場合が多いのも、知っておくべきポイントです。注意すると逆上してしまう、というわけではありません。その逆です。
グイグイな人たちは攻撃特化スタイルである反面、実は非常に打たれ弱いという特徴があります。
一般的には「ダメなら何度でも!」的な強心臓の持ち主だと思われているかもしれません。しかしそれは、今この瞬間の提案を拒否された場合限定のこと。
「ダメかダメじゃないか自分でどう思う? そういうこと、今まで考えたことある? それでこの先もやっていくつもり?」など、理詰めで追い込まれたが最後、「あれ? 私って、おかしい…の?」となり、自然とこれまでのグイグイが嘘のようにコミュニケーション迷子になってしまうのです。
これは得策とは言えません。確かにグイグイは面倒ですが、だからこそ仕事で成果を出すこともあるでしょうし、彼ら彼女たちのおかげで生まれる出会いもあるからです。
ベストは断交せず、個性を消さず、かつグイグイをいい感じに活かすコミュニケーション。果たしてそんなことが可能なのでしょうか? おや? 亜里ちゃんがデスクを立ちましたよ…。
1歩目:会話の割り込みには“ガン見”が有効
2歩目:その場で決めない
3歩目:断る時に理由をつけない
4歩目:切り込み隊長の役割を与える
【解説】
自分のペースをキープできれば、強い味方にもできる
グイグイ来る人と接する際は、いかに自分のペースを保つか、がポイントです。
グイグイ来る人のペースに合わせるだけ合わせておいて、後から「本当はイヤだったけれど、あなたがグイグイ来るから仕方なく…」と、奥の手でひっくり返すこともできますが、大人のコミュニケーションとしてはフェアではありません。気まずさしか生まないので、なるべく避けましょう。
ではどうすればよいのか? 残念な思い出を掘り起こしながら、ひとつずつ見ていきましょう。
まずはグイグイ来る人によくやられてしまう、会話の割り込み。
「今、私が話しているので後にしてもらえます?」なんてはっきり言うことができればいいのですが、なかなか勇気がいるものです。しかもそれで相手を取り返しても、微妙な空気になってしまいます。かといって、諦めて身を引くのもモヤモヤしますし、会話が終わるまで放置されるのも「なんの時間だろう、これ…」という感じです。
そんな時は割り込んできた人ではなく、割り込みを受け入れた相手をガン見しましょう。
「え? まさか、私はこのまま放置するんですか? ウソでしょ? 正気ですか?」という驚愕の眼差しを送り、一旦こちらに意識を戻すのです。
目が合ったらどちらを優先するかを選ばざるをえないので、負けるにせよ勝つにせよ、放置されるムダな時間はなくせるでしょう。ガン見で「正気ですか?」感を強く出せれば出せるほど、あなたの勝率はアップします。
勢いで予定を押し付けられてしまう、というのもあるあるです。
その時は勢いに飲まれてついOKしてしまったものの、あとで冷静に考えてみたら全部彼ら彼女たちの都合優先…なんてことも。
そんなモヤモヤを回避するためにも、グイグイ来る人の提案はとりあえず全部保留にする、と強く心に誓っておきましょう。「内容によっては…」なんてゆるい気持ちでは、勢いに負けてしまいます。最初から何を言われようと「返事は後でする」をルーティンにしてください。
それで一旦は引き下がってもらったとしても、グイグイな人が本領を発揮するのはここから。
熟考のすえにOKするぶんには、もちろんなんの問題もありません。けれども、お断りを入れるのは難航を極めます。「え~、いいじゃんいいじゃん」とか「とか言いながらも~?」などと言いながら、しつこく誘ってくるからです。
なぜ、グイグイな人たちは諦めないのでしょう?
それは、こちらの断り方に問題があるからです。もっと言えば、「交渉すればワンチャンあるかも」感を図らずも演出してしまっているからです。
マンガの例で言えば、亜里ちゃんがもし貸さない理由に「壊れるとイヤだから…」と言ったとしたら、「すごい丁寧に使うから!」と、謎の交渉が始まってしまいます。すると、また別の断る理由を考えなくてはいけなくなります。理由を絞り出せたとしても、また交渉、さらに理由、からの交渉…となり、最後はこちらが折れてしまう、というのも、あるある。
断る際は「ダメなものはダメ!」「理由はない!」と交渉の隙を作らないことが大切です。
最後はグイグイくる人の活かし方。
彼ら彼女たちの長所は間違いなく、類稀なる積極性です。たとえば声をかけたいけれど、勇気が出ない、どう切り出していいかわからない、なんていう時、彼ら彼女らほど頼もしい存在はありません。
ハマれば便乗できますし、たとえ声をかけられた相手が戸惑ってしまったとしても、「急にすいませ〜ん」とあなたがフォローすれば、つかみはOK。それを「いいように使いやがって!」なんて思うタイプではなく、基本的に明るい性格なのもいいところです。
彼ら彼女たちの欠点を「欠けている点」ではなく、「欠かせない点」と見ることができれば、あなたのコミュ力もグイグイ上がることでしょう。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP: http://www.miwah.com/
twitter: @kamatamiwa
●最新著書
KADOKAWA 刊
1,100円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
2017年12月19日発売!
ジービー 刊
1,404円(税込)
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●著書
宝島社 刊
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