コミュ力養成講座 第9回「八方美人な人」(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
人見知りや超体育会系、忙しぶる人など、迷惑まではいかないまでも、なんとなくコミュニケーションがとりづらい人たちっていますよね。そんな一筋縄ではいかない人たちともお近づきになれる攻略法をご紹介!
●今回の登場人物
好井亜里(すくい・あり)
22歳。彼氏いない歴=年齢の新卒OL。
人間観察が得意で、社会人になって改めて「いろんな人がいるんだなぁ」と思い悩み、コミュ障をこじらせ気味。それでも、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思っている。とりあえずの目標は「目指せ仲良し100人!」。
八方 良雄(はちかた よしお)
30代。八方美人な同僚
第9回:八方美人な人
①どこの集まりにも顔を出す
②なんでも安請け合いしてしまう
③すぐにはしごを外す
④嫌われる人にはとことん嫌われている
愛想が良くても下心が透けて見えてしまう「八方美人」
数ある「○○美人」の中でもっとも不名誉な美人、それが八方美人(筆者の主観です)。誰しも人に嫌われたくはないものですが、それが度を過ぎてしまい、いつでもどこで誰にでもいい顔をしてしまうことで、逆に評判が悪くなってしまう人たちです。
みんなに好かれるため愛想よく振る舞っているのに、彼ら彼女たちが愛されキャラにも人気者にもなれない理由――それは「保身」という下心が透けて見えるからでしょう。
最初こそ「人当たりがよくて気が利く人」という印象ですが、次第に「他の人に言っていることと自分に言っていることが違う……」「知り合ってからしばらく経つけど、上辺だけ感がぬぐえない……」「相手の立場によって立ち位置がコロコロ変わる……」など、その言動に不信感が募るばかり。気づけば、まともに向き合うことがバカらしくなってしまうほどです。
彼ら彼女たちと接する際、特に注意しないといけないのは、頼み事をするときです。基本、快く引き受けてはくれますが、本当にできるかどうかは別の話。“できる・できない”で判断しているのではなく、「断ると嫌われる……」という不安に駆られて引き受けている可能性が往々にしてあるからです。
期日になって蓋を開けてみたら全然できていない、またはできていても使い物にならない、なんてことは日常茶飯事です。
さらに厄介なのは、彼ら彼女たちの“嫌われたくない対象”が、その場のヒエラルキーによってころころ変わってしまうこと。時に上司、時に将来有望な同期や後輩など、その場でいちばん嫌われたくない人の意見に合わせようとするため、対象が逆の意見を言おうものなら光の速さでハシゴを外しにかかります。
せめて申し訳ない顔ひとつでもしてくれれば、「立場もあるし仕方ないか……」と堪えることもできますが、「僕は最初から、ずっとそう思ってました!」感全開。それを信頼するほうが、どうかしているレベルです。
そんなこんなで上司には気に入られることはあっても、彼ら彼女たちは同期や後輩からはほぼ相手にされていないか、とことん嫌われるかのどちらかです。いるだけでチームの空気は悪くなり、士気もダダ下がり。何かよい対処法があればいいのですが……。おや、見かねた亜里ちゃんが動き出したようです。
1歩目:顔の広さを情報源として活用
2歩目:水際で頼まれごとを断ってあげる
3歩目:上司よりも先に意見を言わせる
4歩目:嫌っている人と共通の目標を提供する
【解説】
まずは八方美人さんのポジティブ面に目を向けてみましょう。
八方美人の良いところは「理由はさておき、人当たりがよくフットワークが軽い」、これに尽きます。彼ら彼女たちは誘いを断らずにいろんなところに顔を出すため、深い浅いはさておき、交友関係が広いのです。同じか近しい業種であれば、彼ら彼女たちがどこかしらでつながっている可能性は高いでしょう。
これは、たとえあなたが初対面の人と会う場合 であっても、八方美人の彼ら彼女たちから事前に相手の情報を入手しやすいことを意味します。初対面でも事前情報があれば、早く打ち解けるための準備もできるというもの。
もし彼ら彼女たちが直接知らなくても、「なんでもいいんで、どこかから情報をゲットできないですかね~? 頼れるの○△さんしかいないんですよ」とお願いすれば、いとも容易く有意義な情報を入手してくれることでしょう。
このようなお願いを聞いてもらうには、八方美人さんが安請け合いしまくってキャパオーバーになるのを未然に防ぐ必要があります。
正直言って面倒ではありますが、最終的にキャパオーバーのしわ寄せは周囲にいるあなたたちに回ってきます。できる範囲でOKなので、監視しておくのが無難でしょう。情けは他人のためならず、です。
注意したいのは、本人に直接「できないことは引き受けないでください」と釘を刺してもムダだということ。それができないから「八方美人」と言われているのです。できないからといって、非難するのも、やめてあげましょう。
ハシゴ外しを強制的に止めるメソッドも、覚えておいて損はありません。
ヒエラルキーのトップの発言次第で彼ら彼女たちの意見は変幻自在。だから決まって、ヒエラルキーのトップのあとを見計らって発言します。
ですから必然的に、事前に得たバックアップの約束はトップの発言次第で即無効化されます。そのため、何がなんでもトップより先に発言させるのが肝要です。
基本的に周りの意見に合わせる人たちなので、会議に限らず、本音を聞きたい時はいちばん最初に意見を求めるとよいでしょう。
八方美人さんを嫌っている人との橋渡しも、あなたが気まずい空間に身を置きたくないなら、やっておくことをおすすめします。
人間、誰しも共通の目標を達成すれば、お互いに憎からず思うものです。たとえば何人かでボーリングに行き、同じチームにして対戦するだけでも効果はあるでしょう。
もしも「あいつが行くなら行かない」というレベルくらい、八方美人さんが嫌われているようなら、重いものを一緒に運ばせる、程度でも構いません。ゴールがある何かを一緒にやらせて、達成させるというのがポイントです。
彼ら彼女たちが誰にでもいい顔をしてしまったり、合わせたりしてしまうのは、自信のなさに原因があります。ほめることで自分の考えに自信をつけさえすれば、意見がブレることは少なくなるでしょう。なるべく肯定してあげることで、彼らは八方美人という鎧を脱ぎ捨てることができるのです。とはいえ、けっこう時間はかかるかもしれません。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP: http://www.miwah.com/
twitter: @kamatamiwa
●最新著書
KADOKAWA 刊
1,100円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
2017年12月19日発売!
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
宝島社 刊
1,296円(税込)
※文中の社名・所属等は、取材時または更新時のものです。