コミュ力養成講座 第11回「カタカナ語を使いたがる人」(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
人見知りや超体育会系、忙しぶる人など、迷惑まではいかないまでも、なんとなくコミュニケーションがとりづらい人たちっていますよね。そんな一筋縄ではいかない人たちともお近づきになれる攻略法をご紹介!
●今回の登場人物
好井亜里(すくい・あり)
22歳。彼氏いない歴=年齢の新卒OL。
人間観察が得意で、社会人になって改めて「いろんな人がいるんだなぁ」と思い悩み、コミュ障をこじらせ気味。それでも、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思っている。とりあえずの目標は「目指せ仲良し100人!」。
片金 司(かたかな つかさ)
30代 カタカナ語を使いたがる先輩
第11回:カタカナ語を使いたがる人
①会話にカタカナ語が多すぎる
②(カタカナ語を)ニュアンスで使っているので日本語で説明できない
③勝ち組か負け組にこだわる
④人脈自慢をしたがる
自分が「カッコいい」「デキる人」と相手に思わせたい意識がとにかく高い人
エビデンス、アサイン、アジェンダ、レジュメ、スキーム、フィックス…etc、会議や企画書で当たり前のように飛び交う、わかるようでよくわからないカタカナ語に戸惑うシーンは多いものです。
これらカタカナ語を使いこなす先輩を「カッコいい!」「デキる人!」と思う人もいるでしょうが、一方では「日本語で言えや!」とイライラする人も多いため、使いどころには注意が必要です。
彼ら彼女たちのカタカナ語にイラッとさせられる要因は、本来なら日本語で言ったほうが伝わるし、馴染みのある言葉をあえてカタカナ語にしている、という点です。
コミュニケーションの基本は“相手にわかりやすく伝える”こと。にもかかわらず、彼ら彼女たちは一生懸命その真逆を突き進んでいるのです。イラッとされるのも無理はありません。
なぜ、彼ら彼女たちはそんなことをするのでしょう?
それは、「最新カタカナ語をさらっと使うオレ(私)、カッコいいでしょ」というアピールに他なりません。コミュニケーションを潤滑にするよりも、カッコつけたい欲が勝っているというわけです。なので、2コマ目のように、ちゃんと理解していないけれどカッコいいから使っている、なんて残念なシーンに出くわすこともしばしばでしょう。
基本がカッコつけなので、カタカナ語を多用してくる以外にも面倒な言動は枚挙にいとまがありません。
3コマ目のように、その時の自分の価値観(自己啓発本や意識高い系仲間の受け売り)に照らし合わせて、人を「勝ち組」「負け組」と決めつけたりもします。
そして、それに伴う4コマ目の「人脈自慢」も彼らの“あるある”でしょう。知人の話をする時は、まずその人の肩書きをつけるのですが、内容にはまったく関係がありません。ただ「そういう肩書きの人と知り合いなんだよ」というアピールをしたいだけなのです。
その他の特徴としては、カフェのテラスでMac b○○k Airを広げがち、SNSの自己紹介が盛り盛り、異業種飲み会大好き、などが挙げられます。いずれもあからさまなので、初見で「あ、カタカナ語を使いたがる人なんだろうな…」と見破りやすく、避けるのはカンタンでしょう。
とはいえ、同じ職場やチームになったらうまくコミュニケーションを取って、少しでも面倒臭さを削っていきたいものです。
1歩目:もう一度、聞き返す
2歩目:影響を受けているアピール
3歩目:勝ち負けの価値観が違う人をぶつけてみる
4歩目:人脈自慢には関係性を詰める
【解説】
基本、聞き返せばカタカナを封印することは可能。影響を受けているアピールも効果的
もはや日本語で話しているのかもわからないくらい、カタカナ語を詰め込んだ先輩からの指示――これをやめさせたい時は、意味がわかる、わからないにかかわらず、もう一度聞き返すとよいでしょう。基本、2度目はほぼ日本語で言い直してくれるはずです。
そもそもカッコつけるためにカタカナ語を使っているのですから、もう一度聞き返されるというのは、彼ら彼女たちにとって「もう一度、改めてカッコつけてもらえますか?」と言われているようなもの。改めてカッコつけるのは、多くの人はかなりの恥ずかしさを覚えるものです。
これを何度か繰り返せば、自然と「こいつには最初からわかりやすく言おう」となるでしょう。
「影響を受けているアピール」は、彼ら彼女たちの気分をよくさせるのにかなり効果的。頼みごとをする時などに使いましょう。
自分自身も誰かの何かに影響を受けまくっていて、そういう存在になりたい人たちなので、「あなたに影響を受けてます」なんてはっきり言われた日には、嬉しくてたまりません。
もちろんカッコつけなので、あからさまに喜びは表現しないものの、見えない尻尾は千切れんばかりにブンブン振っているはずです。
自分の価値観だけで「勝ち組」「負け組」を決めつけることへの対処法は、まったく違う価値観の人たちと話をさせてみるのがGOOD。「カタカナ語を使いたがる人」が男性なら、異性を当てるとさらに効果的です。
彼らがカッコつけたい対象は全方位ですが、特に異性に認められたい願望は強め。「自分が目指しているものが、認めてもらいたい相手が求めているものとまったく違う場合もある」ということを知ってもらうのがポイントです。
いろんな価値観の人と話させることで考え方の視野を広げてあげれば、やがて「勝ち組!」「負け組!」と言っている自分が恥ずかしくなってくることでしょう。
人脈自慢の対処法はとてもシンプルです。
自慢したいのですから「すごーい!」「羨ましい!」と返しておけば、彼らは満足するでしょう。これに「周りはすごいかもしれんけど、お前は何者なんだよ」とイライラするのは、こちらの心が狭いのかもしれません。
そんなことで優位に立とうとしていることがわかったなら、むしろ「あらそぉ…そんな人たちと仲良くしてもらってよかったねぇ」と、子どもに接する母親のような広い心で聞いてあげることもできるはずです。
それが無理でイライラする人は、「すごいですね! で、その人とどれくらい仲良しなんですか?」と関係性をグイグイ問い詰めていきましょう。
自慢したい場合はだいたい関係を盛っているので、実は「知り合いの知り合い」「大人数いる中でたまたま一緒になった」くらいの関係であるパターンが多いはず。自慢されるたびにこれを繰り返せば、関係を詰められたら困る程度の人脈自慢はしなくなるでしょう。
なかなかクセのある「カタカナ語を使いたがる人」たちですが、カタカナ語を使ったからといって必ずしも人をイラつかせるわけではありません。覚えたての言葉を使いたくなる気持ちは誰にでもあるものです。ポイントはそのカタカナ語が周囲の共通語として認知されているかどうかです。
例えば、「バジェット」というカタカナ語。
「あいつ、“予算”のことを“バジェット”って言うんだぜ? キモくない?」と言っても、「えっ? 私も普通に使ってるよ? キモいの? 私もキモいの?」となってしまうケースもあるでしょう。
重要なのは、「相手に確実に伝わるか伝わらないか」ということ。
カタカナ語がTPOに合った正しいコミュニケーションの取り方かどうかは、周りの人の表情やリアクションをチラ見しながら自己判断しましょう。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP: http://www.miwah.com/
twitter: @kamatamiwa
●最新著書
KADOKAWA 刊
1,100円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
2017年12月19日発売!
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
宝島社 刊
1,296円(税込)