コミュ力養成講座 第14回「大雑把すぎる上司」(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
人見知りや超体育会系、忙しぶる人など、迷惑まではいかないまでも、なんとなくコミュニケーションがとりづらい人たちっていますよね。そんな一筋縄ではいかない人たちともお近づきになれる攻略法をご紹介!
●今回の登場人物
好井亜里(すくい・あり)
22歳。彼氏いない歴=年齢の新卒OL。
人間観察が得意で、社会人になって改めて「いろんな人がいるんだなぁ」と思い悩み、コミュ障をこじらせ気味。それでも、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思っている。とりあえずの目標は「目指せ仲良し100人!」。
大座津強(おおざつ・つよし)
大雑把すぎる上司。40代中盤。
第14回:大雑把すぎる上司
①すぐにめんどくさくなる
②自分で言ったことを忘れている
③教えたことをぜんぜん覚えない
④仕事は早いが雑すぎる
大らかで懐深そうだけど実際は雑。頼りにするのは控えたほうが無難
何をするにも雑な人。こう聞くと、ポジティブなイメージは一切ありません。けれども傍目に見る分には、小さいことに気にしない、大らかな親分肌タイプに映ることでしょう。「頼りがいがありそう」なんて思わせることすらあります。
実際に絡んでみると、それが虚像だったことに気づくまで、さして時間はかかりません。最初は(…ん?)と思う程度の小さな違和感。それが「えぇ~⁉」という驚愕に変わり、最終的には諦めの境地に誰もが行き着きます。
彼ら彼女たちと接して、まず気になるのは集中力の低さでしょう。
説明を受けても、文章にして3行、120文字程度を超えてしまうとキャパオーバー。「今日、帰りに何食おうかな〜」と意識は別の方向に行ってしまいます。
彼ら彼女たちの「いい感じにしといて」は、スイッチがOFFになっているサインです。その前後の報告は「伝わっていない」と認識しておきましょう。細かい作業も、ただでさえ低い集中力がさらに低下してしまうため苦手です。
次に気になるのが、「自分で言ったことを忘れてしまう」ということ。
その場ではけっこう熱く語っていても、すべては思いつきのため、数日経てば忘れてしまいます。「そんなこと言ったっけ?」とおとぼけ返しならいいですが、気分や内容によっては「言ってねーよ!」と逆ギレされることもあるので要注意です。
新しいことを覚えるのが苦手、という点も見逃せません。
それが細かいこと、あるいは「他の誰かでもできること」の場合、モチベーションは限りなくゼロ。パソコン作業などは、後輩が教えても教えても、まったく覚えてくれる気配はないでしょう。
とはいえ、大雑把な人にもプラス面はあります。実は仕事が早い、という点です。
特にスケジュールや資料の作成などは普通の人よりも2~3倍は早くこなします。適当なので内容は普通に作る人の10倍薄いのが玉にキズですが、叩き台としては十二分でしょう。
彼ら彼女たちは感情も大雑把なので、機嫌を損ねてもよいことがあればすぐに切り替えられる(というか忘れる)という特長もあります。
以上を踏まえたうえで、亜里ちゃんの対処法を見ていきましょう。
1歩目:重要なポイントだけを伝える
2歩目:時間を空けて言ったことを確認する
3歩目:褒められた記憶を植え付ける
4歩目:スキルアップのためにフォローする
【解説】
彼ら彼女らの集中力を切らせないために、褒めて、飽きさせないこと
細かい作業や確認が、すぐ面倒くさくなってしまう大雑把な人たち。その対処法は実にシンプルです。
彼ら彼女たちに報告する際に心がけたいのは、とにかく集中力を切らせないことです。めんどくさくなると、後で「言った」「聞いてない」のトラブルにつながりかねません。
まず、確認してもらいたい要点をまとめて伝えましょう。項目は「3つ!」など、集中して聞く数の目安をもうけてあげると効果的です。特に確認してもらいたいところは最初ではなく、一番記憶に残る最後に。
伝えるべき要点をまとめるスキルは、大雑把な人だけに効果的なわけではありません。むしろそれ以外の人にはより効果的です。大雑把な人を飽きさせない報告スキルを手に入れればどこでも通用すると心得ましょう。
次に「自分で言ったことを忘れる」ことへの対処法です。
作った資料に修正が入った場合、すぐに再提案できるなら問題ありませんが、一晩以上の時間が空く場合は「そんなこと言ったっけ?」チャージが溜まっています。時間が空けば空くほど、修正したものにまたその場で思いついた新たな修正が入ってしまうのです。
回避するためには、修正を完成させる前、彼らが言ったことをまだ忘れないであろうタイミングで再確認すること。できれば翌日の朝イチがよいでしょう。
教えてもぜんぜん覚えてくれない地獄への対処法は、「褒める!」の一点突破です。
興味のないことを能動的にやってもらうには、やる楽しみや喜びを与える必要があります。ほとんど教育の領域ですが、仕方ありません。
できたら、褒める。できなくても、よいところを探して褒めてあげましょう。その際、上から目線にならないことが重要です。特に、若い人に教えられることに抵抗のある年上世代の扱いには細心の注意を払いましょう。「やりますね」ではなく、「すごいですね!」というスタンスでお願いします。
最後の「仕事は早いが雑すぎる」点については、大雑把で細かいことが苦手なのにもかかわらず、なぜ彼ら彼女たちがそこそこの地位についてるのかを考えると、自ずと答えが見えてきます。
彼ら彼女たちが会社から評価されているのは、仕事の早さもさることながら、周りの細やかなフォローの賜物です。仕事や指示が雑なのにチームが結果を残しているのは、大雑把な人以外の部員が優秀だという証拠と言えるでしょう。彼らの雑すぎるミッションをクリアすることで、スキルアップせざるを得ない環境だとも言えます。
イラストでは「レコーダーを使ってもらう」「打ち合わせには誰かが必ず同行する」という作戦を取っていますが、これはあくまで一例。さまざまな「大雑把」という問題に対して「どんな対処法があるのか?」を考えることこそが、ビジネススキルと経験値のアップにつながるのです。そう考えると、大雑把な人のフォローも不思議と苦にならないはず。
要注意なのは、今回紹介したのは「性格が大雑把な人」の対処法であって、仕事にやる気がなくて雑&テキトーな「すべてを諦めた人」の対処法ではない、ということ。こちらは、また別の機会に。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP: http://www.miwah.com/
twitter: @kamatamiwa
●最新著書
KADOKAWA 刊
1,100円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
2017年12月19日発売!
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
宝島社 刊
1,296円(税込)