コミュ力養成講座 第15回「まわりくどい先輩」(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
人見知りや超体育会系、忙しぶる人など、迷惑まではいかないまでも、なんとなくコミュニケーションがとりづらい人たちっていますよね。そんな一筋縄ではいかない人たちともお近づきになれる攻略法をご紹介!
●今回の登場人物
好井亜里(すくい・あり)
22歳。彼氏いない歴=年齢の新卒OL。
人間観察が得意で、社会人になって改めて「いろんな人がいるんだなぁ」と思い悩み、コミュ障をこじらせ気味。それでも、社会人として「ちゃんとしなきゃ」と思っている。とりあえずの目標は「目指せ仲良し100人!」。
遠輪真里(とおわ・まり)
まわりくどい先輩。20代後半。
第15回:まわりくどい先輩
①「どうしたの?」待ち
②本題までの例えが遠い
③ぜんぜん話をまとめられない
④自分の口からは言わない
本題に辿り着くまで時間がかかる。かまってちゃん要素もある面倒くさいタイプ
ハッキリと物を言う人を「好き」と感じるか「苦手」と感じるか――好みは分かれるところでしょう。
けれども「あの人の全然ハッキリと物を言わないところが好き!」という人は、なかなかいません。たいていは、「面倒な人だな…」と思わせてくれるのが、今回ご紹介する“まわりくどい人”たちです。
その判別法としては、LINEのやりとりがもっとも有効でしょう。
彼ら彼女たちは、「明日、空いてたら映画に行かない?」と送ればいいところを、「明日、空いてる?」とだけ送ってきます。そのため、その後「なんで?」と理由を聞き返さないといけなかったり、目的を知るまでに何ターンかムダなやりとりが増えてしまうのです。
「どうしたの?」待ちも彼ら彼女たちの代表作です。
困ったことに限らず独り言がとても多いのは、「どうしたの?」と声をかけてもらうため。そのため、「なんか言ってるなー、うるさいなー」とスルーしてもムダです。声をかけない限り、なくなるどころかボリュームは大きくなるばかり。機嫌も悪くなっていくばかりでしょう。心と時間に余裕があれば、「どうしたんですか?」と声をかけてあげましょう。
こちらが急いでいる場合は、たとえどんなに近くにいても、まわりくどい人たちに声をかけるのを避けるべきです。
知りたいことを聞き出すまでに、例え話、過去の事例、クイズ、偉人の名言など超えなければならない山がいくつも待ち構えています。「そんなことどうでもいいので、早く答えだけください!」と思わず言って気まずくなることウケアイです。
企画のプレゼンなどは、いつもまわりくどい物言いしかしてこない彼らともっとも相性が悪いイベント。1行を10行にするのは得意ですが、逆にするのは苦手です。
言いたいことを自分でもまとめようと、「要は」「つまり」「まとめると」を多用するのものの、悲しいかな、全然まとまる気配は感じられないことでしょう。プレゼンしてもらう時は、事前に要点をまとめておいた資料を読み上げるだけにしてもらうのが無難でしょう。
彼ら彼女たちの何かとまわりくどい言い方の中で、ややタチの悪いのが、自分の口からはハッキリ言わず、相手に悪口を言わせるというやり口です。「めんどくさ…」を超えて「関わりたくない」とすら思わせてくれるほどの悪癖だと言えます。
言葉を濁す理由はただひとつ、本人に伝わってしまっても「私は事実を言っただけで、それを悪く言ったのは○△さんだよ」と逃げ道を残すためです。
否定的なニュアンスで誰かの評判を口にし、最後に「どう思う?」と聞いてきたら要注意。誘い水に乗ってしまうと、もしもの時、すべての責任を負わされることになりかねません。
彼らが友だちや後輩なら、そのまわりくどいコミュニケーションの取り方に「え、めんどくさっ!」とツッコんで直させていけばいいのですが、先輩や上司になるとそうもいきません。とはいえ、「そういう人だと思って我慢する」では、ストレスも溜まる一方。何かうまい対処法があればいいのですが…。
以上を踏まえたうえで、亜里ちゃんの対処法を見ていきましょう。
1歩目:「どうしたの?」待ちには、バーターで頼みごとを
2歩目:YESかNOで答えられることだけ聞く
3歩目:優先順位を決めさせる
4歩目:悪口誘導にはすべて褒めで返す
【解説】
二者択一、優先順位を決めてもらうなどで対処しよう
まずは、「どうしたの?」待ちの対処法から。
「困ったな~」のボリュームが大きくなる前、彼ら彼女たちの機嫌が悪くなる前に、声をかけるのが得策です(気は進まないでしょうが…)。
ポイントは、相手の欲求を満たしてあげると同時に、バーターで自分も頼みごとを持ちかけるという点。求めていた通りのリアクションがあったことでスッキリしている彼ら彼女たちは、頼みごとを断りにくいステータスになっています。頼みごとや聞いて欲しいことがあれば、彼らの「どうしたの?」待ちは逆にチャンスだと思うとよいでしょう。
教えてもらいたいことがすぐに返ってこない問題には、シンプルに「YES」か「NO」でしか答えられない訊き方をするのが有効です。逆に言えば、「YES」か「NO」で答えられないことを訊いてはいけません。
「どうしたらいいですか?」など、もってのほか。これは「答えまで回り道してください」と言っているようなものです。
彼らに何かを尋ねる際は、まず自分なりの答えをぶつけて「これでいいですか?」と確認してもらうだけにしましょう。ただし、ここで「NO」をもらってしまった場合、ついつい流れで口を滑らせがちな「では、どうすれば?」は言わずもがな厳禁です。
「わかんない? たとえば〜」と、魔のめんどいタイムが始まってしまわないように、「NO」をくらったら、すぐに「やり直します!」と退散しましょう。
彼ら彼女たちの不得意ジャンル、プレゼンも時短可能です。彼らにしゃべらせ続けると、時間がおすばかりか、どんどん要点が掴めなくなってしまうため、これが改善できればチーム戦力の大幅UPが望めます。
「発言にまとまりがなくなってきたな」と感じたら、頃合いを見計らって「ポイントの優先順位はどうなりますか?」と切り出しましょう。要点と優先順位をホワイトボードなどに書き出すと本人たちも頭が整理され、見違えるようにスムーズに進行することでしょう。
相手がかなり目上の人で、「優先順位はどうなりますか?」と言えない場合は、さりげなく「ホワイトボードに書きますね!」と書記を買って出るとso good。“できる後輩”という評価も得られます。
悪口の誘導は、発言に“感情”が明確に乗っかっているかどうかに注意を払うことで対処可能です。
そもそも、共通の敵を作ることで仲間意識を高めたり、悪口で盛り上がったりするのは、コミュニケーションの手段として確かに簡単で有効なのですが、それは「もしもの時は一蓮托生」という暗黙のルールがあってこそ。いざとなったら平気でハシゴを外しそうな匂いには敏感でなければいけません。その匂いを見極めるポイントが、感情が乗っているかどうか、なのです。
例えば「どう思う?」と聞かれたら、その前の言葉をよく振り返りましょう。「私は嫌いだけど、どう思う?」なら問題ありませんが、「あの人って毎日、鏡を見てるよね。どう思う?」は、安全地帯からの誘導尋問。ハシゴを外されて困るのは、こちらだけです。
「あっ、誘導されてるな」と思ったら、とりあえず発言をポジティブに受け取って、「いつも身だしなみを気にしてていいんじゃないですか」などと褒めておけば間違いありません。
それでつまらなさそうな反応が返ってきても、気にしないこと。その場の盛り上がりよりも、後々のリスクをしっかり考えるクセをつけてましょう。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP: http://www.miwah.com/
twitter: @kamatamiwa
●最新著書
KADOKAWA 刊
1,100円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
2017年12月19日発売!
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
宝島社 刊
1,296円(税込)