自分の話ばかりしてしまい相手を疲れさせてしまう【ワタシのトリセツ】(企画:トキオ・ナレッジ 漫画:カマタミワ)
ベストセラーを多数生み出すクリエイティブユニット・トキオ・ナレッジと、大人気漫画家カマタミワさんによる新シリーズ。
喫茶店で働く一見普通のパート主婦・照代は、人間観察や悩みを解決することが大の得意。毎回、性格に何らかの悩みを抱えているお客さんに、問題を解決する方法をこっそり伝授します。
●今回の登場人物
和佳照代(わか・てるよ)
43歳。喫茶「T&Nコーヒー」の店員。多種多様な人が訪れる喫茶店で働いているうちに、人間観察や悩みを聞くことが得意になった主婦。悩みを抱えている人や、自らの短所に気づいていない人を放っておけず、ついついアドバイスをしてしまうのが悩みの種。
客:綿市好子(わたし・よしこ) 20代前半
今回のテーマ:自分の話ばかりしてしまう性格
(1)人の話を取る
(2)話が長い
(3)自覚がない
【解説】
人の話を取る、話が長くオチがない。一緒にいてドッと疲れるタイプ
今回のテーマは一緒にいてドッと疲れる人の代表、「自分の話ばかりする人」です。
なぜ彼ら彼女たちと話すと疲れるのでしょう? 話の内容や話し方が劇的につまらない、というのもあるかもですが、そもそも「人は自分の話を聞いてもらいたい生き物」だからでしょう。
自分も話したいことがあるのに聞いてもらえないストレスは、「なんだコイツ!」という悪感情を呼び起こすに十分です。言って口論になろうが言わずに溜め込もうが、どちらにせよ相手を疲れさせてしまいます。
相手に意見を求めたり質問することもなく、ただ一方的には話すのも、相手を疲れさせる要因です。体感的に30分、地蔵になっていたとしても、実際には5分程度しか経っていないのですから、相手がぐったりするのも無理はありません。
「人の話を取る」というのも、「自分の話ばかりする人」の特徴です。
自分のことを話すのは、相手の話を一旦全部聞いてから――そんな会話の基本マナーはお構いなし。「あ!」「そうそう!」など、相手が話を止めるカットイン話法で、自分のことを話しはじめてしまいます。
そこに「待つ」という概念がありません。話せる話題になるやいなや、早押し王のごとく自分のことを話し出してしまうのです。
これは「話が長い」という特徴にもつながります。
もともと話す予定のなかったエピソードを徒然なるままに話すため、まったくまとまっておらず特にオチもありません。
さらに最悪なのは、自分が話したフレーズから連想してさらに話したいことを見つけてしまうという地獄の数珠つなぎ。相手が話していた話題とはまったくかけ離れてしまうことも、しばしばです。話はだいたい「で、なんの話しだっけ?」でフィニッシュのため、相手も「あぁ…もういいや」となってしまいます。
そして、そんな自分に自覚がありません。
とはいえ悪気は一切ないので、指摘すると気をつけるようになる可能性は残されています。ただ、癖のようなものなので、定期的に言わないと改善していかないでしょう。
【対処法】
呼吸のように、吐いたら(話したら)→吸う(聞く)を意識して会話をする
自分が“相手の話を聞かない人”だと指摘された場合、どうするのが上策なのでしょう? 逆ギレするのは論外ですし、落ち込んだところで意味はありません。
まずは「相手と“話す”」ではなく「相手と“会話”する」という意識を持つとよいでしょう。一方的に話すのではなく、会話が成立しているかどうかを意識するのです。でも、どうやって?
会話とは、さしずめ「呼吸」のようなものです。
息を吸ったら吐き、吐いたら吸う呼吸は、吸う一方でも吐く一方でも苦しくなってしまいます。会話においても、自分の話を吐くだけだと、相手は吸うだけになってしまって苦しくなってしまうのです。本当は話を吐き続けているほうも苦しいはずなのですが、脳が麻痺して気づかないという危険な状況だと言えるでしょう。
話し相手にも吐いてもらい、自分も吸う。そうすることで、どちらも息苦しくない呼吸(会話)ができるようになります。「話したら聞く」「聞いてから話す」を心がければ、人の話を取ることはなくなるはずです。歯を食いしばってでも、全力で話を聞くようにしてください。
自ら吐いたフレーズにインスパイアされて発動する「地獄の数珠つなぎ」も結果的にセーブされるため、「話が長い」という残念な特徴も自ずと封印されることでしょう。
ちなみに、自分の話ばかりする人の話は、「へ〜」「そうなんだ」といった相槌(リアクション)しか返せない場合がほとんど。これも、相手を退屈させて話を長く感じさせてしまう要因です。
そうならないためには、エピソードが展開しそうなタイミングで「そしたらどうなったと思う?」とか「あなただったらどうする?」など、語尾が「?」で終えるフレーズをブッ込むとよいでしょう。会話が弾み、自然に相手も自分のことを話しやすくなるはずです。
もしも「自分の話ばかりする人」という自覚があなたになかったとしても、会話の呼吸を整えて損することはありません。呼吸するように会話することで、いつの間にか「会話上手」になれることでしょう。
とはいえ、「聞く」というのは単純なようでなかなか難しいものです。
相槌程度では聞いたことにはなりません。きちんと意見や経験を聞くことが大切です。
●漫画:カマタミワ
東京都在住。一人暮らし歴20年のイラストレーター・漫画家。ブログ『一人暮らしカマタミワの半径3メートルのカオス』が人気。livedoor blog公式ブロガー
HP:http://kamatamiwa.com
Twitter:@kamatamiwa
●最新著書
『気づいたら独身のプロでした』
KADOKAWA 刊
1,210円(税込)
●構成・文:トキオ・ナレッジ
弁護士、放送作家、大手メーカー工場長、デザイナー、茶人、フリーライター、シンクタンクSE、イラストレーター、カメラマン、新聞記者、ノンキャリア官僚、フリーターらで構成される雑談集団。著書に『めんどうな女のトリセツ』のほか、『正しいブスのほめ方』『正しい太鼓のもち方』『スルーする技術』『盛り合わせを選んだらお店のカモ! 大人の経済学常識』など多数。
●最新著書
「イケメントレーナーpresents ずぼら女子のためのおとなキレイ養成講座」
ジービー 刊
1,404円(税込)
https://www.amazon.co.jp/dp/4906993478/
●著書
「めんどうな女のトリセツ」
宝島社 刊
1,296円(税込)