カレー沢薫の「バイト丸わかり図鑑」携帯スマホ販売バイト編
先日、アイフォーソが最新機種「15」の発売を発表した。
15最大の注目点は充電が「USB Type-C」に変更されるということだ。
従来アイフォーソの充電は、他の電子機器がUSB充電で汎用性を持たせる中「アイフォーソ以外何にも使えない」でおなじみの充電用端子で行われていた。
ちなみにこの端子は「ライトニング」と言うらしい。
私は真の何にも使えない人間として、ライトニングのことを「アイフォーソの充電が得意ですごいな」と思っていた。
それに充電ケーブルは単純にヒモなのだから、いざとなれば腕を縛って止血など使い道はいろいろある。
対して私はアイフォーソケーブルで手足を縛られ邪魔にならないように置いておかれる側である。
しかし、私以外のアイフォーソユーザーは全員ヒモより有能なため、ライトニングのことを邪魔くさいと思っていた人も多かったようだ。
そんな声に応え、15でついにType-Cに変更、アップノレも「これで、ケーブルだらけの毎日とはお別れです」と、自分たちの英断を讃えている。
これに対しては「お前らが始めたケーブルだらけのエブリデイだろ」と批判の声が上がっているが、何もしていないのに第一声が「すみません」な人間としては、アップノレの「正しいのは常に自分」という姿勢は見習っていきたい。
しかし、アイフォーソ15を買うかというと、買わないと思う。
私は現在アイフォーソ11を使っており、購入から三年半ぐらい経っているため、単純に考えると年に1回はアイフォーソは新モデルが出ているということだ。
どうせすぐ新しいのが出るのだし、そもそもソシャゲとX専用機なのだから、11で機能的に全く問題を感じない。
もはや最新機種を買ったところで手に余るだけなので、宝具の途中で必ず固まるなど致命的な不具合がでない限り買い替えないと思う。
電子機器の進化は非常に速いが、それに完全についていけている人間はそれほど多くはないのではないだろうか。
しかし、電子機器の目覚ましい進化に業務上ついていかなければいけない仕事も存在する。
それが今回紹介する「携帯販売バイト」だ。
アルバイトには「覚えることは多いがマニュアルなので1回覚えればあとは楽」「立ち仕事が苦でなければ楽」「接客に慣れれば楽」など様々な楽ポイントがある。
我々のような人間にとって「接客に慣れれば楽」というのは「トラック転生して別人に生まれ変われば楽」と言っているのと同じなのだが、元から接客適性のある人なら本当に楽なのだろう。
そんな中で「携帯スマホ販売バイト」は自信を持って「難易度高め」と言えるバイトらしく、その自信は「時給」に現れており、他の販売バイトよりかなり高く設定されていることが多いようだ。
携帯スマホ販売バイトは、カウンターで新規契約や端末の販売、機種変更やプラン変更の手続きなどを主に行う。
雇用形態は派遣会社に登録してから各販売店に派遣される形と、携帯ショップに直接雇用されるタイプがあるが、募集数は派遣の方が多いそうだ。
また携帯ショップ勤務の場合は、機種変更やプラン変更などの事務手続きが多く、家電量販店の場合は機種変更も取り扱うが新規契約や販売が多いらしい。
何故難易度が高いかというと、まず「覚えることが多い」。
何種類もある機種の特徴を覚えるだけでも大変だが、さらに契約プランや契約するための必要書類なども覚えなければならない。
さらに、スマートフォンの機種というのは次々に新しいものが出るし、料金プランも変わるため「一度覚えればOK」が通用しない。
さらに、自分が理解するのも大変なものを「お客に理解させなければいけない」のである。
我が村で待ち時間が長い施設と言えば「病院」がダントツの1位だが、その後ろで「役所」「銀行」「携帯ショップ」が熾烈なデッドヒートを繰り広げている。
携帯ショップは「やってる?」と暖簾をくぐったところで、入口に置いてあるマシンから「二時間待ち」を通達されるだけなので、最近は予約していくところになっているが、それでも待つことがあり、こういう点はかなり病院に肉薄してきている。
ただ携帯ショップは「お客が押し寄せている」という風には見えない。
おそらく一人にかかえる時間が長いのだろう。
私は、携帯ショップ店員の説明に全て「はい」「わかりました」で答える、機種変RTAプレイヤーだが、それでもかなりの時間がかかっている。
わかってないのに「わかりました」と言う客でもこれだけ時間がかかるのだから、理解するまで「わかりました」と言わない、正しいお客様が来てしまった場合はその比ではなく時間がかかるだろう。
そして「複雑なシステム」と「思い通りに動かない電子機器」は2大アンガーマネージメントクラッシャーなため、6秒数えることもできなくなったホットなお客様によるクレームは覚悟しなければならないだろう。
このように「覚えることが多く高度な接客が必要なバイト」だが、それに慣れれば高時給、土日のみ2時間勤務など、短時間で稼げるバイトとして学生などに人気らしい。
「それに慣れれば」のハードルがかなり高い気もするが、スマホなどのガジェットが元々好きで新しいことを覚えることも苦ではないという人には向いていると思う。
これは、我々が次々に出てくる推しの色違いや衣装違いを正確に把握し「これは2023年夏イベの時に出て来た限定の…」と、聞かれてもいない説明までできるのと似ている。
意外とオタクと親和性が高いバイトと言えるかもしれない。
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