中古楽器店でバイト体験!知識がなくても結構イケるぞ!【突撃!バイト体験レポート】
どうも!ライターのノジーマです。
いろいろな職場におじゃましてバイト体験をするこの企画ですが、今回は東京都品川区・JR西大井駅にある『tokyo.gakki 東京楽器』という中古楽器店で働かせていただくことになりました。
果たして、楽器の知識がない僕でもバイトできるものなのでしょうか。
しかも、こちらのお店はオープンしてからわずか半年!
現在は幼なじみ2人だけで営業をされているとのこと。
新しい職場や、少人数な職場ならではの経験もできたらおもしろそうですね!
まずはお客さんのお宅に出張買取!
お店の中に入ると、当然ですがたくさんの楽器が並べられていました。
これらは特に値段が高いもので、中古販売でも2ケタ万円、新品だと100万円を超えるものもあるのだとか!ヒエ~ッ!
そんな説明をしてくれたのは店長の倉科さん。
tokyo.gakkiを立ち上げた社長さんでもあり、店舗スタッフの一員としても日々お仕事されているそうです。
それでいて年齢はまだ30歳とお若い!すごい人だ!
まずはそんな倉科さんに、お店の業務内容をざっくりと聞いてみることにしました。
ノジーマ「僕はちょっとギターを触ったことがあるくらいで、楽器の知識は全然ないんですけど、それでも大丈夫でしょうか…?」
倉科さん「一言で楽器といっても、当店では周辺機器を含めて、本当にさまざまな物を扱っています。中には専門的な知識や、技術が必要になる部分も確かに多いですけれど、お手伝いいただけるところもたくさんあると思いますよ!」
tokyo.gakkiでの業務はおおまかに分けると、「買取」「販売」「修理」の3つに分かれるそうなのですが、この日はちょうど出張買取の予定が入っているとのこと。
まずはそちらから同行させていただくことにしました!
tokyo.gakkiのジャンパーをお借りして、車に乗り込みます。
今回は同じ品川区内での買取依頼とのことです。
移動の車中では、出張買取での苦労話をいろいろ聞かせていただきました。
ノジーマ「出張ってどこまで行ったりするんですか?」
倉科さん「基本的には東京・埼玉・千葉・神奈川なんですけど、栃木県の日光まで行ったこともありますね」
ノジーマ「えっ、そんな遠くまで!それって、交通費だけで赤字になっちゃったりしないんですか?」
倉科さん「もちろんビジネスなので、そこは気をつけないといけないところですね。開業当初は手探りのなかだったので、お客様との対話が足りず、遠方からの依頼をいただいて訪問したらギターストラップだけの買取だった…という経験もありましたね」
ノジーマ「いろいろ経験を活かして、今の形を作っているんですね」
倉科さん「なので今は、どんな物を売っていただけるのか、事前交渉をしっかりとおこなっています。楽器に詳しくない方ももちろんいらっしゃるので、そのときは特徴を伺って、一緒に調べます」
ノジーマ「なるほど、楽器を持っている方が詳しいとは限らないですもんね」
倉科さん「そして、依頼を受けた楽器の詳細情報や過去データを必ず確認して、必要であればお客様にも詳しくお話します。その上で納得してお売りいただけるように努力をしています」
他にも、重たい楽器を運んだり、依頼先がマンションや団地の場合には高層階であってもエレベーターがなかったり…。時にはひとりで買取業務にあたることもあるそうなので、臨機応変に対応できる能力が必要だそうです。
出張に関する苦労は楽器買取じゃなくても、リサイクルショップや引越などでも同じかもしれませんね。
買取先のお宅に到着!iPhoneで検索して査定!
ほどなくして買取先のお宅に到着し、手続きで使用する書類の説明を受けました。
基本的にはお客様が書類に記入している間に、商品のキズや使用感などを調べて、その場で査定額を提示。
納得していただけた場合はすぐ現金で買取するそうです。
これはスピーディー!
さすがに査定はお手伝いしようがないので、後方からこっそり見学させていただくことにします。
今回買取に出されたのはメッチャかっこいいギターとエフェクターという機材が2点。
どうやってこちらを査定するのかなと思ったら、事前に調べた商品の詳細情報をもとに、同じ型の商品の中古相場をなんとiPhoneの専用ツールで検索して調べるのです!
iPhoneで検索とだけ聞くと「これなら誰でもできるんじゃないの!?」と思ってしまいますが、とんでもない!
検索してデータを調べるといっても、このギターがどのメーカーのもので、型番がいくつで、年代はいつ頃のものなのか、というようなこまかいデータを瞬時に判断しなければなりません。
そして、キズや使用感、修理が必要な場合の修理費などを加味して査定額を計算するのです。
相当な楽器の知識が頭に入ってないとできませんよ、これは!
そして無事に買取が成立。大事にギターを抱えて持ち帰ります。
今回は15分程度ですべて完了しましたが、思い入れのある楽器を手放す方も多いので、エピソードを伺っていると、つい長話になってしまうこともあるんだとか。
それでも倉科さんは、ご自身が昔から楽器を売り買いしながら楽しんできたので、買取に出す人の気持ちはすごく理解ができるといいます。
だからこそ、じっくりとエピソードを伺えることはとても嬉しいことでもあるし、親身になって話を伺うことで、また別の楽器を売ってもらえたり、今後のお付き合いとしても繋がっていくんだとか。
本当はそんなに高い額にならない楽器でも、リピーターのお客様には感謝の気持ちを込めて、少し高い査定額で買い取りすることもあるそうです。
買取してきた楽器をメンテナンス
お店に戻ると、買い取りしてきた楽器を商品として並べるため、早速修理やメンテナンスをおこないます。
今回のギターは修理の必要がありませんでしたが、きれいにメンテナンスをすることになったので、その作業を担当することになりました。
こちらは技術スタッフさんに教わりながら作業を進めます。
ノジーマ「この作業も経験がないと難しかったりするんじゃないですか?僕もギターを持ってはいますけど、メンテナンスなんてしたことないです!」
技術スタッフ「音を調整したりするのはすぐにできるものではないですが、手伝ってもらえる細かい箇所はたくさんあるんですよ!」
保湿のオイルを塗ったり、こびりついた汚れを落としたり、特別な技術がなくてもお手伝いできるようなことを中心に作業します。
こういった部分をしっかり行なうだけで、弾きやすさが全然変わってくるんだとか。
技術スタッフ「単純な作業なんですけど、しっかりやると時間がかかるんですよね。こういう部分を手伝ってもらって、その間に僕がテクニカルな部分を修理したりとか、手分けができるとすごく効率がいいんです」
ノジーマ「なるほど!そういわれるとやりがいがありますね!」
そして細かい部分の作業を終え、あとは技術スタッフさんにバトンタッチ。
tokyo.gakkiではただメンテナンスするだけではなく、たとえば「このギターはメタル好きな人が欲しがるから、速弾きをしやすいようにしておこうかな」と、気を利かせたアレンジも施しているそうです。
演奏する曲やジャンルまで想定するなんて、楽器へのこだわりがすごすぎます!
あとは買取してきたエフェクターを丁寧に拭きあげたり、電源がちゃんと入るか、音が出るかなどの動作チェックをしたりして作業完了。
販売をする際には当然新品に近い状態のほうが良いので、できる限りきれいな状態に仕上げます。
思い入れのある楽器や機材がキレイによみがえって、また新しい人に使ってもらえれば、手放した人も喜んでくれることでしょう!
メンテナンスした商品をネットショップに登録!
メンテナンスや修理が完了した商品は写真撮影し、すぐにネットショップ上で販売できるように商品登録をおこないます。
といってもこの作業は非常にシンプルで、こちらもiPhoneを使って撮影します。
窓際の自然光が入る場所で写真撮影をおこなうのですが、これはギターの塗装や色味がきれいに写るからとのこと。
ほかは基本的にメーカーや型番がハッキリ確認できればOKで、撮影技術や写真の画質はそこまで重視しないそうです。
早速僕も、自分で拭きあげた機材の撮影をしてみることにしました。
ものすごい猫背になっていますが、真剣に撮影します!
そしてこれがiPhoneで撮影してみた写真です。おお、美しい!
確かにこれなら、十分商品写真としての役割を果たしてくれるでしょう。
インターネットショップに商品登録
つづいて、写真撮影が終わった商品をデジマートというインターネットショップに登録します。
デジマートとは全国各地の楽器屋さんが登録している楽器専門のショッピングサイト。
かなり市場規模が大きいみたいですね。全然知らなかった!
倉科さんから手順を教わりますが、決められた手順で作業をするだけなので、やること自体はとても簡単!
カテゴリを選択したり、コピペをしたりしてれば簡単に登録できちゃうので、これは楽器の知識が全然なくても対応できる感じでした。
そして、だいたい10分くらいで商品1点の登録が完了。
簡単な作業なのですが、商品点数が多いとけっこうな時間を取られてしまうそうなので、こういった部分もアルバイトにお願いしたい作業になるそうです。
これなら普段パソコンを使っている程度の知識があれば、すぐに対応できそうですね。
ちなみに、登録した商品は1時間くらいで売れてしまうこともあるそうです!
売れた商品を梱包して発送
インターネットショップで売れた商品は、丁寧に梱包して発送します。
商品によってはかなり高額なものもあるので、宅配中に破損したり、なにかトラブルが発生してはおおごとです!
宅配業者もトラブルを恐れて配送の担当になることを渋るケースもあるらしく、厳重に梱包することで業者に納得してもらうような側面もあるそうですね。
ギターをエアクッション(プチプチ)で丁寧にくるみ、専用のダンボールに入れて、さらに緩衝材を隙間に詰めていきます。
あとは買った人が喜んで使ってくれるのを祈るばかりですね!
楽器への愛は誰にも負けない!倉科さんにインタビュー
ここまででtokyo.gakkiでの基本的な業務は完了。
最後に、店長の倉科さんにインタビューをさせていただきました。
営業的なスキルが身につく!
ノジーマ「今日は一日ありがとうございました!楽器の知識がないと難しいかなと思っていたんですけど、結構いろいろなことをお手伝いできたなあと思いました!」
倉科さん「そうですね、当然知識がないとできないこともありますが、知識がなくてもできることは案外多いと思います」
ノジーマ「この仕事をするのに必要なスキルとか、どういう人が向いているとかってありますか?」
倉科さん「楽器の知識以外の部分であれば、人と話をすることが好きだといいですね。買取先で長時間話したりすることもありますし、その印象が今後にも繋がってきますから、とても重要です。営業に近いスキルが身についたりもしますね」
少数精鋭だからこそやりやすい!2人のコミュニケーションもバッチリ
ノジーマ「tokyo.gakkiでは現在倉科さんと技術スタッフさんだけで営業されてますが、少人数ならではのメリットはありますか?」
倉科さん「ウチはまさに少数精鋭っていう感じで、2人とも楽器の知識や修理のスキルが高いですし、1人の仕事の幅はかなり広いです。片方しかできないことが少ないので、予定の調整もしやすいですし、何かを決める時も話がまとまりやすいですね」
ノジーマ「2人とも高いレベルの知識とスキルを持っているとなると、アルバイトに仕事を教えるときも効率がいいですよね」
倉科さん「そうですね!じっくり教えられる環境だからすぐ技術や知識が身につくと思いますし、アルバイトの人にもメリットは多いでしょうね!」
ノジーマ「では逆に、人数が少なくて苦労しているところってありますか?」
倉科さん「少人数だから苦労しているところはあまりないですね。でも、オープンしたばかりの若いお店なので、tokyo.gakkiの良さをいかに伝えていくかが今後の課題ですね」
ノジーマ「なるほど!では最後に、tokyo.gakkiのアピールをお願いします!」
倉科さん「ただ楽器を買取して販売するリサイクルショップ的な店ではなく、修理やメンテナンスもできるのが強みだと思っています。今後はオリジナルの商品開発なんかもしていきたいですし、コンセプトでもある『楽器好きの、楽器好きによる、楽器好きのための楽器屋さん』の言葉どおり…楽器への愛はどこの中古買取屋にも負けません!」
おまけ:ノジーマの愛用ギターも査定してもらってみた
こうして、tokyo.gakkiさんでの体験取材が終わったのですが、個人的にどうしてもお願いしたいことがあったのです。
こうして、tokyo.gakkiさんでの体験取材が終わったのですが、個人的にどうしてもお願いしたいことがあったのです。
ノジーマ「すみません、実は僕が昔(15年前)に買ったギターを持ってきたんですけど、これの査定をしてもらえませんか?」
倉科さん「あ、そうなんですね!もちろんいいですよ!」
快諾をいただけたので、倉科さんと技術スタッフさんの前にそのギターを差し出したのですが、ギターを目にすると2人の表情が一瞬にして曇りました。
倉科さん「ネックがこんなにゆがんでる…」
技術スタッフ「手あかのこびりつきもひどい…」
和やかだった取材終わりの空気が一変、おどろくほど殺伐とした雰囲気に…。
いったい査定額はいくらになるのでしょうか…?
ノジーマのギター、査定額大発表!
倉科さん「ええと…、とりあえずこのギターが美品の状態だったら5000円くらいです。」
ノジーマ「おお、5000円!」
倉科さん「美品の状態だったら、ですね。こちらはメンテナンスや修理が必要な箇所ばかりなので、そのあたりの費用を差し引きしていくと…マイナス査定です」
ノジーマ「マイナス査定…。買取もできないような状態ということですね…!」
倉科さん「でも、せっかく持ってきていただいたので、うちはこれを500円~1000円くらいで買い取ります。修理箇所が多いので、実際に修理して販売するのは難しいですが、ほかで断られてしまったような商品でもtokyo.gakkiでは頑張ります。すべてはご縁ですから、次につながればいいなと考えますね」
15年前に新品で購入したギターが、ろくにメンテナンスをしてこなかったせいもあり、通常だったらマイナス査定。
tokyo.gakkiさんのお情け込みでなんとか500円という結果に…。
高値がつかないことはわかっていましたが、結構本気でへこんでしまいました。
楽器をお持ちのみなさんは、普段からできる限り大切に扱ったほうがいいですよ!
※この記事はタウンワークマガジンとガジェット通信で共同制作しました。
取材・文:ノジーマ 企画:ガジェット通信
tokyo.gakki 東京楽器
東京都品川区二葉2-20-1 第2梅田ビル1F
TEL:0120-123-820(買取専用)/03-6338-1080
http://www.tokyogakki.jp/